コラム
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2012/7/23
1080    360度

人と経営研究所長の大久保寛司さん。良い企業に共通していることについて述べています。結果を出している企業に共通していることは、事務所に入ったときの雰囲気が素晴らしいことだそうです。雰囲気とは分かり難いものですが、挨拶ができていること。見えないところまで美しく清掃されていること。明るくて温かいこと。そんな要因が混じり合って雰囲気を構成しているのです。そしてこの雰囲気というものの力はもの凄いと話しています。雰囲気を良くするだけで業績が伸び、従業員さんも伸びるようです。

もうひとつ大事なことを伝えてくれています。それは、本物は360度だという教えです。これは「いつでも、どこでも、誰にでも」ということです。どんな人に対しても挨拶は変わらないことが代表的な仕草です。

取引先や偉い人には丁寧に挨拶をするけれども、宅配便の人には挨拶をしない人がいます。そんな人は人に挨拶をしているのではなくて、肩書きと立場に対して挨拶をしている人だというものです。誰に対しても言葉と雰囲気が変わらない人こそが、本物の人物なのです。

よく理解できる事例です。周囲を見渡すと、肩書きと立場に挨拶をしている人がとても多いことに気がつきます。役員、部長には深々と挨拶をするけれども、会社の清掃をしてくれている人や宅配便を運んでくれている人には挨拶をしない人は典型的です。相対する人によって挨拶の仕方を変える人は本物ではないということです。本物は人物を見て判断しますが、本物でない人は人物が分かりませんから、どうしても肩書きや立場を見て判断する以外に見抜く方法はないのです。

本物は360度という言葉を覚えておきたいものです。本物は歪みや陰日向がない球のような存在です。どの角度から見ても姿と心は変わりませんし影もないのです。人によって態度を変えることはしませんし、どの人や問題に対してもニュートラルに対応できます。

心が歪んでいる人や肩書きや立場で人を判断している人は、決して球体ではないのです。

歪んだ形、影も日向もあるので見る角度によって違う人物に感じるのです。人によって態度を変えるようでは信用できません。姿が歪んでいる人は心も歪んでいます。身体と心は同じです。心を表すのは雰囲気であり言葉です。歪んだ心の持ち主はやはり歪んだ言葉を発します。心が言葉となって表れるからです。

周囲にいてくれる全て人に対して感謝の気持ちで接すると、360度の角度が身に付きます。

誰に対しても同じように丁寧に挨拶を行い、言葉を交わすことです。コミュニケーション能力が高いアメリカ人は、挨拶の後に一言付け加えています。

「おはよう。今日は調子が良さそうだね」。「久し振り。溌剌としている姿は以前と変わらないね」。「こんにちは。素敵なシャツを着ているね」など、挨拶の後に一言があります。

その一言は、相手が自分に関心を向けてくれているというメッセージとして伝わってきます。360度の方向と人に向けて、元気の良い挨拶と言葉を投げ掛けましょう。自分が投げたのと同じ気持ちの良い挨拶と言葉が返ってきます。