コラム
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2013/9/12
1325    ドレスリハーサル

舞台などで本番の前日などに、本番用の衣装を着用して練習することをドレスリハーサルと言うようです。これは本番さながらのリハーサルですが、お客さんがいないので、やはり練習は練習です。お客さんに来てもらって舞台は完成しますから、完成させるためには本番に臨まなければならないのです。

ところが人生においてドレスリハーサルをしている場合は多いのですが、本番に挑んでいることは少ないのです。本番は常に挑戦と緊張の連続です。人は日々楽をしたいので、極力それを避けたがります。

しかし人生はドラマです。自分の日常においてドラマ撮影のためのカメラが回っていると思い、自分の生き方を客観的に見ることをお勧めします。あなたが主役のそのドラマは観ていて楽しいものでしょうか。スリルやエンターテイメント性はあるでしょうか。危険に挑戦し、それを乗り越える過程があるでしょうか。愛と冒険に満ち溢れているでしょうか。

ドラマは波乱に満ちたストーリーがあるから観ようと思うのです。ストーリーに波乱がなく危険がなく、立ち向かう場面がなく、恋人が登場しないようなドラマは観たいと思いません。観ていても何も起きなければ退屈だからです。それなのに人は自分のドラマは退屈なものにしようと工夫しています。冒険やスリルを避け、エンターテイメントも排しています。危険を察知して予め避けて、安全な道を選択しています。

そんなドラマは歓迎されることはありません。自分が観ていてもつまらないドラマであれば、観て楽しめるように改善すべきです。自分が主役のドラマを楽しいものにしなければ、幸せな時間になりません。そしてドラマは何時までも続くものではなくて、数十年も経過すれば終わるドラマなのです。

退屈なドラマで終えたいと思いますか。何話続いても同じことの繰り返しで、ドラマ性に欠けるような作品にしたいと思いますか。危険もない変わりにスリルも幸せもないドラマにしたいと思いますか。自分が傍観者でいるドラマでは、主人公が危険に遭遇し、それを乗り越える場面を期待しています。エンターテイメントが詰まったドラマを期待します。そして困難に立ち向かい成長していく姿と、人々から愛を得るフィナーレに感動するのです。

他人のドラマには襲い掛かる困難とそれに立ち向かう勇気を期待しているのに、自分が主役のドラマでは平凡で何もないことを求めています。

人生はドレスリハーサルではなく本番の連続なのです。ドレスリハーサルを演じている暇はあれません。しかも人生ドラマは短編です。終わろうとしている時や終わった後に後悔しても演じ直すことはできません。

ドレスを着て自分では本番のように思っていても、リハーサルはリハーサルです。やり直せるという気持ちがそこに存在しています。今日はリハーサル、上手く行かなかったとしても明日もリハーサルする時間があると思いたがるのです。

お客さんのいない場所でリハーサルを続けていても、人生のカメラは回っていません。本番を演じない限り、人生のドラマは記録に残らないのです。自分が主役のドラマを、楽しくて感動があり、危険があっても挑戦し乗り越える。そして愛と冒険に満ちたものにしたいと思います。自分が鑑賞して見たいと思えるようなドラマを作り上げたいものです。