コラム
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2014/7/17
1500    心の要素

Kさんの事務所に知人が訪ねた時のことです。その知人はKさんに向かって日頃の不満や愚痴を長い時間話していました。「あの人と仕事をしていると段取りが遅くて仕事にならないので腹が立つ」、「あいつは約束しても守らないので信頼できない」などKさんの知らない人の悪口も含めて話し出したのです。

黙って聞いていたKさんでが、とうとう痺れを切らせました。「申し訳ないですが、あなたの愚痴や人の悪口を聞くために時間を取っているのではありません。第一、あなたが知っていても私の知らない人のことを聞かされても、どうしようもないですから。誰が何をしようと私には関係のないことです。私の仕事は人に楽しんでもらい、喜んでもらって元気になってもらうことを目的にしているものです。愚痴や悪口とは無縁の仕事をしているので、もう帰って下さい。もう来てもらわなくて結構ですから」と伝えました。

Kさんは、「もうあの人とは付き合いませんから」と淡々と話してくれました。楽しみと喜びを提供する仕事をしている人にとって必要なものは、人が元気になるような明るい話題や頑張っている人の話です。そんな話であれば会話や仕事に展開することができますが、愚痴や悪口は、そこから発展させることはできません。むしろ仕事にとって逆効果になってしまいます。

人の心は言葉に反応します。明るくて嬉しい話を聞いていると、心は明るく楽しいと思うようになります。愚痴や悪口を聞いていると、心はそれに反応して暗くて人間不信になっていきます。聞かされる言葉によって心は影響を受けるのです。ですから楽しい話、嬉しい話を会話の中心に持ってくることが大切です。

楽しいから笑うのではなくて笑うから楽しくなる、という言葉がありますが、楽しい話をしているから心が楽しくなり、悪口を言っていると心は暗く染まっていくのです。ですから毎日見るものや聞く言葉は、明るくて元気になるものにしたいと思います。

毎日見ている私の手帳の裏表紙には、「ありがとう」、「感謝します」、「ツイてる」という言葉のシールを貼っています。これらは心に与える要素として、毎日聞かせる必要がある言葉です。この手帳にはその次につづく言葉が記されています。

「今日一日、怒らず、怖れず、悲しまず、正直、親切、愉快に、力と、勇気と、信念をもって自己の人生に対する責務を果たし」と続いています。もう何十年も毎日、この手帳を開いて見ているのです。ですから最近は、これらの言葉に少しは感化されてきたように感じています。

言葉は心に影響を与えますし、心で思ったことが行動へとつながります。怒りの行動なのか、正義の行動なのかによって支持してくれる人は違ってきますし、今、周囲にいる人や行動が違うと将来現れる結果も違ってきます。

心に取り入れる言葉は明るくて元気になり、正義に基づくものでありたいものです。やがて心の中で消化され、それが行動となって表れてくるからです。毎日、心に取り入れているものは心を構成する要素となっていますから、他人の言葉の支配を受ける影響は少なくなります。他人に毒されることなく自分の思いで行動するためには、自分の好きな言葉を毎日、眺め続けたいものです。