コラム
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2013/11/12
1358    思いを実現する

思いを実現する。その素晴らしさを間近で見ることができました。平成25年11月10日、津秦自治会館が完成、竣工式典が開催されました。幸運なことにお招きをいただき出席する機会がありました。これまで津秦自治会には自治会館がありませんでした。会員同志の交流、そして自治会総会など開催する場所がなく、その都度場所を借りている状態の活動だったようです。そして東南海・南海地震への地域としての対応、東日本大震災の発生などにより、「自治会としてどうしても地域内に自治会館が必要」であると思った自治会長が、一気に行動に移しました。

自治会の役員への相談、総会での提案、和歌山市役所への支援の依頼、連合自治会への相談など行動を起こしました。地域に必要なものであり、恒久的に自治会の財産として残るものとして自治会館建設を公約にして、会員の皆さんから請われて就任した自治会長の行動は凄まじいものがありました。

自治会館建設には1千万円を越える資金が必要であり、自治会が借金を負うことを良しとしない会員もいて建設は困難を極めました。自治会総会での反対意見への対応や、支援を受けるための竣工年度の問題。そして自治会が金融機関から建設資金を借入するために法人化を図りました。

自治会館建設は自治会員の交流スペースとして必要なこと、災害発生時に逃げられる共通の場所として必要なことなどから、自治会長として何としても実現したいと考えた公約でした。そこに会員の皆さんの同意の問題と資金の問題が立ち塞がった訳です。

途中、反対する会員さんから退任を求める要求もあったようですが、会長以下役員の皆さんは熱意と行動力を持ち、地域に必要な施設であると信じ、反対意見から決して逃げませんでした。ある年度の自治会総会においては、もし会長を初めとする三役の退任要求があった場合は、辞めることを決意して総会に臨みました。その気迫が総会会場に満ちて、総会で自治会館建設の提案が同意され、いよいよ建設に着手することになりました。

そして2年半の月日を経て竣工式典の日を迎えたのです。自治会長の挨拶の時は、ずっと涙が溢れそうでした。自治会に必要だと思って掲げた公約を実現できたこと、困難を乗り越えて今日の日を迎えられたことなどから、今日の日の感動につながったのです。感動の挨拶の後に長く挨拶をすることは余韻を削ぐことになることを感じたほどでした。感動で言葉に詰まる。そんな体験をすることも素晴らしいことですし、そんな場所にいて感動を共有できることも素晴らしい体験です。

幸い来賓の席は一番前だったので、会長の見えない感動の涙を近くで感じることができました。同じように司会者も見えない感動の涙がありましたし、まだ20歳代前半の青年部会長の目にも感動の涙が見えました。世代を超えて感動を共有できる事業を成し遂げたのです。これがみんなで思いを実現させた力であり、みんなで継続して取り組んできたことの力なのです。感動はその時だけ、その一瞬だけ頑張って得られる感情ではありません。

継続した行動と、継続した努力、そして思いを継続させる力が、思いが完成した時に感動というゴールにつながるのです。

竣工式典の日は、津秦自治会にとって忘れることのできない一日になりました。