コラム
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2013/10/31
1353    約束の時間

時間の大切さは今更言うまでもありません。では時間を大切にするということはどういうことなのか考えさせられる出来事がありました。自分では、自分の時間を大切にしたいと思っています。ところが相手の時間を大切にしているかというと、そうなっていないことがあります。

誰かと会う時間を約束すること。誰かと仕事の時間を約束すること。例えば、「来週金曜日の午後6時から1時間、予定を入れておいて下さい」と約束します。ところが前日になって約束の相手から「明日、大事な仕事が入ったから予定はキャンセルして欲しい」と電話があったとします。これからも引き続いて仕事をしていく関係でいたいと思ったり、信頼関係を保ちたいと思っているなら、笑顔いっぱいの電話の表情で「大丈夫ですよ」と答えます。

ところがこの場合、相手は自分の時間を大切にしていないことになります。1時間、その人のために空けているのです。その人との約束があるため他の予定を全てキャンセルしているのです。あり得たかも知れない誰かとの出会いも、収入を得られたかも知れない仕事もパスしているのです。

約束の時間とは、そんな大事な時間なのです。約束の日から、その一日の1時間のために時間を空けているのは、その相手を信頼しているからです。

しかし約束の前日になって、相手が他の約束を優先させてこちらとの約束がキャンセルされる。その意味するところは、相手は自分のことを大事に思っていないこと。自分の時間を大事だと思っていないということです。

本来なら約束して手帳に書き込んでいる時間は優先すべきものです。手帳に書き込んだ約束は優先すべきものですから、後からの案件はその時間を外して対応すべきものです。それなのに約束していることよりも、後から入った用件を優先させるということは、こちらの用件を大事に思っていないということです。それよりも約束している私のことを大事にしていないということになります。

私の時間を大切に思ってくれない人のことを信頼できるでしょうか。多くの人はそうは思わないのです。このように約束を守らない人は信頼を失うことになります。

約束の人が仕事をしている人であれば、その1時間は本来稼げるはずの1時間だったのです。会うことを約束しているということは、相手の時間を縛っていることになります。その人は自分のために、仕事をしていれば収入を得ていたはずの大切な1時間を、決して収入を得られない自分と会うために確保してくれていたのです。

そんな大切な約束の時間をキャンセルする人は時間泥棒です。時間を大切にするということは相手の時間も大切にしなければなりません。誰でも自分の時間を大切にしようと思い、時間を最大限に活かせるように行動しているのです。

最大限に有効にしようとしている大切な時間を、隙間の時間に変えてしまうのが約束をキャンセルするという行為です。「直前になって約束をキャンセルするということは私を軽く見ているということです」、そして「自分が好きなことだったら直前にキャンセルしないでしょう。ゴルフが好きな人が手帳にゴルフと予定を書き込むと、ゴルフに行きますよね」。まさにその通りです。相手の時間を大切にすることは、自分の信頼を得ることです。