コラム
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2014/4/30
1453    NPO法人かめのこ会

NPO法人かめのこ会は作業所の二軒隣に「亀万年堂」を設立しました。ここで「かめ焼」という製品をお客さんに販売しています。そして和歌山県庁北別館に毎週金曜日に出張販売をしてくれています。早速「かめ焼」を食したところとても美味しいのです。作業所の皆さんが懸命に作っている姿を思うと、更にこの味は違ったものになります。かめのこ会の皆さんの頑張りの一部を知っていますから、余計に美味しく感じます。

この「かめ焼」を知ったのは県庁北別館の販売場所の前を通りかかった時、チラシをいただいたのです。時々、立ち寄っているので顔をしっかりと見ないで、「買っているよ。頑張って」と声を掛けて通り過ぎようとしました。そうしたところ「片桐さん」と声を掛けてくれたので振り向くと代表の亀本さんだったのです。まさか亀本さんがいるとは思わなかったので驚きましたが、聞いたところ県庁のこの場所で金曜日に販売することになったということです。

作業所のおかれた環境は決して恵まれているとは言えません。そんな中、命を掛けて仕事をしている亀本さんと知り合ったのは10年以上前のことです。懸命に仕事をしている子ども達のために作業環境を良くしたいと駆け回っている代表と会い、その体験から来る言葉に感動したことを覚えています。

「皆さんからいただいている好意は命の泉のようなものです」という言葉は迫力がありました。作業所と子ども達の命の基になっているのは心ある人からの善意であり言葉なのです。

それを命の泉という言葉で表現してくれた感動は今でも鮮明です。それ以降見守りたいと思い、毎年のように会う機会をもっていました。作業所にクーラーを設置した時は嬉しそうな笑顔で、クーラーを設置している作業現場の写真を見せてくれました。「これで夏場も快適な環境で仕事をすることかできます」と話してくれたのですが、今の時代にクーラーのない作業環境で仕事をしていたことを思うと心が痛みました。

快適な環境で仕事をすることになれている現代社会ですが、そんな環境で仕事ができる人は限られた人だったと気付きました。クーラーのある作業場で仕事ができることを子ども達やスタッフは喜んでくれました。「少しだけでも命の泉になったかな」と嬉しく思ったことを思い出しました。

亀本さんに最近会えていなかったのは、手を骨折していたので治療をしていたからだそうです。今は完治し新製品を社会に送り出してくれました。そして新製品の「かめ焼」の表紙は書家の安川眞慈先生がイラストを書いてくれています。代表の亀本さんが安川さんの大ファンで、「何としても製品の表紙は安川先生のイラストを使用したい」と思い依頼したところ、引き受けてくれたと聞きました。心を込めて作った「かめ焼」は安川先生のイラストで完成したのです。関係する方々の思いがこの「かめ焼」になりました。

開発に要したたくさんの日々と応援してくれた人の心が、一つの製品として社会に送り出すことになっているのです。子ども達と共に社会に貢献したい、そして懸命に生きている子ども達に今よりも多くの給与を支払いたいと思う気持ちが伝わってきます。現在、ボランティアに来てくれていた地元大学生が、卒業後かめのこ会に就職をして活動を支えています。心のつながりが、事業発展という形になっていくことを見ることができました。