1.和歌山県の将来を創ることについて

こんにちは。今更ですが、この県議会はインターネット中継をしています。県議会が始まってからインターネットで「県議会を見ています」と伝えてくれています。職場で、出張先で、あるいは車の中で見ているという人がいて「県政に関心を持ってくれている人が多いんだな」と思います。今日も議場には大勢の皆さんにお越しいただいていますし、インターネット中継を見てくれている方もいるので真剣勝負の質疑を交わしたいと思います。
では議長のお許しを頂きましたので、通告に従い一般質問を行います。
去る9月3日、長崎スタジアムシティの視察を行いました。雇用や交流人口を増やすこと、そして周辺も含めて経済効果があることが分かりました。長崎市スタジアムシティができたことによる効果は次の通りです。
この地域の土地の価値が上がったことや、地元にとって買い物をすることや遊ぶことなど生活の選択肢が増えたので、生活のレベルが上がっています。更に、地元商店街は人通りが少なく寂れていましたが、長崎スタジアムシティの波及効果で賑わいが戻っています。
また地元の人は、当初、この施設ができると迷惑になると予想していたのですが、逆に人が集まり賑わいが出て安全な街になったと評価されています。これらのことから、この地域の生活の質が高まっているということです。
相乗効果も出ています。長崎スタジアムシティが一人勝ちをしているわけではなく、試合のない日でもコア集客施設となっていますし、プロサッカーやプロバスケットの試合が開催されるときは、JR長崎駅と長崎スタジアムシティをシャトルバスでつないでいるため、街中に人が訪れるようになりました。
長崎スタジアムシティを訪れる人数は、平日で約9千人、休日で約2万人から3万人となっています。これ以前は長崎市で平日に9千人も集客できる施設はありませんでしたが、今では長崎市内外から訪れる人で賑わっています。
またバスケットアリーナでは、試合の開催されない日はコンサートなどのイベントを企画しています。これまで長崎市は、メジャーなアーティストから「できない」と断られていましたが、今はこのアリーナでコンサートを開催するようになっています。

では「近隣の交通渋滞の問題はありませんか」と尋ねたところ、「交通渋滞は全くありません」との回答でした。長崎スタジアムシティは約2万人収容できるので。計画段階から交通渋滞の発生を予想して渋滞が起きない対策を採用しています。例えば、試合のある日の長崎スタジアムシティの駐車場を予約制にしていることや、3時間を超えて駐車すると3千円の割増料金を設定しています。
そして長崎スタジアムシティ内に日替わりで約100種類ある地ビールを提供するビアハウスを作り、ここ以外では販売しておらず、お客さんが一般交通機関で来るようなしかけをしています。
それでも最初は交通渋滞を心配して警察に交通警備をお願いしていましたが、オープンから3日後には「もういりませんね」といことになり、警備をしなくて良くなりました。
結果として、心配していたような交通渋滞は全くなく、対策を講じたことで「地元からは交通渋滞の苦情は一切ありません」と説明してくれました。
それどころか、長崎スタジアムシティの計画段階では地元から反対意見がありましたが「今は誇りに思う」と評価されています。
地元に歓迎されているのはコンセプトです。長崎スタジアムシティのコンセプトは「非日常を日常にすること」、「毎日来たくなる場所」、「ちょっとした未来が見える地域」です。
毎日の生活でちょっとした未来が見えると、存在しているだけで希望のある未来へとつながっていきます。
スタジアムで年間開催される試合は、サッカー20試合、バスケット40試合程度だそうです。つまり365日分の20、365日分の40なのですが、試合のない日でも人が訪れる場所なので、長崎スタジアムシティモデルは全国の地方都市に通用するロールモデルとして、いずれは全国にノウハウを発信していきたいと説明がありました。
長崎スタジアムシティは市内外からの集客と雇用を生み出しているように、大型施設は経済と雇用に大きな影響があります。投資額約1,000億円の効果によってJR長崎駅から長崎スタジアムシティと街中への人の流れを創り出すと共に、人口減少の歯止めにつなげています。
