コラム
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2012/3/19
1001    陰日向のない努力

平成24年の箱根駅伝で優勝した東洋大学の監督に関する記事がありました。優勝は山の神がいたから簡単に達成できたものではなく、日頃の練習と日常の心掛けをしてきたから達成できたことを知りました。優勝した理由には、駅伝だけではなく社会人としても必要なことが含まれています。

「指導者たる者、人が見ている、見ていないではなくて、見られていない部分でどんな心構えでいるのかが大切なんだ。結局、そこは人が見ているし、選手も気づく。そういった指導者に選手はついてくるんだよ」。

これは東洋大学の酒井俊幸監督が監督を引き受ける際に恩師からもらった言葉です。これを一言で「陰日向のない努力」と伝えています。

人は人が見ていない時にこそ本性が表れます。自分ひとりの時間に目標に向かって努力しているかどうか。誰に見られても恥ずかしくない行いをしているかどうか、が人間の質を高めるものです。

「自分でやらないことを選手に求めても、軽い言葉で終わってしまう。多くを語るよりも、指導者のなすべきことをすれば選手は自然に動いてくれる」。

口ばかり動いて自分は何も行動をしない人がいます。簡単に動かない仕事は自分が動くと苦しいので人に依頼するのです。信頼している友人を通じてなど困難な案件を依頼された人は、その困難を撃ち破るために行動を起こしますが簡単には進みません。それどころか第三者の立場で踏み込めない部分がありますから、かなり厳しい仕事になります。

途中経過を報告する際、何の行動も起こさない依頼者から「一体どうなっているんだ。そんな言い訳を聞いて対処できないのですか」など、信じられない言葉が飛び出すことは多々あることです。本当は自分が対処すべき仕事なのに、自分でできないから人に依頼しているのです。それも無償で。相手に向けられている批判が依頼者への批判になる場合も、とても良くあることです。

依頼者を批判するのは筋違いなのですが、批判をする人は誰でも批判の対象にしますから、要は人を見て仕事を引き受けるべきなのです。多くの実例に接して、そのことが分かってきました。まずは自分で行動することが大事なことです。

「日常を大事にしなければ、大きな奇跡は起こせない。淡々と努力を継続していきたい」。

どんなエースがいても、優秀な選手が揃っていても、日常の練習を疎かにすれば、優勝はありません。勝つために必要なことは練習だけではなく、練習以外の日常生活全般、そし食生活やセルフケアへの自覚などは必要なことです。練習をするけれど選手として、人として当然すべき日常の行動ができていなければ結果はついてきません。

土台は人として人に迷惑を掛けない日常生活です。優勝を決める戦いは箱根復路の一日だけです。毎日の練習と日常の行動が、その一日に向かっています。