大学を目指している高校2年生と話をしました。
「試験に合格するためにすべきことは何ですか」。
「勉強時間を確保することです」。
「勉強しなければ合格できませんか」。
「一度勉強をしないで目指している学校を受験してみて下さい。それで勉強することの大切さが分かりますよ」。
「そんな。勉強しないで大学は受かりませんよ」。
「そう思っているでしょう。だったら勉強する以外に方法はありません」。
「でも今から勉強しても成績は上がるかな」。
「でも今、勉強しなければ成績は上がらないよね」。
「勉強したら成績は上がりますか。成績が上の生徒に追いつけますか」。
「勉強したからといって上がるものではないけれど、勉強しなければ絶対に上がらないよね。まぐれで少し成績が上がることはあるかも知れないけれど。成績の良い生徒に勝とうと思ったら、勉強時間を確保する以外にありません。成績の良い生徒はきっと、中学校から高校にかけて人よりも多くの勉強時間をとっています。その生徒に追いつくのは簡単なことではありません。その生徒が高校の一年間に毎日3時間の勉強をしてきたとしたら、3時間×365日、つまり1,095時間も勉強してきたことになります。今まで勉強をしていなかった君が追いつくためには一日に3時間の勉強時間を確保して、やっと同じ時間だけ勉強したことになります。でもその生徒はこれからの一年間も毎日3時間勉強すると思うから、倍の勉強時間、一日6時間勉強しなければ同等の立場に立てません。それだけ毎日一年間勉強を続けて、やっとその生徒に追いつくことになります。勉強を毎日継続することは簡単ではないことですし、追いつくことは決して簡単ではありません。でも毎日、勉強を続けること以外に追いつく方法はありません」。
「でもその生徒も休むかも知れないですよ」。
「勉強を休むかもしれないけれど、それは不確定要素に過ぎません。相手の失速を期待していても、自分でコントロールできる問題ではないから駄目ですよ。それよりも自分が一日6時間の勉強時間を確保する方が成績は上がりますよ」。
「でも勉強時間よりも勉強のやり方が大事だと本に書いていたけれど」。
「質は大事な要素だけど量を増やさないと質って分からないでしょう。質の良いものを見分ける力を身につけるには、量を増やさなければならないのです。勉強量が不足しているのに、量をこなさないで勉強の質を高めることはできません。塾に行けばノウハウがあり勉強の質は高められますが、それはどの生徒もやっていることです。自分だけが質の高い勉強ができる魔法はないのです。だから受験勉強の質は同じだと思って量を増やす。つまり勉強時間を増やすことが成績を向上させるために必要なことです。アレコレ言っていないで今から勉強をすれば、今日から一日6時間の勉強がスタートできます」。