このような大型の民間投資を受け入れることが和歌山県の将来のため必要だと考えますが、知事のお考えをお尋ねいたします。
片桐委員のご質問にお答えをいたします。
大型の民間投資につきましては、本県経済の発展に重要な要素であるとの認識のもと、これまでも企業誘致活動に取り組んできたところでございます。
今後も、大型の民間投資案件があれば、それによる地域への効果や影響を見極め、有益であると判断した場合は、積極的に誘致に取り組む所存であります。

佐賀県鳥栖市の久光製薬本社を訪れ、企業とスポーツ、地域振興とスポーツに関する意見交換を行いました。同社を始め地元企業は「SAGAスポーツピラミッド(SSP)構想」を理解してそれに呼応しています。
佐賀県知事の「SSP構想」は、世界ではスポーツとビジネスが結びついていることから「スポーツを活かした世界基準の政策」に取り組む方針が学校や企業に波及しています。
またSAGAアリーナは、バスケットボールの「佐賀バルーナーズ」と女子バレーボール「SAGA久光スプリングス」の拠点になっています。佐賀バルーナーズの試合では、約5千人の観客が訪れていますが、この動員数は「これまでの佐賀県では考えられない数字で、アリーナをフックにして地元経済を回している実感がある」ということです。
佐賀県では「SSP構想」の実現のため「SSP推進局」が、学校関連であれば県教育委員会と連携、セカンドキャリアは産業労働部の人材確保担当セクションや民間企業と連携しています。そしてスポーツビジネスの支援については、産業労働部のスタートアップ支援担当セクションと協力しながら進めています。
そのため久光製薬は、佐賀県の本気の取り組みである「SSP構想」に賛同し、女子バレーボールチーム「SAGA久光スプリングス」、先の女子バレーボール世界大会で、日本代表選手を2名輩出していますが、久光製薬が運営しています。
和歌山県はスポーツ振興に注力していると承知しています。全体の競技レベルの向上のためスポーツビジネスに注目すべきだと思いますが、その考え方をお聞かせください。知事の答弁をお願いいたします。
佐賀県では、昨年度開催された国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会を契機に整備されたスポーツ施設を中心に、人の交流が活性化していると承知しております。
議員ご指摘のスポーツビジネスについては、住民や企業など地域全体が一体となって盛り上がり、地域の賑わいにつながる可能性があると考えています。
また、トップレベルのスポーツを身近で「みる」、「ささえる」ことは、県内のスポーツ参画人口の拡大や競技力向上など、本県のスポーツ振興に寄与するものと認識をしております。
一方、スポーツビジネスで成功するためには、経営面での民間企業との関わり、広い土地や交通アクセスのよい施設、プロ化が見込めるチームの存在など、様々な視点から考えていく必要があると思います。
また、スポーツビジネスを進める上で最も重要なのは、支援する県民の自発的な盛り上がりだと思っております。
県としては、機会を逃すことのないよう情報収集し、具体的な動きがあれば、しっかりと応援していきたいと考えております。
今夏、多くの方と懇談した中で印象に残っている言葉があります。それは県外に進学した大学生の言葉「和歌山県はどこに進もうとしているの」です。
県外に進学した子どもを持つ母親からのお話です。
「私の息子の話を聞いてくれますか。大学生なので帰省するのは時々ですが、帰ってきた時に言うことがあります。「和歌山県はどこに進もうとしているのか全く見えません。県としてどの方向に進もうとしているのか。何を目指しているのか見えてきません。これでは、若い人にとって魅力がないので、卒業後に和歌山県に戻るという選択肢はありません。和歌山県の将来の方向性を、若い人に分かるように、希望が持てるように明確に示して欲しいと思います。
そして和歌山県に欠けているものはエンターテイメントです。ビックアーティストのコンサート機会は少ないですし、プロスポーツ観戦の機会もりません。人気のある野球、サッカー、バスケットボールのプロチームの試合観戦ができない数少ない県だと聞くことがありますが、確かにその通りだと思います」という意見です。

