コラム
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2013/11/29
1370    人生で得るべきもの

ある方の告別式に参列させていただきました。98歳で天寿を全うされたおばあさんの告別式です。最後まで式場にいさせてもらったのですが、喪主さんのお礼の挨拶に感動させてもらいました。静かな挨拶でしたが熱いものを感じました。

その挨拶の一部の内容です。「高齢のため弱っていた母親は、寝たままでほとんど話しはできませんでした。そんな母親が息を引き取る瞬間、わずかですが口を開いて、独り言のような「楽しかった」と言ったのです。そして私たちに対して「ありがとう」とかすかに言ってくれました。そして最後にこれも独り言のように「幸せでした」と言ったように思いました。意識はなかったかも知れませんが、動いた口からそのように聞こえたのです」という挨拶の中の一節です。

人生のあり方を表した言葉に瞼が熱くなりました。人生の冥利は、一言で「人生は楽しかった」といえることだと思います。自分の人生を「実に楽しかった」と思えることが最高の人生の過ごし方だと思います。

本当の人生は楽しいものだから、自分でその旅を楽しいものに企画することがやるべきことです。どこに行きたいのか。そのための道筋と日程、そして予算などの計画を立てること。そして生き方の結果を出して、人生の決算までを行って締め括ること。ワクワクするような旅行の企画は楽しいものですから、人生という旅は最大の未知への冒険ですから最もワクワクして楽しいことなのです。楽しい筈のことを楽しくすること。それが人生を生きることなのです。

そして周囲のお世話になった人に対して、「ありがとう」という言葉を伝えることは人生の最後の仕事です。お世話になった皆さん一人ひとりに「ありがとう」の言葉を残したいと思います。

かつてお世話になった人が亡くなり通夜式に参列した時に、粗供養をいただきました。帰路、参列した皆さんと乗り合わせた車で移動したのですが、途中、粗供養の品を開けた一人が驚きの声をあげました。参列のお礼の文章を読んで驚いているのです。どうしたのかと思い、私も開けて読んだところ言葉がありませんでした。そこには亡くなった本人が、最後の力を振り絞って病床の上で書いたお別れの文章が書かれていたのです。亡くなることを覚悟した人間が、亡くなる直前にお世話になった人に対してメッセージを残したのです。そのタイトルは「お世話になったみなさんへ」でした。お礼文は「ありがとうございました」という言葉で締め括られていました。お世話になった人に伝える最後の言葉として相応しい言葉は「ありがとう」です。

そして「幸せでした」という言葉です。楽しかったと同じことですが、「人生が幸せ」だったと振り返ることは、本当に幸せなことです。

人生の旅を楽しいものにして、周囲の人には感謝の気持ちを持ち、自分に対して幸せだったと思えるプレゼントができること。こう思えることが最大で最高の人生ですから、それを心掛けた生き方をしたいものです。

人生の旅で得るべきことは、「楽しかった」、「ありがとう」、そして「幸せでした」のシンプルなみっつのことなのです。