コラム
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2012/7/25
1082    ボス猿

ボス猿になるためには経験をしておく必要があります。受験勉強、塾通いをしている子ども時代、そしてテレビゲーム、携帯電話を触っているだけではボス猿にはなれないのです。集団をまとめる力はリーダーとしての素質が必要で、その素質は集団の中での遊びの経験、多くの人と交流している経験、感動や悲しみを知っている人であることなどがリーダーとしての素質を形成していきます。

集団の中でのボス猿になるためには、人と交わる経験、決められたルールの中で生きた経験だけではなくて、子ども時代に自分たちでルールを作り遊んだ経験などが役立ちます。ゲームや与えられたもので遊ぶ経験だけでは、リーダーの資質を目覚めさせることはできません。

集団をまとめることが難しいのは、一人として同じ人はいないからです。違う考え方や価値観に基づいた行動をするので、大きな人物でなければ集団を統率できません。大きな集団になればなるほど、大きなリーダーが求められるのです。小さな資質のリーダーやリーダーでない人が集団を率いることになれば、その集団は限界が訪れます。リーダーの器以上の集団には発展できないのです。

人間社会におけるボス猿は、単に力があるだけでなれません。人の良い部分を見つけ出して、そこを褒めて引き伸ばせる力が必要です。私はこんなリーダーを知っています。その人はどんな人に対しても褒めることだけを行っています。例え長所が少ない人であっても、その少ない長所にフォーカスさせて、そこを大きく引き伸ばして相手に伝えます。そして周囲の人に対して「あの人の良いところは○○があるところです」と伝えるのです。

小さな長所を探す名人が、そのリーダーなのです。褒められて怒る人はいません。小さなことでも褒められると嬉しいものです。人は同じことを繰り返して言われると、そう思う性質があります。

「あなたは駄目だ」だとか「勉強をしなさい」と言い続けると、指摘されたように駄目な人間になりますし、勉強をしないことが自分の姿だと思うようになり、ますます勉強をしなくなります。勉強をしないのが自分だと思ってしまうからで、勉強する自分は自分でないので、自分でそうなりたがらないのです。現状を指摘するだけでは相手を伸ばすことはできません。

それよりも良い長所を見つけて褒めることで、できる人への道が開かれます。行動しない人に対しては「あなたの慎重なところが良いところです。その慎重さは、あなたが行動する時に失敗を防いでくれますから、大切な時には思い切って行動して下さい」と言うことができます。

勉強しない人に対しては、「勉強が好きな人はいませんからね。ただ復習だけでもした方が明日の授業が良く分かるようになるよ」など言うことができます。但し、同じことを言うだけで「またか」と思われて信用性が失われます。違う言葉で励ますように、相手の良さを伝えましょう。ボス猿は喧嘩をするのではなくて、喧嘩をしないで集団をまとめます。