前段の「和歌山県はどこに進もうとしているのか」の大学生の問いかけには、県政として真剣に対応する必要があります。地元で育った学生が、「和歌山県がどこに進もうとしているか分からない」と言っているのですから。「進もうとしている方向」が分からなければ夢を描く学生たちは、地元に戻って仕事をしようと思いません。
若い人にとって必要な将来の希望が見える姿が示されていないので、例えば、戻って起業しようとしても、「和歌山県はAIやデジタル企業の支援はしてくれるのだろうか」と思いますし、エンターテイメント系の仕事をしたいと思ってもその分野の仕事がありませんから、都会に残る選択をすることになります。
和歌山県がこれから先、進むべき方向を明確に示し、実現に向けた動きを見せなければ、若い人は戻ってきませんし、まして県外から和歌山県に就職してくれる人はほとんどいないと思います。
例えば、和歌山県は5年先にAI先進県を目指す。若い人たちが起業できる環境を整える。投資家の皆さんにも関心を持ってもらうなど明確に方向性を打ち出すべきです。
「和歌山県の子ども達が笑顔になって県外に進学し、そのまま進学した都会で就職するような和歌山県になっていませんか」ということです。若い人は、このような和歌山県の姿を分かっているので、県外に進学した若い人たちの声に応えるのは私たち県政の役割です。
続いて住宅会社の経営者のお話です。
今年、和歌山市内での住宅着工数は減少しています。土地価格はそれほど変わっていませんが、資材費と人件費が上がっているからです。これまで和歌山市内の住宅販売価格は、2,500万円から3,500万円ぐらいだったのですが、今は3,500万円ぐらいから4,500万円になっています。そのため銀行の住宅ローンの審査が通らないのです。残念なことですが、和歌山市の会社の所得水準では4,500万円の住宅ローンが通らないようなので住宅販売が落ちているとのことです。果たして希望が持てるでしょうか。
和歌山県として人口減少と所得向上への対応、低迷している経済や県外に進学した学生に和歌山県に戻ってもらうための対策、資金が循環していないことなど、和歌山県には問題が山積しています。学生に希望を感じてもらうために、停滞している県経済を回復させるために、和歌山県はどう対応していくのでしょうか。知事の答弁をお願いいたします。
本県は、少子高齢化、重工業の事業縮小など様々な課題を抱えていますが、世界的な潮流を捉え、地域特性を生かしながら、いち早く変化に対応できれば、県内に成長投資を取り込み、脱炭素先進県へと飛躍する可能性を秘めています。
議員御指摘のとおり、和歌山県の将来に向けて進もうとする方向を示すことは大変重要です。県としても、令和6年4月に「わかやま成長産業開拓ビジョン」において「将来ありたい姿」をとりまとめ、将来の和歌山を担う成長産業の候補として、カーボンリサイクル燃料、蓄電池・次世代自動車、再生可能エネルギー、ロケット・宇宙、資源循環といった産業分野をお示しいたしました。
将来の中核となる成長産業を呼び込み、産業レベルの集積を実現するとともに、従来産業に対しても成長産業への参入を促すことで、全国に先駆けて地域全体のGX・DXへの産業転換が進展します。
競争力ある成長産業の拠点が形成される中、良質な雇用が創出され、賃金水準も上昇、暮らしやすさや働きやすさ、和歌山の魅力も相まって、若者・子育て世帯が流入します。
脱炭素社会の中心県という評価を得て、和歌山で働き、暮らし、育つ人にとって、誇りと希望を持てるまちとなる将来を、ありたい姿として描き、成長産業開拓ビジョンをお示ししているところです。
ビジョンに基づき選定した成長産業の開拓・集積を何としても実現させるという覚悟で、ロケット・宇宙産業やGXに積極的に取り組む投資意欲の高い企業へのアプローチに引き続いて努めてまいります。

和歌山市の将来を希望に変えるため、事業家、飲食店経営者そして教育者などと「和歌山県の将来」を話し合っています。
経済が回っていないことから所得が低く、据え置かれたままになっています。全体の所得が増えなければ更に格差が生まれ治安悪化どころか将来の希望も失います。
