コラム
コラム
2014/3/14
1428    都市づくり

和歌山県で大規模開発中の学園城郭都市ふじと台について、浅井建設グループの浅井会長が講演してくれました。浅井会長の家訓は「蒔かん種は生えぬ」で、子どもの時から家訓を抱いて頑張ってきたそうです。母親はとてもできた人で、父親のことを「立派な人でした」、「偉い人でした」、「社会に貢献した人でした」など褒めていたそうです。会長は15歳の時に父親を亡くしていますから、母親の言葉によって自分の父親が凄い人であると認識し、「父親よりも偉くなってやる」と思って仕事に取り組み始めたということです。28歳の時に大規模開発に関ったことから2億円の負債を掴まされたこともあり紆余曲折の人生でしたが、ふじと台の開発では、これらの経験が全て役に立ったようです。

現在ふじと台のある場所は、開発前は山林だったので、坪単価は300円から500円程度だったそうですが、山林の購入に対して銀行がお金を貸してくれる筈はありませんでした。

そこで「蓮池に鶴」という言葉で金融機関に融資を迫ったことも話してくれました。これは思い込みでしたが、この強い思い込みが夢を実現させる原動力になったのです。この開発事業は、借金をしながら全て自分の責任において事業化を図っている途中です。その信じるところは、社会のお役に立ちたいこと。人のお役に立ちたいこと。人のモデルになるように人生を生きたいということ。それらの使命感が事業推進に情熱を向かわせているように感じました。

ふじと台の構想があったのは今から30年前のことでしたが、工事に着手したのは今から15年前のことだそうです。夢を実現させるまでには長い時間が必要なことが分かります。途中で諦めたらそこで終わり。夢は諦めない人だけが見ることができるのです。ふじと台に着手してから今日まで、まだ全体構想の約50パーセントが完成した段階であり、完成までに要する残りの期間は約15年と見ています。

このまちを都市にするために必要な機能は、ホテル、ショッピングセンター、病院、遊び場所、文化施設などで、完成に向かう過程で建設することも視野に入れているようです。

都市計画には資金が必要であること、情熱を燃やし続けることが必要なこと、実現させるまでには長い時間が必要なこと、などがあります。この事業を、和歌山県も和歌山市も都市づくりのモデルケースにして欲しいと話してくれました。

またふじと台に新設された和歌山大学前駅ですが、建設費用は約34億円でした。この建設費を値切るよりも早期竣工を目指したため、それだけの費用が必要となりました。これだけのお金を借り入れすることは流石に躊躇したようですが、「命を取られても駅を壊すようなことはしないだろう」と思って支出したそうです。都市づくりという命懸けの仕事をしていることが分かります。

現在もふじと台で住宅は、年間約150軒は売れ続けているそうです。現在は設置されている小学校も駅、ショッピングセンターもない時代から、ふじと台は売れていたのです。その売れた要因は、学園城郭都市という構想があったことにあります。都市づくりに関して明確な思想があったことから、購入者が安心できたので売れたのです。

ここにまちづくりの真髄を見たような気がしました。語り継いで欲しいまちづくりをしていると自信をもって語ってくれました。誇りある人生の話を聞くことは素晴らしい体験です。