コラム
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2014/6/6
1473    将来の夢

ソーラーカー「ワックン号」を製作したメンバーと再会しました。ジャパンエキスポ世界リゾート博覧会を記念して同博覧会のキャラクターである「ワックン」を基にデザインしたソーラーカーで、目標は当時、石川県能登半島千里浜海岸で行われたソーラーカーレースに出場するためです。チームは15名だったと思いますが、半年ぐらいの期間を掛けて製作したものです。

平成26年5月に会った当時のメンバーの一人が「仕事の合間に製作したので忙しくて早く終わりたいと思ったけれども、やって良かったと思っています。夜遅くまで作業をしたのに、当時の責任者から『明日の朝はこれができているか』と聞かれ、仕方なく朝まで徹夜したことも度々ありました。大変だったけれども将来につながる夢があった仕事でした。今はこの先に夢を感じられるような仕事は少なくなっています。夢を感じる仕事をしたいと思いますが、一度でも夢に携われる仕事の経験があったことは幸せです」と話してくれました。

この仕事の先に夢がある。そんな仕事をしてみたいものですが、ここから先に道がつながっていると感じるような経験はそれほど多くありません。

将来のエネルギーと捉えられていたソーラー技術を自動車に応用すること、そして和歌山県にとって夢のあったイベントの世界リゾート博覧会との関りという二つのものを背負っての製作ですから、大変でしたが夢がありました。

目標であった千里浜海岸のレースで優勝することはできませんでしたが、「ワックン号」は完走し、大会までの道程と大会参加は充実感があったことを思い出します。そして半年余り一つのチームとして活動できたことは今に続いています。時々、こんな風に会った時、ソーラーカーレースのことを話すことがあるからです。

充実した確かな過去と記憶があることは今を幸せにしてくれます。

その後、ソーラーカー「ワックン号」は和歌山市子ども科学館に寄贈したのですが、同施設の廃止に伴い処分されてしまいました。ソーラー技術はその後進展し、電気自動車やメガソーラーなどに形を変えて進化を遂げています。そしてメンバーは20年が経過しても、それぞれが違う分野の仕事を通じて進化を続けています。

今はコストと効率化に支配されて、夢のある仕事というものの価値は減少しています。将来どんな形に進歩するか分からないものよりも、現在、売り上げを伸ばせるものを優先させています。

メンバーの一人であったHさんが「片桐さんのコラム『ルーズヴェルト・ゲーム』に共感しています。現在も大事ですが将来につながっていく夢も大事です。8回まで先行されていても逆転できるような夢を実現させる仕事をしたいですね。このコラムを配ってくれたので読みましたが素敵ですよ」と話してくれました。

議会報告会で配布した資料の中に含めていたコラムを、厳しい先輩から褒めてもらえたことも嬉しいのですが、コラムと自分が携わった製作活動を重ね合わせて今に感じてくれたことを嬉しく思います。

ジャパンエキスポ世界リゾート博覧会も千里浜海岸でのソーラーカーレースも20年以上前の出来事ですが、携わっていて良かったと思えるのは将来の夢に関っていたからです。