コラム
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2013/2/22
1201    親指の役割

リーダーのすべきことについて面白い話を伺いました。「手の親指を小指くっつけて下さい」と言われたので動作をしたところ、簡単にくっつきました。「では親指を動かさないで小指を親指にくっつけて下さい」と言われたので小指を親指にくっつけようとしましたが、くっつきませんでした。「では親指だけを動かして小指にくっつけて下さい」という指示に対しては、親指を小指にくっつけることができました。

「親指を小指のところに持っていくと簡単にくっつくでしょう。でも小指を親指にくっつけることはできないでしょう。それは親が子のところまで降りて行かなければ分かり合えないのです。同じようにリーダーは部下のところに降りて行かなければ理解してもらえないのです」と親指と小指の関係について話してくれました。

親やリーダーは子や部下よりも人生経験を積んでいます。つまり親やリーダーは子どもや部下の時期があり、それを通り抜けて今の年齢や位置に立っているのです。経験の無い子どもが親の立場や気持ちを理解できる筈はないのです。経験の乏しい部下がリーダーの立場や考え方を理解できる筈はないのです。

上場企業の社長は担当者の気持ちは分かりますが、担当者は社長の気持ちは理解できません。だから一流の社長は部下に対しても謙虚なのです。担当者や中間職の気持ちが分かっているからです。社長は会社を代表していますが、従業員の気持ちを聞いて理解した上で会社外に発言をすべきものです。会社にとってお客さまは大切な皆さんですが、従業員さんも同じくらいに大切な存在です。

議員は支援者の気持ちが分かります。しかし支援者は議員の気持ちの全てを分かってくれないのです。それは議員の立場が分からないからです。だから議員が支援者のところに出向いて話を聞く必要があるのです。そして議員が議場で発言する時は、支援者の気持ちになって、支援者の立場からの発言をすべきなのです。それは代議員の役割です。

話は飛躍しますが、親指は小指、薬指、中指、そして人差し指の全ての段階を踏んでいると考えると、全ての立場を経験している親やリーダーは子どもや部下の気持ちを理解できるのです。相手の気持ちを理解できる立場の人が子どもや部下に声を掛けたり、励ましたり、話を聞いたりすべきことです。

子どもや部下から何も聞いていないだとか、報告がないと言うのは間違いです。常に親の立場にある人が子の立場にある人の場所まで行く、または精神的に降りて行くことが理解し合えるために必要なことです。

親指は全ての指にくっつくことが可能です。でも他の指同士くっつくことは難しい動作になります。親は子どもが未だ経験していない幼稚園、小学校から中学校、それに続く学校、そして社会人としての経験を有しています。子どもの話を聞いて将来に導けるのは親だからです。経験を積んでリーダーになった人は、どんな立場の人のところにも出向き、話を聞いて相手の気持ちを理解すべきです。

だから親指の立場の人が、経験の少ない人のところまで降りて話を聞くことが大事なのです。子どもや部下に不満を漏らしては、リーダーとしての役割を果たしていないことになります。親指の役割は小指の気持ちを理解し、将来を導くためにそこに行くことにあります。