コラム
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2012/7/11
1074    2012ウインブルドン決勝

2012年、ウインブルドンテニス決勝戦。ロジャー・フェデラー対アンディ・マレーの試合は日曜日の夜放送されました。雨の中断もあり終わったのは深夜でしたが、素晴らしい試合でした。最後まで観てしまうほどの緊迫したシーンが多く、勝者は7度目の優勝を果たし、世界ランキング一位に返り咲いたロジャー・フェデラーでした。称える言葉が見つからない素晴らしい試合でした。

テニス史上最強と言われているフェデラーですが、最近は四大大会で勝てなくなっていました。最強の王者がいつまでも王者でいられないという現実は非情なものです。でも歴史上最強の選手が過去の記録を次々に破っていく姿をいつまでも見ていたいと思いますし、歴史と戦っている選手が同時代にいることは嬉しいことです。

復活したフェデラー選手のコメントが素晴らしいのです。二つ紹介します。

「僕はあきらめたことはなかったよ。そのために、より多くの大会でプレーしたんだ。その成果だね」。これは世界ランク一位に返り咲いた質問に対する答えです。グランドスラム大会で敗退しても、この日が来ることを信じていたのです。信じることとは諦めないこと、自分の力を信じ続けた結果が世界一位だったのです。黄昏が近いと言われていますが、そんな季節に再びトップに立つ姿は感動を与えてくれます。諦めないで練習を続けたら求めている結果に辿り着くる。そんな教えがここにあります。

もうひとつです。

「幸せは一位や四大大会のタイトルを取ることではなく、それをさらに積み重ねることにある」。これも素晴らしい言葉です。

積み重ねることはとにかく勝利よりも大事なこと。歴史と戦っている偉大な選手の物語を感じます。私たちも同じことを台詞にしたいものです。一つの成果に満足することなく、小さな成果を積み重ねていくことに価値がある。そんな台詞を言いたいものです。

それにしてもウインブルドンは特別です。普段はテニスを観ない人を深夜まで観させてしまう力があります。どんな舞台であっても世界一を決める戦いは人を感動させてくれます。テニスにおいてのウインブルドンは試合の格を高めてくれますし、選手の力も引き出してくれているようです。

それに対して私達の日常の舞台は華やかなものではありませんが、自分にとっては世界で一つだけ起きている世界です。自分の周囲に起きている出来事は、自分が経験していることが全ですから世界で他にない舞台で戦っているのです。

しかしウインブルドン決勝のような舞台が毎日訪れるとしたらプレッシャーで耐えられなくなりますが、幸い私達は日常の舞台において強いプレッシャーがかかる場面は少ないのです。ですから伸び伸びとプレーできるのです。伸び伸び仕事ができるということは、実力を発揮し易い環境の中にいるということです。

私達は自分の中での最高の仕事(試合)を毎日戦っているのです。しかも伸び伸びと自分のペースで戦えています。そんな日々を大事に思いたいものです。