コラム
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2013/7/29
1300    一言

「子どもは人の心が読める」という話です。おじいさんが7歳の孫と一緒にコンビニを回りました。某コンビニではアニメキャラクターのスタンプラリーが企画されていて、応募用紙を持って複数の店舗を回ったのです。

すると子どもがコンビニを出た後の車の中で言うのです。

「今のお店は感じが良かったよ」、「今のコンビニは感じが悪かったよ」と都度、感想を話してくれるのです。おじいさんは最初、気分的なものだと思い聞き流していたのですが、何故、お店によって感じ方が違うのだろうと店内の様子を思い起こしたのです。

そうしたところ、「アッ」と気づくことがありました。子どもが「感じが良い」と話したところと「感じが悪い」と話すコンビニの店員の態度が違っているのです。

「感じが良い」コンビニは、子どもがスタンプラリーの応募用紙をカウンターに持っていくと「スタンプたくさん貯まった」だとか「もう少しで全部だね」などの一言を子どもに掛けているのです。

対して「感じの悪い」コンビニは、同じように子どもが応募用紙を持っていっても、無言でスタンプを押すだけでした。

そのことに気付いて、その後、スタンプを押してもらった後の子どもの感想を聞いていました。推測どおり「頑張ってね」だとか「もう少しだから」など、何か一言掛けてくれる店員のいるお店は「感じの良い」お店であり、無言のコンビニは「感じの悪い」コンビニだったのです。

感じの良いと悪いお店の差は、お客さんに一言掛けるか掛けないかの差だけです。店内の環境を整えていても、清潔に保っていても、良い商品を揃えていても、それらの全てを超えて重要なことは店員の態度なのです。それも接客に関して難しいことを要求されているのではなくて、お客さんとレジで向き合う時のたった一言だけなのです。その一言が印象を決定付けてしまうのです。

冷たい飲み物を買うお客さんに対して「今日は暑いですね。気をつけて下さい」と一言掛ける。眠気覚ましのガムを買うお客さんに対して「会議ですか。長距離ドライブですか。気をつけて」と一言掛ける。携帯電話の充電器を買うお客さんに対しては「スマホの充電が消耗するのは早いですよね。これがあると便利ですね」と一言掛ける。

こんなお客さんに掛ける一言が印象を良くするのです。もう一度行ってみようと思ってもらえるお店になれるかどうか、店員の態度によって左右されます。

勿論、全てのお客さんに一言掛けるのではなくて雰囲気や急いでいるかなどを感じる必要がありますが、やらない理由を探すのではなくて、やってみることから改善を考えたいものです。

相手に対する思いやりの心を持った一言が相手の心に届きます。それは子どもであっても感じてくれるのです。大人であればなお更です。一言の効用は、ビジネスのシーンでも同じです。一言を伝えることで交渉が成立する場面があります。一言添えなかっただけで交渉が不調に終わる場面もあります。

お客さんや相手の行動に対して、一言を添えることのできる人でいたいものです。