コラム
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2013/2/6
1197    1970年から見た未来

元高校生達のプチ同窓会。平成25年1月に行いました。高校三年生のクラスで毎年集まっているのですが、以前と比べて話の内容が変わってきました。今年の会話は、わが国のエネルギー政策について、和歌山市を発展させるための方策について、二度の政権交代について、これからの生き方について、感動した本についてなど、今までと違う内容の会話が弾みました。年齢を重ねた結果今がありますから、経験を重ねた今できる会話がこれらのテーマかも知れません。

エネルギー問題、例えば原子力は必要かどうかのテーマで、これまで同級生と議論する機会は多くはありませんでした。それぞれがそれぞれの立場で社会問題に接した経験から、何を優先させるのか、何を求めていくのかによって考え方は違うのは当然のことです。学校という社会生活で必要な統一的な価値を形成する時代においては、社会経験がないこともあって自分で考える力はそれほどありません。基本的な知識と教師の教えによって考え方の基礎を作ってもらい、あとは社会で経験することによって自分なりの価値を形成していきます。高校時代と変わっていくのは当然のことですし、変わらなくては自分のなかでは同じ価値のまま、或いは他人と同じ価値でいるだけなら、生きてきたとは言えないような気がします。

自分が掴んだ価値。これから伝えようとする価値。それを持っていることが生きてきた証だと思うのです。

経験と同じようなに価値を形成しているものがあります。それはこれまで読んで感動した本です。どんな本を読んできたかによっても価値観は違ってくるのです。誰でも読むような文学や専門書は別として、感動する本がある人生はまだまだ足りない経験を補足してくれるものです。

重なっている作者もありますし、読んだことのない作者の名前もあります。司馬遼太郎や吉川英治はスタンダードです。最近では百田尚樹氏が人気で、「永遠の0」、「ボックス!」、「影法師」、「海賊と呼ばれた男」「「黄金のバンタム」を破った男」がお勧めです。それぞれ読んでいる作品とそうでない作品がありましたが、感想を話し合う時間はとても楽しいものでした。

私からは最近お気に入りの五十嵐貴久氏を推薦しました。「1985の奇蹟」は読んでいた人がいました。「2005年のロケットボーイズ」や「1995年のスモーク・オン・ザ・ウォーター」も薦めました。「相棒」を読んでいる人からは刑事モノを教えてもらいました。

ジェイムズ・P・ホーガンの「星を継ぐもの」は1970年代のSF小説です。1970年代に書かれた未来はどんなのだったのか。とても興味があり、早速、書店で購入しました。あの頃の大人であり一流のSF作家が描いていた未来の予測は実現に向かっていたのか。当時を知っている私達が2013年の現実と比較することに意味があるように思えました。

今の私達は、専門家であるかないかに関らずこれから先を予測することはできます。むしろしなければならないと思うのです。5年後、10年後の自分からのメッセージを受け取るためには、自分で自分の未来を描く必要があるからです。果たして10年後のプチ同窓会ではどんなことを議論しているのでしょうか。その時も未来を語れる人でありたいものです。