コラム
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2012/10/29
1134    夢の実現

夢を語ることが難しい時代です。例えば経済対策として、所得を倍増することを夢として掲げる政治家がいたとします。高度成長の時代には、所得倍増は夢のある政策でしたが、平成の時代にこの政策を掲げるとしたら間違いなく潰されてしまいます。コメンテーターという名の人達からの質問によって潰されてしまうのです。

「所得を倍にする方法はどんな方法ですか」、「具体性に欠けますから具体的な取り組みを示して下さい」、「デフレの時代に所得倍増なんか不可能ではないですか」など、できない理由や、やりたくなくなる理由を並べ立ててくれます。

夢を語ることは具体的方法を述べるものではありません。夢は目指すべき方向性を見つめるものであり、夢に向かう途中で達成するために必要な方法や必要な人や場所との出会いに遭遇するのです。最初から具体的方法を示せる夢はありません。辿り着く方法は見つかっていないけれども、達成するために行動を起こすことや、現状を打破するために夢を掲げるのです。

つまり具体的な方法や道筋が見つかっているものは夢ではなくて計画なのです。夢を描き計画を考えること。そして夢に向かう順序は決っていませんから、歩きながら計画は何度も書き換えることができるのです。夢の過程において最初から決まっているものはないのです。

ですから具体性が無いだとか、計画が示されていないという批判によって、示された夢を潰すようなことをしてはならないのです。人に向かって夢を語れる人はどれだけいるのでしょうか。多くの人がその夢に共感し、国を挙げて達成に向かうエネルギーを感じさせてくれる人がどれだけいるのでしょうか。

国の未来を信じられるような夢を語れる人の夢を信じたいものです。夢を信じること、素晴らしいことです。夢を信じることができなければ幸せになれません。夢=言葉の力を信じられない人は幸せになれません。

夢を信じ、言葉を信じる人が幸せであり、夢の実現に向かう人なのです。夢や言葉を信じる人は、それを実現するための行動を起こせる人です。仕事を決める時、結婚を決める時、具体的な仕事内容や将来のポジション、将来の給料や子どもの行く学校を決めている人はいません。その仕事やその相手に夢を感じるから、将来性を感じるからそれを決断するのです。

決断の理由は夢であり将来性なのです。そこには具体的な数字や対策は示されていないのです。自分の夢を信頼していること、相手を信頼していること、そして言葉を信じているから決断できるのです。あれもこれも決まっていないので信頼できないと思うなら、夢は潰れてしまいますし、やがて夢を語る人はいなくなるのです。

まだ見えていない自分の将来に賭けられる仕事に就くのです。結婚は具体的な保証を得られるものではありませんが、相手の夢についていくのです。

政治は夢を語り、人はその夢を信じてついていくのです。そんな夢を最初の段階で潰してしまうようでは国に将来はありません。コメンテーターになってはいけません。夢を信じられる人になり、更に実現のためにみんなと行動する人になりたいものです。