コラム
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2013/1/17
1179    ふたつの宝物

「私の強みはふたつの宝物を持っていることにある。ふたつの宝物を揃って持っている人は少ないと思います」と話してくれた経営者がいます。皆さんはふたつの宝物とは何だと思いますか。

それは成功体験と失敗体験のふたつのことです。成功と失敗がふたつ揃って光り輝く宝物になると伺いました。失敗した体験はあっても成功体験がなかったり、成功体験があっても失敗体験がない人は大事な宝物を持っていないのです。誰でも成功体験と失敗体験は経験しています。しかし立ち直れない程の失敗と、社会が評価するような成功の両方を体験することは難しいものです。

成功することで社会に貢献する強い気持ちが芽生えます。それは自分を成功に導いてくれた全ての人に感謝する気持ちを個別に伝えられないので社会全体に奉仕しようと思うからです。恩返しは個人に対してだけではなくて社会にお返しすること。それが、成功者が寄付や募金を好んで行う理由のように思います。

また失敗の経験から、社会的に弱い人の立場を理解できるのです。弱者の視点を持っていることで人に優しい気持ちになれるのです。成功しても奢らず謙虚にいられるのは、失敗の経験を持っているからです。

ふたつの体験を宝物と呼ぶのは、こんな理由があるからです。

さて失敗から始まり成功に至った過程において必要なことがあります。確信を持って行動したことです。思いがあり強く願うことで、その思いは実現の方向に動き出してくれるのです。更に手帳に書き込むなど見える場所に思いを掲示しておくことで、やるという気持ちが高まり実現に向かいます。

理化学研究所の故松本元氏は「出来ると確信すると、その確信の理論的な後ろ盾を与えるべく認知情報処理系がフル活動をする。そのためできると確信したことは必ずできるようになる」と述べています。

この経営者は確信を持って動き始めました。行動することで資金と人脈を作り、そこから会社役員へと昇進して行きます。行動の最初には資金が必要です。資金の伴わない行動は無謀で、大事な仕事を達成することはできません。何もないところからスタートしても、何かある状態にして確信に向けた行動に移る必要があります。

そして信頼できる人脈は大切です。何もない人物が、社会の第一線に引き上げてくれるのは人脈の成せる業です。人脈は進むべきステップをショートカットしてくれますし、人脈があることで力を発揮できる場面が訪れます。

但し、人脈の消費期限は5年と思うべきです。会社役員であれば二期四年で役員としての立場は10年位でしょうか。首長は一期四年を続けて二期八年程度の期間が実力を発揮する期間です。人は5年で入れ替わると思っておくと、自分がやるべき期限を区切れるので丁度良いのです。確信は行動を伴わせることによって実現に向けて動き出します。宝物を受け取るために確信を伴った行動を行うことです。