コラム
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2013/7/8
1288    前に立つ覚悟

年月は人を成長させる。平成25年7月の高校三年生の時の同窓会に参加してそう思いました。そう思ったのは当時担任だった岡崎先生の言葉です。

「当時のお前らはたいしたことはなかったけれど、今、役割を担っているおまえらは凄いと思う」という褒め言葉です。確かに「たいしたことはなかったよなぁ」と話しました。秀でたものや熱いもの、そして目指すべきものもなかった高校生でした。しかしあれから34年目の夏を迎えて集まってみると、それなりに荒波立つ社会で懸命に生きています。

しかも他の人への配慮や優しさを持ちながら。みんな、こうして同窓会で集まって飲食できることは幸せなことだと分かっています。世界は今も惨事が溢れ抗争は耐えません。国内を見ても厳しい状況が続いていますが、同窓会の企画も実行もできていることが幸せなことだと思います。

そして人生を生きていたから、担任の岡崎先生の話に納得できますし、今も励ましや教訓をもらえていることに幸せを感じます。岡崎先生は強い先生ですが、それだけではなく人への思いやりや強いだけで生きていけないことを教えてくれました。協調性やいたわりの気持ちが社会で生きていける方法であり、強さを武器に前面に出ることは歓迎していない先生でした。先生が育てた当時18歳の高校生が、今では社会の中枢を担う立場にあるのですから、人を育てることは大事業であり、人を育てられる人は凄い人だと感じます。

そして社会の一翼を担えているかどうか分かりませんが、毎年、成長している姿を先生に伝える機会があることは誇らしいことだと思っています。

同窓会場ではそれぞれが現状を報告しあっていますし笑顔が溢れています。それだけで幸せな人生がそこにあることを感じます。

そんな時先生は言います。「話をしているとおまえらは幸せだと分かる。仕事もやっているし、みんなの前で発言できることは凄いことだと思う。しかし同じ同級生でも参加しない人がいるだろう。そいつらのことも忘れないで欲しい。どんな事情か分からないけれど、参加したくても参加できない事情があるかも知れないから」という話です。

参加しないからといって案内は続けたいと思いますし、何かあった時は助けることも考慮して欲しいという思い。そしてここでは書きませんが、もっと深い意味も伝えてくれました。

高校三年生は17歳から18歳までのたった一年間でしたが、岡崎先生に担任してもらい生き方を指導してもらえたことは本当に良かったと思っています。誰と出会うか、誰が指導してくれるかによって、その後の人生は変わるからです。主要科目の勉強だけ、受験だけ、同級生はライバルなど思うことはありませんでした。

勉強は社会に出てからが必要であること。協調性を持つことが社会では大事なこと。ライバルではなく人とは助け合える関係でつきあうことなどを教えてくれたように思います。

自分が38歳の時、後輩達にそんなことを伝えることが出来なかったけれど、今になれば人を育てることが一番大事な仕事であることを理解でしています。

仕事は誰にでもできますが、人を育てることは難しい事です。人を育てるためには自分が先生の立場に立つ必要があるからです。人生の先生になるためには、人の前に立つ覚悟が必要です。前に立つ覚悟を持っていること。それが大事なことです。