コラム
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2014/1/29
1398    陰で支えている

平成26年新春仕事始めを1月6日にした会社があります。ここで働く人は一年の始まりに際して事務所に入り、同僚などと新年の挨拶を交わします。そして自分の机に向かい仕事を始めます。当たり前のような事務所の風景です。

そんな従業員の皆さんの事務仕事を支えている人がいることを知りました。ビルを管理している皆さんの仕事です。1月6日の仕事初めの日を快適に、そして直ぐに仕事に着手できる環境を整えているのがビル管理者の皆さんです。1月6日の勤務時間前に全館空調のスイッチを入れても、設定通りに暖房は効かないということです。それは年末からの9連休のためビル自体が冷えているので、仕事始めの当日に暖房のスイッチを入れるだけでは部屋が暖まらないのです。

そこでビル管理者の皆さんは1月4日、5日に出勤して空調の試運転を行っています。この目的は、休止期間がある空調設備が稼動することを確かめること。もう一つの目的はビルの躯体を暖めておくことです。二日間、ビルを暖めておくことで1月6日に空調立ち上げた時、事務所は設定温度の通りに室温を上げるので、ここで働く人はいつも通り即仕事に取り掛かることができるのです。

ビル管理責任者のYさんと話す機会がありました。「お正月明けから、みんな出勤していない中での仕事は大変だったですね」と尋ねると、「快適な職場環境を作るのが今の私達の仕事ですから出社することを当然だと考えています」という答えでした。

「空調を立ち上げることに関して、こんな仕事をしてくれていることは誰も知らないと思います」と質問を続けると、「知らないと思います。でも知ってもらえなくても、私達はプロの仕事をしていると自覚しているので満足しています」という答えでした。

ビルを管理して快適な仕事環境を整えるのがプロの仕事ですが、本来の勤務時間でもないのにお正月明けに出社してプロとしての仕事をすることは誰にでもできることではありません。尤も、誰にでもできないことをやってのけるのがプロですから、Yさんチームはビル管理のプロ集団であるといえます。

私達は人に支えられて活動できていることを忘れてはいけません。お正月明けの初出勤の時に暖房が利いているのは当たり前だと思っていますが、実はそうではなかったのです。ビルを管理してくれている人がいるから快適な作業環境が整えられていたのです。

そして1月6日の朝、事務所はきれいに保たれていました。ビル管理をしてくれている皆さんが、就業時間前に清掃とゴミ処理などをしてくれているからです。そんな陰で仕事をしてくれている人のことも多くの人は知りません。

この点に関しても、「みんなが出社する前の早朝から仕事をしてくれていることに感謝しています」と伝えると、「みんなが出社する前に仕事を終わらせるのは私達にとっては当たり前のことです」と答えてくれました。

人が知らないところで、人に役立つ仕事をしてくれている人達こそプロです。出勤前に仕事を終わらせているプロがいることを知り感動しました。

私達を支えてくれている人がいるので、私達は自分の役割を果すための仕事ができています。社会は人によって支えられ、動いていることを覚えておきたいものです。