コラム
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2012/4/19
1021    上から見る

上場企業である都市開発会社の幹部と話をする機会がありました。創業者魂を受け継いでいる会社で、今もなお発展途上であることが分かります。

大阪本社の玄関には創業者の言葉が掲げられています。「志在千里」の言葉がそれで、その意味するところは、目標は千里の彼方にあり、そこまでたどり着くには一歩ずつ前進しなければならないというものです。

立ち止まると辿り着けませんし、一気に進もうとしても無理が祟ると辿り着けません。一日一里を続けると1,000日で千里の彼方に辿り着いている計算になります。遥か彼方と思っていた千里先の場所に1,000日後は立っているのです。最初は雲の上の場所や地の果てよりも遠いと思っていても、毎日の一歩を繰り返すことで、その彼方に到着することができるのです。

不思議なことに、ここでも1,000という数字が登場します。どうやら1,000日続けることが遠くに辿り着ける唯一の方法であり、1,000日を継続する我慢をすることが目標を達成するために必要な期間であることが分かります。目標を思い描いたら、何が何でも1,000日継続することが重要なことなのです。1,000日を超えてそこに辿り着き、そこから何か変化が起きるのです。やり初めて三日や一ヶ月で達成できるものはないのです。三年間は続けること、そこから全ては始まるのです。

さて幹部の方から不動産を見る基準として「上から見ること」があると話を伺いました。不動産は上から観ると、全体の中でどの位置にあるのかが分かり、周辺施設との距離や関係、開発の場合の同意の範囲などが分かります。学校や病院、迷惑施設といわれる施設との距離感も分かりますし、地域開発の判断を下すために必要な視点が、「上から見ること」なのです。

今では所有していませんが、かつては「上から見る」ために会社にはヘリコプターがあったそうです。部門の許可が得られるとヘリコプターで開発計画のある場所の上空を飛び、鳥瞰を描きます。上からの視点も加えて、その場所が開発すべき地点か否かの判断の材料にします。

考えてみれば、地上からの視点や人の目線からの風景は誰でも見ることができます。人と同じ視点で判断するのではなくて人と違った視点、もっと言えば人が持ちえない視点から物事を見られたら、仕事や交渉を有利に進めることができます。今でこそ、上空からの映像はパソコンから見ることができますが、当時は上空からの様子は誰でもが知りえる情報ではなかったのです。パソコンからでも、上空から知っている場所を見ると新鮮な視点て捉えられますし、普段と違って見えますから新しい発見があります。

人が持っていない視点、人が調査していない視点からの調査、人が立っていない場所からの視点、人が気づかない視点などは、仕事を進める上で大事な視点です。立ち位置を変えると見えるものが違いますし、把握できる情報が違ってきます。

上から見る、鳥の目とも言われますが、全体を鳥瞰できる視点を持ちたいものです。