コラム
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2014/4/7
1439    前後の人

「片桐さんの以前のコラムで、なにかをしようとするとき、それを成すのは人あってのことと伝えてくれました。今の私の仕事は、正に人無くしては成り立ちません。委託拡大によって業務の大半は外部の人に頼っているのです。

僕の仕事も例外ではありません。勿論、自分の努力も大事ですが、片桐さんが伝えてくれたように、仕事の向こう側には沢山の人がいます。今までは人望に関係なくルールがあるのだから、当然最低限の仕事はやってくれるだろうと思い込んでいましたが、それはとんでもない誤りでした。辛い仕事を頼むのですから少し気の利かせた心配りが必要だと思いました。

ただ、その実績は良くも悪くも自分の評価には繋がりますが、評価する立場にない僕は、彼らに良い評価で報いることができないのは誠に残念です。そんな意味からも、責任ある立場の皆さんはそれだけで大変な仕事していると分かります。今の時代、情報技術が発達して便利な世の中になりましたが、人とのコミュニケーションは何より大事です。

人は人と何かとぶつかりやすいところがあり、時には孤立することもありますが、やっぱり自分は人によって生かされています。片桐さんに、それを改めて気づかせていただいてとても感謝します。ありがとうございます」。

コラムを読んでくれている方が聞かせてくれたとても嬉しい感想です。自分の仕事に自信があると一人で仕事を完成させて、しかも結果を出せるように思うものです。

しかし、どんな仕事であっても一人で完成させることは出来ません。常に前工程と後工程には人との関わりがあるのです。前後の工程の人の協力なくして仕事で結果を出すことはできません。前の人が良い仕事をして自分にバトンタッチしてくれるから、仕事をスタートさせることができているのです。後工程の人がバトンを引き継いでくれるから仕事の流れができるのです。

前後の工程がないものとして、自分ひとりで前後の仕事を実行しなければならない事態を想像して下さい。とても抱えきれないことや、一人の能力では実施できないことを知ることになります。スポンサーや上司を説得できる企画書はどのように書くのか。原材料の調達はどうするのか。金融機関との交渉はどうするのか。製品作りはできるのか。お客さんへの営業活動はどうするのか。そして売り上げの管理や仕入先への支払いは何時、どうするのか。など、自分の守備範囲以外の仕事が存在していることに気付きます。

自分は仕事の中の一部分を担っているに過ぎないことを知り、仕事の仲間の協力に感謝したくなります。そして大事なことは、自分がその仕事から抜けてしまうと、忽ち、自分の前後の人が困ることになります。自分の前工程の人にとって、自分の仕事はその人にとって後工程であり、後肯定の人にとって自分の仕事はその人の前工程に該当するからです。自分も誰かの仕事の前後の工程を担っているのです。

仕事に関わっている全ての人に感謝し、そして自分の仕事も前後の人、そして仕事全体の成果に深く関わっていることを知り、会社においても、社会においても大切な役割を担っている責任感を感じる必要があります。

感謝の気持ちと責任感を持ち、そして人とつながっていること、特に工程の前後の人が仕事の成果を支援してくれていることを意識して役割を果したいものです。