コラム
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2012/10/31
1136    59歳の夢

本当に素敵な時間を過ごさせていただきました。ある日、翌日の夕食にお誘いをいただきました。たまたま午後7時から1時間程度予定が空いていたので、「1時間程度ですがそれでもよろしいでしょうか」と話をした上で、懇親会を行うことにしました。

繰り返しますが、心が温まるような素晴らしい時間を過ごさせていただきました。今日、ご一緒してもらったのは視覚障がいの方で、両目とも見えていません。それでも現役で仕事を続けています。中学生の時に視力が衰え見えなくなったと聞きました。それでも勉学に励み東京教育大学に入学、そして卒業しています。卒業後、就職のため和歌山市にやってきました。以降、和歌山市での生活、36年が経過しています。今年59歳なので後一年で定年を迎えることになります。

素晴らしい時間になった理由は、59歳のこの方が熱い夢を語ってくれたからです。

定年した後は、今までの研究成果を論文にまとめ発表したいという思いがあります。そして大学院で研究を続けることで博士号を取得したいという夢も話してくれました。何年掛かっても博士号を取得したいと強い気持ちを持っています。

二つ目の夢は、自分と同じように視力の障がいを抱えている子どもたちのために、支援団体を創りたいという思いです。視力障がいの子ども達は仕事が限られている現状がありますし、仕事があっても賃金が安い場合が大半です。自立した生活のためにも職場が必要であり、しかも生き甲斐を感じられる仕事が必要なのです。そんな団体と職場を創りたいという夢を聞かせてもらいました。

本当に素晴らしい思いです。他にも災害ボランティアとして被災地に赴き、被災者や被災地の高齢者施設であんまマッサージを行っています。被災者や高齢者にはとても喜ばれたことを報告してくれました。

また平成27年に開催予定の紀の国わかやま国体の時には、テントをひとつ貸して欲しいと依頼がありました。選手団をあんまマッサージで支援したいからという理由です。他の府県で実施した事例があるかどうか分かりませんが、素晴らしいおもてなしの心であり支援活動だと思います。

如何でしょうか。生きる力が湧き出るような懇親会となりました。逆境にあっても負けてはいません。負けない心、負けない力を感じました。

そして突然だったのに「今日の懇親会に応じてくれたことに感謝しています。とても楽しい時間でした」という言葉をいただきました。楽しい時間を頂戴し学ばせてもらったのは私の方です。59歳。まだまだこれからが人生です。定年後のことは定年になった時に考えるのではなくて、現役時代の今から夢を持ちそこに向かおうとしています。60歳定年はゴールではなくてスタート地点であることを感じました。

そして最後に嬉しい言葉をいただきました。「片桐さんとこうして会えて本当に嬉しかった。時間をとっていただき本当に嬉しかった。今日は特別に気持ちが良いので飲みに行きたくなりました。この後、一人で飲みに行ってきます。とても気持ちのよい日になりました」と話してくれ、和歌山市の繁華街である新内に出掛けました。

私は車だったことからお送りして別れましたが、とても気持ちの良い幸せな時間でした。