コラム
コラム
2013/5/14
1254    元気の素

NPO法人花いっぱい推進協議会の森川勝会長。同推進協議会会長の7期目を迎えているのは信頼の厚さがあるからです。会員同士の仲が良く、活動に参加している会員が多いのが特徴です。その活発に活動している理由を探りました。

花を育てることや鑑賞することが好きな皆さんが、和歌山市を花でいっぱいにすることを目的として発足させたのがこのNPO法人です。しかし好きなだけで活動を継続させ、仲良くいられるものではありません。幾つかの運営のノウハウがあります。

花を育てること、維持管理の作業をすることが目的ですが、好きな作業でもそれだけでは足りないのです。単独作業が面白くないのは話し相手がいないからです。そこで作業を主体とするのではなくて、集まっておしゃべりをする会であり、一緒にお弁当を食べる会であることを主体として呼び掛けを行っています。作業の案内状には「おしゃべりを楽しみましょう」だとか「みんなでお弁当を食べましょう」という一言を付け加えています。

会員の一人は「膝を怪我していたのでその時は作業ができない状態でしたが、一緒にお弁当を食べに行きたいと思って参加しました」、そして「こんな呼び掛けをしてくれることに対して涙がでました」と続けてくれました。

会長の主義は「みんなで会って楽しくお話をして楽しみましょう」ですが、作業と共におしゃべりの時間を十分確保して楽しい会合にしているのです。

ですから「誰々は作業に来ないで弁当の時だけ来る」だとか、「休んでばかりで役に立たない」といって批判の意見を言うことは禁止です。作業を休む人や遅れて参加する人のことを批判すると会は保てません。休むには理由がありますし、遅れるのにも理由があります。

みんなが心にゆとりを持って「用事があるから休みだね」と話し合える関係でいたいものです。

生きることを急ぐと「あの人が悪い」だとか「休んでばかりで役に立たない」という不満や批判につながります。そんな人は人間が小さいのでリーダーではありません。

会長は、二桁の人生を考えていては駄目で、三桁の人生を生きることを考えるべきだと話してくれました。この言葉は聖路加の日野原先生の講演会で聞いた言葉だそうです。人生が二桁代で終わりだと思うと、人を蹴落としてでも自分が良くなろうと思ってしまいますが、100歳以上生きられると思うと争うことは無駄に思えてくるそうです。

人が到達するところまで自分も到達できるので慌てることはないと思うようになれそうです。しかも100歳を超えるまで生きられると思うと、多くの人と仲良くしなければ楽しくありません。一人で生きる人生はつまらないと思います。おしゃべりをする。一緒に食事をする。同じ趣味を楽しむなど、数人で楽しめることが人生の味わいなのです。

幸いなことに、花いっぱい推進協議会には84歳の男性が現役会員として花壇の維持管理作業を行っています。最年長の人が活動している様子を間近で見ているので、自分もまだまだ活動できると思い、そしてこの人のように長く現役でいることを目標にできるのです。

一人で楽しくてやりがいのある活動はできません。顔を合わせて話を交わしながら好きなことに取り組むことが元気の素です。人生は自分のペースで走るレースです。自分だけのレースですから、勝つのも敗れるのも自分の気持ち次第なのです。