コラム
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2013/3/8
1211    条例制定

和歌山県議会で策定中の中小企業進振興に係る条例検討会が開催されました。第三回目の検討会は、和歌山県の経済5団体の代表者に出席してもらって意見交換の機会をいただきました。和歌山県を代表する5人の経営トップの皆さんが一堂に集まり意見を聞ける、そして意見交換を図れる機会はそれほど多くありません。とても貴重な時間が流れる充実した検討会でした。

一流の経営者は真剣に向き合ってくれます。検討会の時間は2時間という短い時間なので、ここで伝えるべきことを伝えようとしてくれます。和歌山県の中小企業の現状の厳しさと必要と考える支援について語ってくれました。それは生きた経営学の勉強になるものです。

厳しい経営環境の外的要因はデフレ経済。円高、サプライチェーンが切れている現状であり、支援すべきことは、資金調達、マッチング、事業計画指導などがあります。

しかし中小企業支援のための検討を行って必要と思われる支援策を講じたとしても、全ての事業者を救済できるものではありません。事業者は支援を受けるために必要な事業計画を策定し実行する準備を整えておく必要があります。余り努力をしないで支援を待っている姿勢では淘汰されるだけです。最低限、支援しようとする人を納得させるだけの事業計画は作るべきです。営業段階で黒字になるレベルの事業計画を作れなければ、決して資金調達はできません。新規援助を受けられないと不満を述べる経営者は得てして、事業計画書も作れないのです。

経営5団体のトップや金融機関からは、「自助努力をしなければ支援を受けられないで消えていく」という厳しい意見がありました。社会が悪い、県は何もしてくれない金融機関は資金を貸してくれないなどの不満を聞くことがありますが、経営不振の原因を自分以外のところに持って行っているだけなので何も解決に向かいません。

社会が変わろうとしている時期はビジネスチャンスがあります。仮に社会が停滞している場合であれば、自ら変わることでビジネスチャンスが訪れます。現状が上手くいかなければ、商品、市場、人脈、販売方法などを少し変えてみることで機会が生まれるのです。

経営者を交えての条例検討会の議論は緊張感があり、経営者と委員との意見のやり取りから、より高度な意見に発展していきました。経営者が自らの経験を基に自分の言葉で語ることの重みと、和歌山県を何とか再生させたいという思いが伝わってきました。

これらの意見を受け取った検討会委員は、言葉に皆さんの魂を込める作業に着手することになります。本当は生々しい意見やストレートな言葉を条文に書き込みたいところですが、条例などの法律は一般的抽象的な表現にするものです。個別具体的な表現にすると支援する対象が限定されてしまうからです。そのため交わされた議論の本当のところが表現されないかも知れませんが、その精神は詰め込む必要があります。この条例制定に携わった人は県内企業を全力で支援したいと考えています。条例化が図れた後でこれを運用する立場の人にも、同じ精神を有して欲しいところです。

確かに一流の経営者と意見交換を行うと、貴重な経験が伝えられ、自分が短時間に成長しているような気持ちになります。優れた人と接することで成長できるのは本当です。優れた人と会えば会うだけ成長できます。出会いと機会を求め、成長につなげたいものです。