コラム
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2014/7/9
1495    2014年ウィンブルドンテニス男子シングルス決勝

2014年ウィンブルドンテニス男子シングルス決勝は凄い試合でした。日曜日の夜の中継を見入ってしまいました。ロジャー・フェデラー選手の復活優勝はなりませんでしたが、両選手の素晴らしい戦いに拍手を贈りたい気分です。

優勝したノバク・ジョコビッチ選手は、「試合の質の高さでは、自分が経験した四大大会決勝で、今日が最高の試合だった」と話しています。最高の試合を戦えるのですから、両選手は幸せな時間を共有していたと思います。

朝日新聞の記事(平成26年7月7日、夕刊10面)を引用すると「両雄の辞書に『あきらめる』という言葉は存在しない。だから、この二人は長年、世界の最高峰で戦えている。そう感じた3時間57分の激闘だった」と思います。勝負が終わる瞬間まで勝つことを意識して、諦めるという選択はしていません。

最終セットで追い込まれたジョコビッチ選手は「勝因は自分を信じる精神力の強さ。相手だけではなくて自分との戦いに勝てたのがうれしい」とコメントしているように、心が切れかけても諦めませんでした。

フェデラー選手は、第四セット、2対5でリードを許した場面がありました。チャンピオンシップポイントを握られ、あと1点で敗退するという場面から5ゲームを連取して最終ゲームに持ち込んだことは奇跡のようでした。

この時の心境について試合後に、「自分を信じて攻撃的なテニスを貫いた」とコメントしていますが、本当に言葉がないような連取でした。劣勢に立たされて「こんなことが可能なのか」と思いました。

四大大会で栄冠を勝ち得ている二人の選手は、勿論、これまでも数々の名勝負を戦っていますが、今日現在において最新のウィンブルドン決勝で最高の試合を戦ったのです。常に最高の試合になるよう実力を発揮する精神力と技術力は人間業とは思えません。

二人はこれで終わりではありません。この次の四大大会での戦いで、このウィンブルドン決勝戦を越える最高の試合を演じてくれるかも知れません。常に最高の試合をするという意識が超人的な試合になっていると思います。

追い込まれた状況でも決して諦めないこと、自分を信じることができること、そして自分との戦いに勝てること。これらの精神力を出し切れば、結果はどうあれ最高の自分になれると思います。1点取られたら終わりと言う状況で、冷静に自分を信じて自分のプレイをしていた二人の選手に感動するばかりでした。

史上最強といわれるフェデラー選手も、現役最強の称号である世界ランク一位のジョコビッチ選手も、次の試合が最高の試合になると信じて戦っているようです。過去の栄光に甘んじることなく、常にトップを目指すことが超一流の人物のあり方です。勝っても負けても謙虚であり、次を目指す姿勢は同じです。

最高の舞台に立っていることに感謝し、最高のライバルと戦えることに感謝し、最高の瞬間を生きていることに感謝し、試合後はこれまで支えてくれた人に感謝する。そんな感謝の気持ちがこの試合を特別なものにしたように思います。どんな場面でも自分の置かれた状況でベストを尽くすこと。その場所に立たせてもらっていることに感謝すること。どんな結果に終わってもこの次も最高の自分でいること。人生を生きるとはこんなことだと感じました。