コラム
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2012/9/10
1107    覚悟

宇宙航空研究開発機構の川口淳一郎教授の講演で学べたこと。その2です。

先ず自分が何をしたいかが先にあり、したいことに必要なことを後から学べばよいということです。文系の学生が川口教授に質問をしました。「私は宇宙工学の仕事に携わりたいのですが文系なので知識がありません。どうすれば良いですか」という質問です。全く生き方がなっていません。順序が逆なのです。文系なので宇宙工学の仕事に就くことは困難だと思うのですがなれるでしょうかという質問ですから、答えは「なれません」となります。

この場合、本気であれば質問の仕方は次のようになります。「私は宇宙工学の仕事に就きたいと思っています。でも文系の学生です。その仕事に就いた後は何が必要なのか教えて下さい」という言い方です。

先ずしたいことがあることが先決です。自分でしたいことがあれば、後でHowは学べば良いのです。Howは学ぶと知識が経験として付いてくるものです。ここで大切なことは決めたら覚悟を持つことです。覚悟があるから真剣に取り組めるのです。困難に出会っても乗り越えられるのです。どれだけ優秀で有り余る知識を持ち合わせていたとしても、覚悟が無ければ何も達成できません。Howをどれだけ集めても覚悟がなければ役に立ちません。

やりたいことが存在していてやり抜く覚悟を持っている。その次に必要なものがHowなのです。先の例でいけば、理系だから宇宙工学の仕事に就けるのではないのです。文系だけれども覚悟があるので宇宙工学の仕事に就ける可能性があるのです。繰り返しますが、やりたい仕事に必要な学びは後から学べばそれで良いのです。その世界に入れば専門家だらけです。学生時代に理系で学んだ知識は経験者の前では役に立たないことが多いのです。文系であって理系であっても関係はなく、覚悟を持っているかいないかが問題なのです。

インターネットで得る知識は他人が経験の中から得た知識です。そっくりそのまま自分で役立てることはありません。自分流に加工して、しっくりしたものにやり直す作業が必要です。同じように偉人の言葉をインターネットで検索して自分の言葉にしようとしても駄目です。やり遂げるためには言葉の中に覚悟が宿る必要があります。どれだけ立派な言葉や格言を知識として持っていても、覚悟が宿ってない言葉で社会の中で戦うことはできません。

自分が経験したことの中から覚悟の宿る言葉が生まれます。それが他人の言葉でも偉人の言葉でも構いません。私たちは過去に生きていないのです。未来を創るために生きているのです。過去のものを大切にするよりも現在に覚悟を持ち、意志と言葉、そして行動で未来を創ることが本当の仕事なのです。

最後に、川口教授の創った言葉です。「高い塔を建てなければ新しい水平線は見えてこない」。自分が高い課題に挑戦することで新しい世界が見えてくるのです。但し新しい世界では困難が待ち受けています。見えてくるものは希望だけではなくて困難もあります。しかし困難を克服する過程に喜びがあり涙があり、そして幸せがあるのです。

困難に打つ勝つことで涙が出ます。悔しさと喜びは同じ数だけ表れるのです。悔しいことに出会わなければ、それに打ち勝つ喜びは味わえないのです。