コラム
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2014/3/20
1430    自己肯定

教育で必要なものは自己肯定であることを伝えてくれました。自己肯定とは、自分がやって出来たという感覚を味わうこと。つまり達成感を味わうことです。出来たという体験は自分を肯定する体験ですから、次に向かう意欲が起こります。

ところが自己否定になるような大人の接し方があります。「どうしてできないの」、「何故やらないの」、「○○さんは出来ているよ」など、子どもを責める言葉や他人と比較して劣っていると思わせるような態度は、自己否定になってしまいます。そうすると自信を失い、「自分はできない」と思い込んでしまうのです。そうなると勉強は能力の問題ではなくなってしまいます。英単語を覚えられない子どもが増えていると聞きました。何度も繰り返して、時間をかけると英単語は覚えられると思いますが、時間をかけても覚えられないケースがあるのです。それは頭が自己否定してしまっていることから「自分には出来ない」と思い込んでいるからです。出来ないと思いこむと、覚えることはできなくなります。覚えることだけではなくて、他のことも出来なくなってしまうのです。頭で出来ないと思い込んでしまっているからです。脳が出来ないと思い固まっている状態に陥ると、出来ないから抜け出せなくなるのです。水の中にスポンジを入れると水を吸収していきます。しかし水の中に石を入れても表面が濡れるだけで浸透しません。脳がフリーズしている状態とは、水の中に石を入れるようなものですから知識も何もかも吸収しないのです。

ですから自己肯定出来る子どもになってもらいたいのです。そのためには出来たと思える体験をすること。簡単なことでも、出来た時に褒め言葉を伝えること。

子どもは頭を使ってできた体験、先生に褒められた体験、参画している意識を感じている時に自己肯定します。教育ではこの自己肯定がとても大事なことです。

自己肯定して勉強や作業をしている時は時間の経過が早く感じられます。仕事や作業に没頭していて、「あれっ、もう一時間も経過している」など思った体験は誰にでもあると思います。そんなフロー体験をすることも、とても大事なことなのです。フロー体験をした経験のある子どもは、勉強して新しい知識を得ることに快感を覚えることができるからです。

尤も、最初から難しい勉強に入るのではなくて、ウォーミングアップとして簡単な問題を解いて「出来る」と思ってから学習に入る必要があります。簡単な問題でも出来た場合、大人は子どもに対して褒め言葉を伝えます。出来る体験、褒め言葉があって自己肯定出来るので、そこから勉強に向かうフローの姿勢が出来るのです。

ある日突然、奇跡は起こりません。しかし小さなできる体験を積み重ねていき、それが大きな塊になると奇跡が起きるのです。つまり奇跡とは今まで出来なかったことが出来ることですから、小さなことが出来ることが積み重なると大きな出来る体験となり、それが奇跡として現実のものになるのです。奇跡とは自分が小さなことを実行、それを継続してきた中から生まれる事象なのです。

自己肯定出来る子どもは、大人になっても自己肯定の視点で社会の出来事を見ることができます。問題解決能力があるという状態です。そんな自己肯定は、出来るという体験から生まれます。小さなことでも、大きなことでも出来る体験が必要なのです。ですから、小さな出来る体験をすることを始めたいものです。