コラム
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2012/8/30
1101    本気の力

平成24年の夏の甲子園大会。観戦する機会はありませんでしたが、翌日の新聞で感動を味わいました。その中で高校生から学べる記事がありました。それは熊本県代表の済々黌高校の三年生、山下祐生選手の囲み記事です。残念ながらプレイも見ていませんし、会ったこともないのでどんな高校生なのか分かりませんが、大人である私たちに気づきを与えてくれています。

「勉強も野球も根本は同じ。分からないことは、その日のうちになくす。打撃の課題が出たら、納得するまでスイングを繰り返さないとモヤモヤする」。そして「人に見えないところでも、手を抜かないことを学んだ3年間。その集大成は出せた。涙は出るけど、悔いはなかったと言い切れる」という学生生活についての記事です。

素晴らしい教訓を高校生である山下君から得ました。年齢に関係なく、素晴らし心構えを持ち、3年間も実践した生徒の生き方は尊敬できるものです。

しかも入試はトップ合格で2年生の時の成績はオール5です。野球部でただ一人理数系特進クラスに籍を置いているのですから、文武両道の生き方を実践しています。オール5を取ったことがなく特進クラスでなかった身からすると、既にこの時点で生き方としては負けています。しかも甲子園という目標を立ててそれに向かって練習に励み、その最大の目標を達成しているのですから素晴らしい18歳です。この能力と気持ちを持ち続けている限り、前途は広がっていますし、甲子園の次は日本という国で活躍してもらいたいと願っています。

当たり前のことですが、高校野球の集大成の甲子園での試合は3年間という時間と比べたら一瞬の出来事です。約2時間の試合が目指してきた夢の舞台なのです。たった数時間の試合を目指せる過程の幸せと、それを達成できた幸せは一生の宝物です。一瞬のために全てを賭けることができる強い志。そして練習を継続できた力。そして耐え抜いてきた経験は大人になってからの大きな力となります。

試合に敗れて泣けることは素晴らしいことです。本気で目指してきたものが目の前から消え去った時、涙が出るのは当然です。本気でなければ涙はでません。本気で取り組んできたことをやり終えて、もう明日はこれをしなくても良いと思った時の抜けたような開放されたような、そしてもうやれないと思うような不思議な気持ちは、体験した人なら分かります。

選挙の戦いの最終日はそんな体験を味わいます。全てをやり遂げた気持ちが高まり、涙で言葉に詰まります。本気で戦った気持ちと、もう明日から選挙活動をすることが出来ない、つまりこれ以上自分が努力することが叶わないという気持ちが涙に変わるのです。選挙結果が出る時よりも選挙期間の最終日の夜のやり遂げた感の気持ちの方に充実感があるのです。

人にとって結果よりも、結果を出すために活動してきた過程が大事だということが分かります。オリンピックで負けた選手が流す涙や、甲子園で負けた選手が流す涙も同じような気持ちになっているからだと思います。

平成24年の夏も間接的にですが感動の瞬間に立ち会えました。本気でやり遂げた力は自分の実力となり、そして人に感動を与える力にもなっています。