コラム
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2014/1/27
1397    タイムマシン

本当に実家ってタイムマシンだと思います。お正月位しか戻ってゆっくりする時間はないけれど、やはりタイムマシンに乗って時代を遡るような気がします。かつての自分の部屋の空気は当時と変わらないままで存在しています。あの頃とは部屋の雰囲気は変わっているけれど、懐かしい空気はそのまま感じることができます。

あの当時、部屋の壁にはビートルズのオリジナルアルバムのジャケットを飾っていました。その下にはロッキーのポスターとロッキーの映画のパンフレットの写真を飾り、ステレオ、スキーの板、テニスラケットもあった若い部屋でした。この部屋で過ごしたのは高校時代から20歳の終わりまでですから、タイムマシンのようでもあり、部屋に入るとタイムカプセルの中に入ったようにも感じます。

高校一年生の時に田尻の家に引越しをして、自分の部屋をもらった時の嬉しさが蘇えります。気分通りにレイアウトを変えて自分の部屋を彩りました。小学校の時に集めていた切手も保存してあったし、映画のパンフレットもたくさん保存していたと思います。

この家で育てられ、この部屋で嬉しいことも悲しいことも体験しました。素晴らしい人生を過ごしている人はたくさんいると思いますが、この両親の元で生まれ、育てられ、今では古くなっている一戸建ての家で生活したことは、かけがえのない時間であり財産です。

毎日過ごした部屋に立ち入るのは一年に一度だけとなっていますが、そのままで存在していることは嬉しいことです。

1977年に観たロッキーは35年が経過した今も勇気付けてくれますし、ロッキーのテーマを聴くと燃え上がるものを感じます。1977年に公開され、当時熱狂させてくれた映画スターウォーズは、その後、作品が作られ続けています。

この部屋は今も近くで存在していますが、ここを出発点として、時間的距離としては、当時からは考えられないほど遠くまで来ています。学生時代を過ごし社会人としてのスタートを切ったのはこの部屋です。特別な空間としていっぱいのものが詰まっています。

1970年代から1980年代には4人で暮らしていた家ですが、1990年代には3人になり、2000年代には2人に、そして2010年代には1人になっていることに気付きました。4人の生活ですから二階まで部屋が家族で詰まっていましたが、今では二階に行く必要がなくなっています。懐かしさと共に、そんな寂しさも感じるようになりました。

この部屋で暮らした時を起点として、本当に遠くまで人生の旅を続けています。活動の領域も生きる世界も、あの頃と比較すると遠いところの出来事のように感じます。大袈裟に言うと、今の活動は地球から離れて宇宙を旅しているような感じもありますが、時には地球に戻って自分を取り戻せているように感じます。

携帯電話もインターネットもなかったあの頃と同じような空気があります。居酒屋もスナックにも行ったことのない頃の空気があります。政治にも経済にも興味がなかった頃の空気もあります。自分のことだけに夢中になれた頃の空気もあります。

携帯電話もインターネットも使っていますし、居酒屋もスナックにも行くようになっています。政治も経済もあの頃よりも知識と経験が増えて話ができるようになりました。でも何もなかった時も幸せだったと思うことがあります。人生って不思議です。