コラム
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2014/3/26
1433    時間軸

時間軸の視点を持つことは問題解決に役立ちます。人は今を生きているので、基本的に長い視点を持つことは不得意です。早く解決したい、早く結果を出したいと思うため、常に早急さを求めています。スピードは大事にすべきですが、大きな課題や難しい問題にも同じような対応をしていても解決することはできません。そんな時、時間軸を大きく伸ばすことで解決の方向性が見つけられます。

この時間軸は中国の歴史から学べます。清の李鴻章が香港をイギリスに明け渡す時のことが参考になります。イギリスが香港を99年間に及んで占拠することになった時、李鴻章は清国民の批判に対して答えました。「99年は長いかも知れないが、100年後の子孫からすると昨日のことだ」。

その時の問題を解決する方法は長い時間軸で見ることだと分かる事例です。今は批判があっても、香港をイギリスに明け渡す以外に方法がなければ、その方法を取り国民を助けるという決断をしています。100年後の子孫からすると、香港は過去イギリス植民地だったかも知れないけれど、今は本国のものであると思うのは当然です。歴史は時間軸の視点で考えたことを華麗に演出してくれました。イギリスからの返還後から21世紀の香港の発展を見ると明らかです。香港は経済的に重要な拠点となり、世界の金融センターとしての地位を得ています。経済都市、金融都市、そして観光都市としての現在の香港があります。もしイギリスの植民地になっていなければ、他の中国の都市と同じような歴史と発展の道を辿ってきたと思います。

私達は時間軸という視点が必要なのです。今は敗れたとしても5年後には復活する方策を巡らせておくことや、10年後に幸せになれるような行動をすることなどは、長期的な時間軸を有する人の特徴です。人は今だけに生きていますが、未来と過去という概念を持っています。優れた人は、未来にどうあるべきかを考えて今を生きているのです。だとしたら今を生きながら未来のあるべき姿も描いているのです。未来のあるべき視点を持っていることは、時間軸を有しているということです。

時間軸を持つということは希望でもあり不安でもあります。動物は未来や過去はなく今だけに生きています。今だけ生きることは未来への不安はないことなので素晴らしい生き方ですが、未来がなければ発展や成長はありません。また死に対する恐怖もないのです。何故なら未来という概念がないからです。

時間軸を持つということは限られた時間を生きていることを知り、自分が成し得ないことでも次の世代に託すことができるということです。100年後の未来を描いていれば、今を生きている自分は、ここまで成し遂げておく、そして次の世代はこの辺りまで達成してくれるだろうと描きます。その次、孫の世代になると自分の思いは実現している世界になっていると未来予測ができるのです。

現代の問題や悩みの全ては、その頃、解決されている筈です。生きていられる時間は今だけですが、人は未来という時間軸を持つことができます。未来が存在していることを知り、その時間軸中で問題を解決しようと考えられると、今ここにある問題の全ては未来に向かう過程において解決できるのです。時間軸という視点を持ちたいものです。