現状では、和歌山県が人口減少と経済低迷から脱出する術が見えてきません。事業者も飲食店経営者も「このままで和歌山市の未来はない」と言い切ります。お客さんが増えない、売り上げが増えない、従業員の給与を上げられない、雇用も増やせられない現場の状況を聴いています。
大型投資のある熊本県や北海道では地価が上昇していますし、先に述べた長崎県では賑わいと雇用を生み出しています。これらの取り組みから分かるように、和歌山県に必要なものは民間企業の進出と大型投資に尽きます。基幹産業、またはこれに準じる産業が進出すると周辺産業の仕事が増えますし、まちにお金が流れます。飲食店、食材提供、そして観光など多くの分野に影響を与えることになります。
和歌山県に大型投資をしてくれる企業はそれほど多くはありませんから、訪れようとしている機会、チャンスを生かすべきです。
全国を見ると各地に大型の投資計画があります。現在策定中の和歌山県新総合計画にも示されていますが、残念なことに半導体など大型案件に関して和歌山県は白紙の状態です。果たして和歌山県に大型投資が期待できるのでしょうか。知事にお尋ねいたします。
大型の民間投資につきましては、現在策定中の総合計画においても、本県の地域特性や地理的条件を踏まえて、宇宙や、カーボンニュートラル燃料、洋上風力や蓄電池といった、今後成長が期待される分野の産業において、その中核となる企業の誘致を進めていくことを明記しています。
議員ご指摘の大型の投資計画は、正にこうした成長分野における企業誘致を実現することであり、脱炭素先進県をめざして、今後も全力で取り組んでいく所存であります。

大型投資について答弁をいただきました。私も先端産業の誘致はすべきだと思っていますから、洋上風力やDC、蓄電池などは何としても実現すべきだと思っています。ところが簡単ではありません。洋上風力はコストが高くなっていることから建設費の採算面で大変なことは既報の通りですから、スピード感を持って取り組む必要があります。またDCや蓄電池にしても広い土地が求められるので、土地の価格が安いところに立地する必要があります。ところが和歌山市の場合、調整区域があり立地に時間を要することがあります。いずれも誘致をすることは簡単ではありませんが、県政として実現すべきことなので何としてもやり遂げたいと思います。
さて今年6月議会以降、多くの方と「和歌山とリゾート」について会議や報告会などで意見を聴く機会を持ちました。
- 和歌山県は企業が少ないのは、受け入れる姿勢が弱いからだと思います。上場企業は必要以上の本気で事業拡大に取り組んでいますから、行政も必要以上の本気が必要です。熱心に企業誘致に取り組み成果を上げている県は、その気概を持っています。いうまでもありませんが、上場企業が地方に進出する場合、株主への説明責任を果たさなければなりません。和歌山県に進出する場合、何故、和歌山県なのかをスタークホルダーに説明しなければならないので、和歌山県への誘致は決して簡単なことではありません。
- 和歌山県はリゾート環境も良いので魅力的で良い県だと思います。但し「観光は作るもの」ですから、そこが足りないと思います。観光は今あるものを維持、管理するだけではリピート性がありません。世界の観光地を研究すると分かりますが「観光は作るもの」です。その視点を持てるなら和歌山県に人を呼び込む力があります。
特にリゾートは一度限りのお客さんを狙うのではなく、如何にリピーターを創り出すかの視点が大事です。和歌山県は観光地ですが、ビジネスとしては世界水準のリゾート地ではないように感じます。 - 人口が減少していくと、今まで以上に仕事のあるところや稼げるところに人口が集中していきます。今から大型投資を本気で考える必要がありますが、まだその危機感が少ないように感じます。
- リゾート客のためにサービスの幅を広げる必要があります。誰でも同じですが観光客が外国に行くと日常生活よりも多くのお金を使います。飲食は美味しいもの、ゆったりとした席で食事ができるお店を選びます。一般的に価格の高いお店はサービスレベルが高く、美味しくて、そして待ち時間が短くて済みます。和歌山県はリゾート県なので、世界のリゾート地の考え方を採り入れることが必要です。
