コラム
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2012/8/6
1089    リーダーシップ

リーダーシップ。何とも不思議なものです。定義できるものではありませんし、型もありません。内面に存在しているものなので見ることもできません。それでもリーダーシップはリーダーの内面に存在していて、いざという場合に発揮されるものです。

高校生なのにクラスの中でリーダーシップを持つ生徒がいることを聞きました。言われなくても課題を見つけて自分が進んでそれをやっている。しかも周囲の生徒もその中に自然と巻き込まれているのですから強いリーダーシップです。勉強もやっていますし授業を聞く姿勢も礼儀正しい、そして文化祭の企画にも取り組んでいます。

この生徒の話を聞いていると、リーダーとは自分を高めることを当然やっているのですが、その素振りは見せないでいる。そしてクラスの課題を見つけて、それを解決するための行動を起こしていることと周囲にも好影響を与えていることだと感じます。自分だけではなくてクラス全体の力を高めてくれる存在がリーダーと言えます。

このクラスの担任教師の立場としては、クラスの問題に介入することなくリーダーを中心にクラスがまとまっていく様子を陰で支える役割を果たしています。勉強にしてもスポーツにしても学校行事にしても、クラスでまとまり考え企画して行動を起こしている、そんなリーダーが存在しているクラスですから、教師は成長を見守ることが役割となります。

担任の教師は言います。「彼は高校生ですが尊敬できる人物です」。尊敬するに価する人は年下も年上も関係ありません。課題を見つけて行動を起こせる人、そして周囲も奮い立たせる人がリーダーだからです。教師の立場から見ていると、リーダーのいるクラスはまとまっていて何事にも積極的な態度になっているようです。全体の学力も伸びていますしクラス運営もスムーズになります。

こんな損得の関係がない高校生からリーダーの資質が分かってきます。それは勉強をしている素振りを見せないで高い学力を保っていること。自分のことではなくてクラス全体の成長を目指していること。つまり楽しいクラスにしていること。文化祭や体育祭などのように、やるべきことに対しては言われる前に企画と行動を起こしていること。勉強はするけれど文化祭には参加しないというような損得勘定はしていないこと。クラスの生徒に自然に好影響を与えていること。好影響とは勉強をすることは格好良いことであり、文化祭などに全力を尽くすことは仲間との時間を大切にすることだと理解させていることです。

その人がいることでクラス全体が明るくて個人としてもクラスとしても伸びている実感がある。そんな雰囲気を持っているのがリーダーなのです。

つまり自分のやるべきことは当然やっていて、それを表に出さないでいる。自分を自分で高めているように、所属している組織全体を高めようと思い行動していること。そしてその時々の課題を発見し率先して解決のための行動を起こしていること。これらがリーダーだということが分かります。もうひとつ。リーダーの行動を理解し支えてくれる担任教師がいることです。社会においても、行動を支持してくれて支えてくれる人の存在は欠かせません。これらを備えている人がリーダーだと言えます。