コラム
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2014/2/28
1418    喧嘩をしない

お世話になっている経営者Aさんから、一緒に電車で移動している1時間に、いくつかの教えをいただきました。

絶対に喧嘩はしてはならないこと。喧嘩して勝ったとしても、それだけの話です。この国でビジネスをしている限り、もしかしたら明日、喧嘩した相手の会社に頼み事をする依頼があるかも知れません。喧嘩した相手の頼みごとを聞いてくれることはありませんから、次のビジネスでは負けることになります。その場は勝って溜飲を下げても、その次の日に負けるようなビジネスはしてはならないのです。

Aさんは自分が正しいと思っていても、絶対に勝てると思っていても、相手を追い込むような喧嘩はしないことを心掛けているようです。

過去にトラブルのあった人同士で裁判がありました。友人からの依頼で経営者は証人として出廷したのです。裁判の相手はAさんも同じように喧嘩をしている相手で、裁判で叩き潰せる機会でした。

しかし法廷で聞かれたことに対してAさんは全ての質問に対して、「過去のことなので記憶にございません」と答えたのです。事前に、依頼のあった友人に対しても当時の記憶がないから「お役に立てない」と伝えていました。そして法廷でも「当時のことは記憶にありません」と答えたのです。

Aさんにとってその相手は喧嘩している人でしたが、その裁判においては直接被害を受けているものではなく、またそのビジネスに関っているものではありませんでした。Aさんのビジネスのルールとして、お互いに関係のない分野で足を引っ張ることは避けたいという考えがあり、その裁判では喧嘩をしないようにしたのです。

勿論、それで相手を助けただとか、貸しを作ったなど小さなことを考えているものではありません。ビジネスで喧嘩をしないこと。そして裁判のような場にビジネスのトラブルを持ち込まないことが社会の信用だと考えているのです。

トラブルが発生したら話し合いではなくて裁判に持ち込まれると社会から思われると、信頼できない相手と看做される恐れがあり、それ以降のビジネスの壁になるかも知れないのです。無用のトラブルに巻き込まれないように、絶対に喧嘩はしないことを心掛けているのです。

人との付き合いに必要なものは、自分が社会から信用されていること、その仕事に関する信頼に足る計画があること、そして資金力があることです。加えて信頼関係を醸成するための時間が必要となります。昨日、今日会ったばかりの相手と重要な仕事に着手することはありません。パートナーを組むということは自分の信用を相手にも分け与えることになりますから、その相手が社会から信頼されていない人物であった場合は、自分の信頼もマイナス評価されることになります。

ビジネスのパートナーを組むかどうか考える場合、信頼できるかどうか見極めるために、懇親会の開催や小さな仕事を依頼して仕事のやり方や成果を確かめます。それを何度も繰り返して信頼できると確信した場合、初めてビジネスパートナーとして仕事ができるのです。

大きな会社と仕事をする場合や大きな案件を取り扱う場合は、社会からの信頼と事業計画、資金力を証明するものが必要となります。それを揃えて仕事をしたいものです。