コラム
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2014/2/21
1413    整理整頓の理由

Oさんと話していた時に、「僕の机がきれいな理由を知っていますか」と微笑みながらの質問がありました。いつも職場の机の整理整頓ができているOさんですが、この質問を契機としてその理由を教えてもらいました。

Oさんが新入社員の時に配属された当時の職場にはSさんという先輩がいました。Oさんの面倒を見てくれる仕事のできる先輩で、OさんはS先輩のことを尊敬していました。仕事をしている時にOさんは気付いたことがありました。それはSさんの机が常に整理整頓されていることです。周囲の人の机を見渡すと書類の山や机が散らかっているのが大半でしたが、一人だけそうではなかったのです。それから尊敬するSさんのように仕事ができる人になるには整理整頓が必要だと思い、机をきれいに保つようになったのです。

そんなある日、Sさんが自分の机のきれいな理由をOさんに話しました。「僕が新入社員の時に教育をしてくれたのが片桐さんという人でした。片桐さんの机は整理整頓されていて、書類ひとつありませんでした。電話もないくらいでした(笑)。机のきれいさと仕事の速さは凄かった。机や態度を見ていると仕事をしていないと思うのですが、知らない間に仕事をやり終えているのです。片桐さんはいつ仕事をしているのかと思うくらい凄かった。それを見習って僕も机の整理整頓をしているのです」と話したというのです。これは初めて聞く話でした。

その後、職場を異動して私はSさんと違う職場になりましたが、時々、電話をしたことがあります。新人だったOさんがその電話を取ったことがあるそうですが、その時、「尊敬するS先輩が話していた片桐さんかな」と思っていたそうです。そんなことから、ずっと以前から、まだ会ったことのない僕のことを知ってくれていたそうです。

「ですから僕が机の整理整頓をしているのは尊敬しているSさんの影響であり、そのSさんに影響を与えた片桐さんが原因となっているのですよ」という話を聞かせてくれたのです。

とても嬉しい話を聞かせてもらいました。人は人にどんな影響を与えているのか自分では分からないことがあります。良い影響を与えている場合もあれば、良くない影響を与えていることもあると思います。でも人に良い影響を与えて、その後の仕事に反映され続けていることは素晴らしいことだと思います。

先輩が後輩に伝えるべきものは、マニュアルの指導や仕事のテクニックなどではなくて、長く社会人として生きていくための基本や、人としての常識だと思います。そして後輩を導くためには、仕事ができることが条件です。仕事ができない人や尊敬されない先輩の言うことを後輩は聞くことはありませんし、仕事の姿勢を真似ることもありません。できる先輩だから後輩に良い影響を与えられるのです。

机の上をきれいにすることはビジネスパーソンの基本です。机の上が散らかっていたり、書類が積み重ねられていると仕事の能率が落ちます。多くの書類は時期を過ぎると必要がなくなります。書類は意思決定、報告、連絡、協議などの役割を果すために作成するものですから、意思決定、報告などの役割を果たすと必要性は失われます。それよりも新しい情報を得ることや次の仕事に向かうためには、整理整頓されている環境が能率的だと思います。

伝えられるものがある。伝えていることがあるのは幸せなことです。