コラム
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2012/12/28
1172    情報の精度

参考文献などで必要な書物の引用をする際には、孫引きは駄目で原典にまで辿り着くことが必要です。論文などでは出典を記すことは当たり前の約束事ですが、出典文献はオリジナルのモノに辿り着く必要があるのです。オリジナルの文章を引用している文献から引用しなければ、本来の意味と違って引用する危険性があるからです。筆者は自分の論じたいことの裏づけとなるものを引用する傾向にあります。オリジナルの文献から引用する筆者は、オリジナルの意味を知っているからどのような思いで引用しても問題はありません。

しかし孫引きをしてしまうと、文献のオリジナルの意味が分からないのです。オリジナルの文献と違う意味で引用してしまうと、その論文の信頼性は低下することになります。

現代社会に氾濫している情報も同じことが言えます。又聞きの情報は正確でないことが往々にしてあります。人伝いの情報は誰から聞いたものであり、発信者が誰か調査して引用しなければ事実と違うことが多いのです。

でも又聞きの場合は情報の発信者を見つけることは難しいので、事実かどうかを見極めることはできないのです。噂は噂であって真実かどうかは分かりません。むしろオリジナルな情報が加工されている場合が殆どです。本人から直接情報を受け取った人であっても、どうしてもそこに主観が入って次の人に伝えることになります。伝言ゲームのように次々に情報が加工されていくのです。人を介しての情報は、オリジナルの情報とは違っていることを前提にしなければならないのです。しかし情報の正確さを確かめる方法はとても難しいのです。

そんな情報の真実を突き止める方法があります。それは情報として発信されている人や会社に直接出向いて聞いて確認することです。当事者に直接聞くことで。その情報が正しい内容なのか誤りなのかを確認することができます。

ある日の出来事です。又聞き情報が正しくないことが分かりました。その情報に基づいて動いていた案件がありました。情報が正確かどうか分からなかったので、直接、その会社を訪問して責任者と会って話を伺いました。その結果、又聞きの情報が正しくないことが判明したのです。勿論、責任者に会うに際しては訪問約束をしていますし、事前に要件を伝えていました。そしてその責任者とは信頼関係があることが重要です。信頼関係のない相手を訪ねても真実を話してくれることはありません。

所謂「ぶっちゃけ話」ができる関係にあることが情報の真実性を確かめるための前提です。

その結果、又聞きしていた情報が真実でないことが分かり、その後の対処の仕方も変わりました。誤った情報に基づいた対応では解決を図れないことがあります。真実に基づいて問題解決に向けての動きをすることが必要なのです。

情報を得ることは簡単なようで簡単ではありません。情報とは信頼度に比例して精度は高まります。つまり人としての信頼の高さが精度の高い情報を集めてくれるのです。

人から信頼されていることが情報の精度を高めるために必要なことです。信頼されている人のところには信頼性の高い情報が集まります。それは信頼性の高い人が情報を運んでくれるからです。誰からの情報かによって信頼度は違うことを知っておきたいものです。