コラム
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2014/8/22
1521    他人から学ぶ

人の話を聞くということは大事なことで、その場に参加していなくても分かることがあります。ある総会の議長をした人がいます。議長なので一人ひとりの発言をしっかりと聞きながら進行していきます。総会の最後の場面になって退任する役員さんからの挨拶がありました。議長はこの一年間の間に実施された会議や行事に参加していないものがあったのですが、挨拶を聞いて概要や思いが分かったと言います。

誰でも同じですが、人前で挨拶をするのに際して準備を行います。挨拶原稿を作成したり、活動の歴史を振り返ったりするものです。何の準備もしないで式典などの場で挨拶をする人はいないと思います。式典などに出席して人の挨拶を聞かせてもらうと、必ず得るべきものがあります。

多くの場合、挨拶原稿を作成するに当たり、自慢できる活動や皆さんに知ってもらいたいことを書き出します。そして挨拶の中に一つだけでも、聞いてくれる人に役立つことを織り込もうとするものです。所謂、決め台詞のようなものを用意します。今回の挨拶の中で私が言いたいことは「これだ」というものを用意します。聞き手が真剣でいると、その決め台詞が分かり、活動の中で決め台詞で訴えるべきことを発見した経緯を知ることで、その活動の大切さを学ぶことができるのです。

退任の挨拶においては、その役員が何年間に及ぶ活動で得た学びを伝えようとしますから、必ず役立つ内容が含まれています。それに気付かないのは聞く側の姿勢であり、感性の問題でもあります。

「役員をしたことで仕事以外のつきあいが広がった」。

「人のために尽くすことが楽しいことだと分かった」。

「情報が早く入るようになった」などの感想が含まれているとしたら、そこから自分に活かせることを学べます。

「自分の仕事以外のことをすれば人脈が広がるんだ」と思うと、役員にならなくても、地域活動やNPO活動などに参加することに発展することも可能です。

「人のお役に立つことは自分の幸せと感じられる」と思うと、人の仕事を手伝うことや人に親切にすることの大切さに気付きます。

「人と関わる機会が増えると情報量が増える」と思うと、勉強会や講演会などに積極的に参加しようと思います。

自分が体験することで、それが成功体験であれば、その成功法則に基づいて次の取り組みを行いますし、失敗体験であれば同じ轍を踏まないように行動します。しかし自分ひとりで環境の異なる多くの体験をすることは難しいので、他人の体験から学び取ることが大切になります。人の体験はその人の挨拶や話をしっかりと聞くことで学べます。

人は自分の体験から人に伝えたいものがあれば、大切な発表の場面を見つけてそれを話そうとします。人前で話をする機会はそれほど多くありませんから、大切な挨拶の機会でとっておきのネタを用意して話そうとします。

人前で話をするということはとっておきのネタを再確認するために大切なことであり、人の挨拶などを聞くということは、人の体験から学べるということです。