コラム
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2013/3/19
1218    輝く明日

卒業の季節。卒業が遠い昔になってしまった年齢になっても、卒業式当日学校の前を通る時に見る光景には感動します。母親共に校門を潜る小学生。友達と共に無邪気に笑う中学生。

嬉しいのか悲しいのか分からない感情で、高校生活の最後の時を友と笑顔で涙を流している高校生。旅立ちの日だけは涙が似合います。そしてこの季節、桜ソングが街を流れます。

今の桜ソングではないのですが、悲しみを誘うのではなくて元気になれる桜ソングが流れています。「友よ、思い出より輝いている明日を信じよう。そう卒業とは出口じゃなく入り口だろう。友よ、巡りあえた最高だった青春の日に。まだ言えなかったありがとうをハイタッチで」。寂しいけれども前に向かう元気が沸き起こる曲です。

作詞した秋元さんは、「今の瞬間の気持ちを思い、励ますようなメッセージ」を贈ってくれています。

数え切れない数々の思い出を抱えていますが、今抱えている大切な荷物よりも、これから始まる時にあなたが出会うものの方が、もっと大切なものになることを信じて今日を終えようというメッセージに思えます。卒業生だけのものではなくて、懸命に今を生きて、悩みながら、楽しみながらも明日を生きるべき私達に向けられたメッセージだと感じます。

その時、この時に偶然巡りあえた人と一緒に仕事ができている今が最高の時なのです。

高校一年生の1年F組の教室。遅れて入ったその教室で空いている席は先生の目の前、つまり一番前の机ひとつだけでした。「しまった。早く教室に来たら良かった」と思っても仕方ありません。「嫌だなぁ」と思ったのですが、その時、隣の席に座っていた奴と一番の親友になるのですから。そしてその時、周囲にいた奴等とその後も一緒に時を過ごすことになるのですから人生の巡り合わせは不思議です。

何も大したことはなかったけれど、最高の青春を過ごせた向陽高校を思い出します。でもまだ「ありがとう」を言っていなかったことを思い出します。高校一年生の時に机が隣になった親友は、既にこの世を去っています。そして時々同窓生で飲み会をしています。51歳になった今、当時の面影は影を潜めようとしていますが、輝いている明日を信じて生きていることが分かります。もしかしたら、あの時よりも明日に希望を持って生きているかも知れません。それはまだ社会で何も達成していなかった高校生と違い、大したことは出来ていないけれども、仕事を通じて自分のやれることをやっている自信があるからです。

50歳にして、今も輝く明日を信じられることを嬉しく思います。まだまだ発展途中。そんな毎日を過ごせているのは、高校時代よりももっと多くの貴重な思い出を抱えることができているからです。今も毎日のように心から感謝できる出来事、そして思い出を抱え続けています。毎日が楽しい思い出に変えることができている。それが輝く明日につながる秘密なのです。

実は私は大したことがないということは間違いだと気付いています。人生に大したことのある日が続くことはないのです。大したことのない毎日を充実させて、楽しく過ごせることができることが素晴らしい人生だったのです。

甲子園決勝戦も、国際大会も、国会に登壇することも人生になくても良いのです。思い出に変わる毎日と、輝く明日を信じられる一日が続くことが大切な生き方なのです。