コラム
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2012/10/26
1133    やったら得

やったら損という考え方をする人が増えています。やったら損という考え方は、他の人がやっていないのに「どうして自分だけがやらなければならないの」という考えに支配されているからです。端的な例が学校のPTA役員の選出の時です。PTAの役員の仕事は多く、学校に行く機会や行事がたくさんあります。だから多くの人は役員をやりたがらないのです。

何の得にもならないのだからやるだけ損と思っているのです。そんな役員を引き受けるくらいなら、自分の好きなことをしたいと思っているのです。しかし子どもがお世話になっている学校のためになるのであれば引き受けて、学校発展のために活動することは大切な事ことです。誰も役員を引き受けなれば学校は荒廃します。誰に関心を持っていない、誰も学校をきれいにしてくれなければ、間違いなく学校施設は汚くなり、そこで学ぶ生徒の心も荒廃していきます。

保護者がPTA役員を引き受けて学校の発展のために尽くすことは、自分の子どもを初めとする生徒のためになっているのです。学校の環境整備、子どもは親の姿を見て育っていることなどから、やって損をすることはないのです。

もっと言うならば役員に推薦されることは名誉なことであり、人物として評価されていなければ役員に推薦されることはないのです。そう思うと、やって損ではなくて、やらせてもらっていることに感謝したいくらいです。役を与えてもらっている喜びの念があっても良いほどです。

依頼されて、或いは推薦された役を引き受けた場合、やって損をすることはありません。人の役に立っていることを実感できますし、学校のことで今まで知らなかったことを学べます。まして自由に学校に出入りできることで自分の家にいるような感覚になり、愛着が湧いてきます。自分のことのように思えたら、それを大切にしますしきれいに保ちたいと思うものです。

やれることが幸せなことであり、やることで感謝の気持ちが出てくるのです。やったら損と思う人は人生で大きな損をしています。やがて誰も推薦してくれなくなります。「あの人に頼んでも引き受けてくれないから」と思われる方が機会を逃していることであり、人としての成長が約束されていないのです。

自分の子どもがお世話になっている学校に対して、保護者が何も役に立っていないことはマイナスです。役員でいられる期間は高校や中学の場合、わずか3年間です。現役で役を引き受けられる時代にやらなければ、二度と再びやれる機会は訪れないのです。

やったら損という考え方は、結局、自分の可能性や発展性を失わせているのです。他人から請われてやっていることが無駄になることはありません。自分ひとりでは経験できないことを経験させてもらっているからです。

加えて、やったら損という考え方は、短期的な損得に基づいた価値観をもっていることから生じています。損得は3年間の時間内で得られるものではなくて、もっと長期的な時間軸の中で得られるものです。請われてやったことは、長期的視点で捉えると得なのです。