コラム
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2013/7/25
1298    結果を求める

柔道家の野村忠宏選手からの学びの続きです。限界は自分で作っている幻想に過ぎないことを知り、70分の乱取りの時間を試合と同じ意識で練習することができるようになりました。限界を突き破った時点からの厳しい練習が本当の実力をつけるための練習なのです。

試合の5分を意識して70分の練習を続けた結果、半年後の全日本学生選手権で優勝したのです。半年で結果が出たのは練習の成果と、小さい頃から続けてきた結果、柔道に必要な体力と力が身体に宿ったことも要因です。

これが契機となりアトランタオリンピックでの金メダル、そこからシドニー、アテネオリンピックまでの三連覇を果たしました。最初のアトランタオリンピックまでに要した時間は、3歳から22歳までの19年間です。19年間、最初は弱くても柔道を続けた結果、オリンピックの金メダルという果実を得られたのです。練習を続けられた精神力、諦めない力、そして自分にはできるという自信が限界を押し上げたのです。

そんな野村選手でも、試合の前日は怖くて眠れないそうです。前夜、試合に挑むのがとても怖いので、「試合会場が壊れてしまわないかな」だとか「ライバルが怪我してくれないかな」など非現実的なことを思うことがあるそうです。そんな怖さと孤独を克服して、試合会場の畳の上に上ります。その時点では恐怖は消え去り、勝つことだけに意識を集中させています。畳の上では「さあ、来い」という気持ちで戦っているのです。

努力と結果の関係ついての話がありました。どちらが大事なのかという設問に対して「競技選手としては結果の方が大事である」と答えています。本気で結果を出すことを求めるなら、本気の努力することは当たり前のことだからです。本気で目指すものがあれば、練習や毎日の鍛錬の努力は続けられます。人の何倍も努力を続けることが結果を導いてくれます。

つまり「結果>努力」ということになります。結果を出せない努力は努力ではありません。結果を出せる努力が本気の努力ということになります。

競技選手にとって結果はとても大事なものです。それは本気で応援してくれる人がいるからです。本気で応援してくれる人は選手を支えてくれる人です。そんな人が笑顔になれるのは優勝という結果を出した時だけです。本当は負けて納得する応援者はいません。負けた時、「頑張ったから仕方ない」と言ってくれたとしても、内心は悔しいと感じている筈です。

応援してくれる人が笑顔になれるのは結果を出した時だけなのです。そんな笑顔を見るためにも結果を求める必要があります。これがプロの取るべき姿勢であり、周囲を笑顔にさせる力なのです。

最後にもうひとつの学びを書きます。強い選手は、しっかりと組める選手であり、受けが強い選手だということです。攻めるだけではなくて、しっかりと相手を受け止めることができる選手は強い選手なのです。相手を受け止められる姿勢が持てること。これは私達にも言えることです。

常に「自分が」いう姿勢だけでは信頼を得ることはできません。相手の立場を理解し、しっかりと受け止めることで相手から信頼されます。相手を受け止めるためには相手を上回る実力が必要です。そんなに実力を身に付けるためには、結果を出すための練習を続けていることが必要となります。「結果>努力」という公式を覚えておきたいものです。