コラム
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2012/12/21
1168    宝物

ある個人演説会を終えた会場の外で参加した一人の方から感想を聞かせてもらいました。

「どう感じましたか」と尋ねると、「宝物をいただきました」という答えが返ってきました。

咄嗟に素晴らしい感想だと私は笑顔になりました。感覚が同じだったからです。

この宝物の意味とはたくさんあります。ひとつは、人の意見を聞きその価値観に直接触れることは、自分に足りないものを与えてくれる栄養分のようなものだということ。

他にも、自分と違う考え方の持つ人の意見を取り入れることで自分の考え方の幅が広がること。話を聞くと人柄が分かります。人柄に触れられることはその人柄を感じることですから、優しい気持ちや温かい気持ちの持ち主の人柄に触れられると、自分も同じような気持ちになります。

このように人の意見を宝物だと感じられることで、得られることはたくさんあります。人の話したことや言葉を宝物だと感じられると、その宝物は自分のモノになります。しかし人の意見や話を、自分の考え方と違うから「くだらない」と思うなら、それは宝物にはなりません。せっかくの宝物を受け取ることを拒否しているようなものです。

宝物とはダイヤモンドやゴールド、ブランド物のことだけを指すのではありません。モノはいつも持ち続けることができないものですが、心に届けられた宝物はいつでも自分と一緒です。見失うことも置き忘れることもありません。

本来自分が持っている宝物があります。それは人によって様々です。優しさ、強さ、粘り強さなどの宝物をみんな持っています。でも人と会って話を交わすと、自分が持っていない宝物の存在に気付きます。そして相手の言葉から何かを受け取ろうと思っていると、相手は自分の宝物を惜しげもなく与えてくれるのです。

そのためには相手を肯定し、受け入れる心を持っていることが必要です。否定や拒否の態度であれば、相手の宝物を受け取れないのです。

もっと多くの人に会って宝物を受け取りましょう。みんな持っているものは違いますし、自分に足りないものほど受け取りましょう。強いけれど優しい気持ちに欠けている人なら、強さに優しさが加わります。情熱的だけれども粘りがない人であれば、情熱を継続する力を身に付けることができます。悲観的な人が楽観的という宝物を受け取ると、世の中が変って見ることができます。

人前で演説する人は、聞いてくれる人に何か伝えようとしてくれています。伝えるべき言葉を持っています。心を、思いを届けたいと思って人前で話をするのです。そんな宝物を受け取るのも受け取らないのも聞く側の自由です。講演者と全く価値観か違うのであれば、受け取る必要はありません。しかし自分から進んでの場合は勿論のこと、友人に誘われて、興味があって参加したのであれば、例え少しだけでも宝物を受け取るべきです。

講演者は伝えたいことがあるのです。夢を諦めないこと、未来を信じること。自分を生きること。現状から飛び立つこと。今がかけがえのない時間であること。伝えるべきテーマはこのようにたくさんあります。そんな宝物を受け取れる自分でありたいものです。