コラム
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2013/4/12
1235    見えないものの価値

見えないものの価値というものがあります。社会は見えないもので動いているとも言われていますが、信頼や思いやり、知識や経験、技術などは見えないものです。欲しいマンションや高級車にはお金を払おうとしますが、見えないものの価値に対価を支払いたくないと思う人もいます。事例を示します。

「弁護士に相談したら30分で5,000円も取られた。弁護士の相談費用は高すぎる」。

「入院したら請求額は高額でした。保険に加入していれば高額医療費の取り扱いがありますが、医師の報酬は高過ぎるのではないですか」。

このような弁護士や医療費に関する話があります。見えないものの価値を認めていないことからこんな発言になるのです。

もし弁護士に相談しないで自分で事案が解決できるのではあれば相談しなくても良いのです。でも解決できなくて困っているから弁護士に相談するのだから対価が必要です。もし弁護士の印鑑を押して相手に郵送するだけで事案が解決することがあります。事案を抱えて困っているよりも、事案を短時間で解決できた方が他の仕事に向かえるのですからそれだけでも価値はあります。

自分か弁護士になることを考えてみて下さい。司法試験までの長い年月と大きなお金が必要となります。それでも10年掛かっても弁護士になれるかどうか分かりません。1,000万円お金を掛けても弁護士になれるとは限りません。弁護士は長い年月と費用を掛けて資格を得ているのです。自分ができないような勉強とお金を掛けて自分を磨いてきた人の知恵と知識をお借りするのですから、30分で5,000円の相談費用位は安いと感じて欲しいのです。

医療費も同じです。医師になるためには高校時代の3年間の勉強、大学と大学院での6年間の勉強、そしてインターンとしての研修期間を経ているのです。医師になるまでの10年以上の時間の価値があります。そして医師になるために注ぎ込んだ費用があります。

自分が医師になろうと思ってください。受験勉強と合格後も長くて辛い勉強時間を続けること、費用を捻出すること、そしてお金を稼げるまでになるまでの研修期間などが必要となります。10年以上、勉強を続けて資格が得られるのです。10年勉強を継続するという時間の価値が医療費なのです。私達日本人はそんな高度な医療を受けられる国に暮らしているのです。お金で命や健康を守ってくれることに感謝すべきだと思います。多くの国では高度な医療を受けられない現実があります。

お金を出せば問題を解決してくれる弁護士。お金を出せば高度な医療を受けられる国。そんな国は以外と少ないのです。年月とお金を掛けて資格を得ている人に、業務として依頼する場合はそれに見合った対価を支払う必要があります。困った時に、見えないけれど大きな価値にお金を支払うことは当然なのです。そして他の人にはない自分も見えない価値を有しているのです。自分でお金を稼ぐことで、他人の持つ価値をお借りすることができるのです。

ただで。安くという気持ちは分かりますが、見えないものの価値、つまりその人がそれに掛けてきた大量の時間と多くの費用の存在を認めると、その価値の大きさに気付けます。

見えないものの価値が見えてくると、自分もそのような価値を持ち合わせる人になろうと思ってきます。そして人に与えたいと思うようになります。