コラム
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2013/7/22
1296    メンタルの強さ

技術は繰り返し練習することで身につきます。メンタルは体験してみることで鍛えられます。こんな違いがあります。技術は毎日繰り返し練習することで上達し自分のモノになりますが、メンタルは中々鍛えられないのはそのためです。一人で練習をしても、本を読んでもメンタルは強くならないので、数多くの体験をする以外にないのです。

人前で話をするためには、100人の前で話をするためには、体験をすること以外にありません。部屋の中で、一人で何百回も講演の練習をするよりも、1回人前で講演をする方がメンタルは強くなります。二回目からは少しの自信を持ち話ができるようになります。

体験することが自信につながるのです。逆に言えば体験しなければ自信を持つことはできないと思うべきです。

不安になる時を思い出せば分かります。ある時、小学生に物理の実験をするために道具を教室に運びました。小学生の授業なので事前に操作しておかなくても大丈夫だと思っていたら、授業で実験道具を使う時は不安になりました。どのスイッチを入れたら良いのかだとか、上手く動くのだろうかなどの不安がありました。一度も見たことも触れたこともないものを本番で使用することは賢明な方法ではありません。どんなに簡単だと思うことであっても、事前に体験しておくことが不安を取り除き、自信を持って実行することにつながります。

2013年のウィンブルドンテニスで初優勝を果たしたアンディ・マレー選手。報道記事から考えると、優勝できたのはメンタル面を強化したことと自信を持って戦いに挑んだことにあると思います。それは同じ芝コートで決勝戦を戦った前年のロンドンオリンピックでの優勝を経験したことです。しかも決勝戦の相手が芝コートの第一人者のロジャー・フェデラー選手でしたから、その勝利はこれまで勝てなかった相手にも勝てるという自信と、ビッグ大会の決勝戦でも勝てるというメンタルの強化につながったのです。

報道によるとマレー選手に強さを与えたものは、『世界ランキング1位のジョコビッチは「勝利だ」』と話したそうです。2012年のロンドンオリンピック、同年の全米オープンでの優勝の経験です。「重要な試合を左右するのは体力や戦術より精神面。アンディは自分でそれを乗り越えた」と世界ランキング一位のジョコビッチ選手は話しています。

優勝経験が自信となり、2013年のウィンブルドンの優勝につながったように見えます。

やはりメンタル面の強化は体験による自信であると思います。

また優勝したマレー選手は「十分な努力はしている。でも2パーセントか3パーセント足りないんだ」と話していたようです。大きな目標のある人であれば誰でも、今の自分ができる100パーセント努力をしています。でも100パーセントで足りないのは、自信が持てるための体験の部分となる、100パーセントを超える2パーセントか3パーセントの部分だったのです。わずか数パーセントのメンタルの部分が勝者に必要なものなのです。

それは目指すべき大会の前に、大きな大会で勝つという体験であり自信だったのです。

多くの人は100パーセントの力で持って毎日の挑戦をしています。それでも突破できないことがあります。100パーセントの努力をしているのに大きい壁を突破できないのは、数パーセント不足しているメンタルの弱さです。それは勝つ体験を重ねることによって自信となり、それが大きな舞台でも自信を持って戦えるメンタルの強さとなります。