コラム
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2013/5/23
1260    見えないもの

平成25年で91歳の西原孝司さん。福祉施設への慰問活動で年下の入居者に話をして元気付けています。西原さんが来てくれると高齢者が元気になると言われて、毎週二度、慰問を続けているのです。

西原さんの元気の秘訣は、感謝する心を持っていること。他人が幸せになれば自分のところに回ってくると思って目先の利益を考えていないこと。残り生きても10年だとすれば人のお役に立ちたいと思っていること。そして目標を掲げて、その実践と目標の確認を続けていることが挙げられます。

目標は思っているだけでなくて紙に書いているのです。そして平成25年度もその目標を紙に書いて持ち歩いています。

目標を書いた紙を拝見させてもらいました。

平成25年1月元旦と書いた後に、次のように書かれています。「木にある時は枝に委ね。枝を離れれば風に任せ。地に落ちれば土に眠る。神様に委ねた人生なら、木の葉のように一番美しくなって散れるだろう」。これが今年の目標に掲げているのです。あくまでも他人の幸せのために行動する気持ちが表れています。人の幸せを実現させるお手伝いをしたならば、自分の人生は神様が面倒を見てくれると信じて行動しているのです。

そして「道端の花のようにひっそりと、誰かの役に立てたらいいな。神様だけが知っているんだ」とも書いています。これもあくまでも謙虚で、人に知られないで善行を行うことを目標にしています。その善行は誰に知られなくても良いのです。きっと神様は見てくれていると思うからです。人に見てもらうために人に親切にするのではありません。社会に知って欲しくて善行を続けるのではありません。誰に知られなくても自分だけが知っていれば良いのです。神様は天にあり、そして自分の心にあるのです。

もうひとつ書いていた言葉があります。

「支えられているから立っていられる。支えられているから崖に身体を乗り出せる。支えられているから見えない明日に夢を見られる。綱渡りのような私の人生、あなたに支えられて生きている」。見えないものに支えられているから、毎日を安全に、快適に、そして幸せに生きていられるのです。

人と人の関係は見えないものでつながっていて、そして支えられています。誰かを紹介してもらうことがあります。人を紹介するということは、その相手を信頼しているからです。

自分の大切な知人、友人を紹介するのですから、当然その相手は信頼できることが前提になっています。信頼できない相手に友人を紹介することはありません。恥をかくことになりますし、友人に迷惑が掛かかるからです。大事な友人を紹介する根拠は、これも決して見えない信頼というものです。

その人を信頼しているから、自分が信頼している友人を紹介できるのです。このように人は見えないもので動いているのです。

見えないものを大事にする人は信頼される人であり、神様に見守られる人です。見えるものだけで人は動いていません。ビジネスや政治も、企画力や費用対効果も大切ですが、誰とそれをするのかがもっと大事です。誰とするかの基準は、見えない信頼なのです。