コラム
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2012/6/12
1053    情

長年の地域活動の功績が認められ平成24年度、公的機関から表彰を受けた女性Hさんがいます。私がこの方と交流させてもらっていたのは、今からもう25年近く前のことになります。現在75歳になっていますが、当時は50歳前後で当該地域の女性会の代表として活躍されていたことを思い出します。

表彰を受けたことから祝電を贈らせてもらいました。数日後、懐かしい声が電話から聞こえてきました。Hさんからお礼のための電話をいただいたのです。随分久しぶりだったことから少し長い時間、会話を楽しみました。

「忘れていないで祝電を送ってくれてありがとうございます。随分前のことなのに覚えてくれていたことに感謝しています。もう長い時間が経過しましたね。もう年なので何もお手伝いはできませんが、県会議員になっていたのですね」。

「そうなんです。Hさん達と一緒に行った研修会のことは忘れていませんよ。とても賑やかな女性会で、中でも会長をしていたHさんのリーダーぶりは覚えています。今回の受賞の知らせを聞いて本当に懐かしく、嬉しく思いました。おめでとうございます」。

「ありがとうございます。人にとって最も大事なことは情ですよ。情を忘れた人は人ではありません。恩を受けた人には恩を忘れないこと。これが人の道です。私もかつて応援していた政治家がいましたが、今は応援していません。その政治家には情がなかったからです。父親が応援していたことから、私は20歳代の時から事務所に応援に入っていました。 

しかし主人が亡くなった時のことです。主人が亡くなったことを知っているのにお参りに来てくれませんでしたし、お悔やみにも来てくれませんでした。こんな非情な人だとは思っていませんでした。ある時、会合で会ったので、その時の事情を尋ねました。何か公務があって来られなかったのだろうと思ったからです。しかし反応は冷たいものでした。そうだったんですか。しかしもう済んだことですしね、という言葉に唖然としました。こんな情のない人とは付き合いできません。今回の受賞に際しても交友してくれている方々から祝電をいただきました。しかしその政治家からは祝電は届いていません。別に欲しいとは思っていませんが、そんな情のない人は決して大成しないことは分かります。

片桐さん。大事なことは情ですよ。情が人と人の関係において最も大切な事ですから忘れないで下さいね。今回、祝電をいただいたことに感謝しています。また自宅に立ち寄って下さい。楽しみにしています」。

政治家だけではなくて人にとって大事なことは情なのです。お世話になった人のことを大切に思う。恩を受けた人のことは忘れないで、いつかお返しをする気持ちを持つこと、など、決して人情を忘れてはいけません。

兎角、利益や売り上げを示す数字や実績が重要視されていますが、人はそれだけでは動きませんし判断しません。数字と共に大切なことは、誰がその案件に関わっているのかです。その人が情のある人であれば仕事は進みますし、情のない人であれば案件はストップするか、または報告された数字で評価されます。情は数字を上回る力を持っています。