- 民間投資を受け入れることは何よりも大事なことです。通常、よほど魅力的な場所か収益性の高い土地でなければ企業は投資しません。半島に位置する和歌山県は不利になると思いますが、リゾート性が感じられるので和歌山県はその対象になり得ます。但し、魅力的かどうかは収益性や事業者の期待値が入るので、東京や北海道が魅力的と感じる事業者がいれば、和歌山県が魅力的と感じる事業者もいます。和歌山県は十分投資対象になるということです。
- 「和歌山県は経済力が弱いですね。全国レベルの大型投資案件がありませんから、現状を変えるためには民間投資を受け入れることが必要です。県の予算だけで県経済も雇用の状況を変えることは難しいと思います。
例えば政府の補助対象となる大型案件を誘致することは有望ですが、現状では和歌山県に該当する案件はないようです。和歌山県には来たいと思わせる良い素材があるだけに、もったいないと思います。大型投資はどの県も欲しいので、企業誘致の適地性のある県は必死で誘致をしています。 - 宅建事業者の方が「和歌山県の土地は30年前と同じ水準です。全く価格が上がっていないことが和歌山県の衰退を示しています」と話してくれました。30年前の土地価格のままでは、融資額も30年前と同じことになるので、県内に資金が回らないのは当然のことです。これらが、企業を始めとする皆さんが見た和歌山県の評価です。和歌山県の現状が良く分かります。
和歌山市における企業誘致での過去10年間の投資は約112億円で485人の雇用であり、1,000億円規模の投資はないということでした。私は1年間の投資額かと思ったので驚きました。
また先週末に「MICEセミナー」に参加した大学生インターンシップ生から「神戸国際会議場に研修に行ってきました。国際会議を誘致して、1万人の参加者で1週間開催すると、経済効果は30億円になります」と教えてもらいました。MICE施設があり国際会議を誘致した場合の巨大な経済効果に驚きました。和歌山市の企業誘致の投資額は10年間で112億円だったのに対して、一週間の国際会議開催で約30億円の経済効果があるというのです。勿論、投資額と経済効果はベクトルが違うので単純に比較できないかも知れませんが、とにかく国際会議を開催する経済効果は大きいものがあります。
またIRが誘致できた場合、開業まで2,000億円の投資が3年間続くことが予想できますから、長崎スタジアムシティの投資額を大きく上回ります。
そこで過去、和歌山県にはない大型の投資である「和歌山IR」について、令和7年6月以降の和歌山県の対応状況、および県民の皆さんの意見をどう把握してきたのかを、知事にお尋ねいたします。

観光庁への訪問などを通じて、IRにつきましてですけども、国の動向について情報収集に努めているところであります。
私自身が様々な機会を通じて、県民の方々とお会いする際につきましても、IR誘致の是非についてのご意見を頂戴したこともあります。
大型投資、非常に重要であります。なので、確かに大型投資のために、私らも一生懸命にみんな、誘致ができるように活動しているところです。
また、IRにつきましても同様にですね、非常に大型投資に繋がるものであるというふうには認識しておりますが、なにぶん議会で否決をされておりますので、そういったことも重く受け止めながら、今後決断をしていきたいなというふうに思っております。
「MICEセミナー」に関して補足しておきます。参加した大学生たちは最終日にグループに分かれてディスカスを行い、最終は成果発表、プレゼンを行っています。会場は神戸国際会議場だったのでテーマは「神戸と大阪のどちらが進んでいるか。魅力的か」ということでした。グループ分けした大学生の意見は神戸と大阪が半分半分でした。どちらも魅力的な街だということです。
それではということで大学生に「では神戸と和歌山はどちらが魅力的ですか」と尋ねたところ、答えはここでは言いませんが、半々ではありませんでした。この現状があるので、できるなら神戸と大阪、和歌山は同じように魅力的だと言われるようになりたいものです。
そのためには和歌山県に希望を創り出す必要があります。

そして神戸や大阪にはコンテンツとエンターテイメントがあります。若い人が都会に憧れるのは、コンテンツとエンターテイメントがあるからです。和歌山県には残念ながら少ないのですが、直近でもあることはあります。
漫画家のヤマザキマリさん、「テルマエ・ロマエ」の作者ですが、和歌山県内の温泉の取材をしてくれています。現在、「続 テルマエ・ロマエ」として不定期に連載されていますが、これも大事なコンテンツです。映画「国宝」の効果でロケ地に人が訪れているように、「属テルマエ・ロマエ」で県内の温泉地が取り上げられたら、そこに人が訪れることになります。映画や漫画などのコンテンツは人を呼び込む力があります。
そしてプロスケーターの「羽生弦選手がオリンピックで滑った時の音楽に「天と地のレクイエム」がありますが、この曲を作曲したのは松尾泰伸さんです。作曲家でありピアニストである松尾さんが歴史と文化に彩られた和歌山市内で奉納演奏を行ってくれます。これもエンターテイメントですから、しっかりと集客をしていることにも触れたいと思います。
コンテンツやコンサートは観光や集客に好影響を与えてくれるものなので、これからはもっと呼びこめたらと思います。
さて質問に入ります。観光庁祓川前長官が海外紙で「政府が目指しているのは、他の魅力的な観光施設を備えた新たな観光拠点を一箇所に整備することです。次回のIR申請もそう遠くない時期に行われるはずです」と発言したことを今年6月、の海外報道が伝えています。この発言に対する知事の見解は如何でしょうか。
議員ご指摘の記事については承知をしております。
県としましても6月議会以降、複数回に渡り観光庁との意見交換等を行ってきたところであります。その中では「申請主体である自治体の状況を見極める必要があり、注視していく」という国の姿勢に変わりはなく、また、9月9日の国土交通大臣会見でも、同様の趣旨の発言がありました。
こうしたことから、再公募されるかは現時点においては不明であると認識しておりますが、引き続き情報収集を進めて、努めてまいりたいと考えております。
IRに係る公募期間は政令で公布されることになりますが、政令は法律から委任された事項について委任の範囲において内閣から交付されます。報道による長官の発言からすると、いつ公布されてもおかしくないと思いますから、準備を整えておかないと公布された場合には対応できない恐れがあります。
和歌山県は観光庁のアンケートに対して「関心あり」と答えていることから、事前準備をしておくべきですが、知事のお考えをお聞かせください。

昨年11月にあった観光庁のアンケートに対しては、「IRの整備に関心がある。ただし、国からの再公募があれば、IRの誘致の賛否については、ゼロベースから時間をかけて検討する方針である。」と回答いたしました。
その上で、浦口議員にもお答えしたとおり、IR誘致の是非については、知事であります私が様々な機会を通じて県民のご意見を伺い、然るべき時期に判断したいと考えております。
したがって、現時点では是非を判断していない段階であるため、申請に向けた事前準備に取り掛かってはおりませんが、引き続き国の動向や県民の意見など、判断材料となる情報をしっかりと収集して参りたいと考えております。
(まとめ)
今回は長崎スタジアムシティと佐賀県のスポーツビジネスから始まり、和歌山県に希望を持たせる取り組みについて質疑しました。今日も大学生が議場に来てくれていると思いまずか、今日の質疑を聴いて「和歌山県に戻って来たいな」と思わせたなら、質疑を交わした成果があると思います。県政がやるべきことは、若い人たちに和歌山県に希望を感じてもらえる施策を打ち出すことです。やはり和歌山県にとして経済と雇用を増やすことが必要なので、投資を呼び込む取り組みをして欲しいと思います。
また視察した長崎スタジアムシティやSAGAアリーナの施設を見ると、紀三井寺球場や競技場など和歌山県内の施設は老朽化しているので見劣りがします。プロスポーツはもちろんのこと、子ども達にも良い施設で試合をさせてあげたいなと思います。
これらの課題に対して、知事と議会が一緒になって和歌山県の希望を創り上げていくことをお願いして、私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。