令和5年12月定例会一般質問 / 質問内容

3.和歌山市の都市機能充実について

一般質問

先日、友人とAIの活用について話をしました。県庁でもパワーポイントで資料を作る機会はたくさんあると思います。これまで例えば提案するために20枚のパワーポイントを作成する場合、仕事量として1日か2日を要するとします。しかしAIを活用すると必要なキーワードを入力するだけで資料を作成してくれます。提案内容の構成、レイアウト、無料の写真を引っ張ってきて貼り付けてくれるなど、数分で作成できるというのは大袈裟ですが、10分もあれば出来てしまうのです。これには驚きました。

エンジニアは難しいとしてもAIを使うこなせる人材がいれば仕事は早くなりますし、時間外の仕事も減少して予算が捻出できるかも知れません。少し離れましたが、情報通信系の企業誘致と人材育成は必要だと思います。

さて最後は「和歌山市の都市機能充実について」です。

今年11月7日、会派でJR福山駅前と周辺の再開発の取り組みを視察してきました。全国から駅前再開発の先進モデルと言われている事業で、官民連携によるJR福山駅前と周辺の再生の取り組みについて、福山市および開発事業者の地元「トモテツセブン」から説明を受けました。

JR福山駅前の再開発は、平成29年に福山駅前再開発協議会を開催してから7年近くが経過して、ようやく再開発が現実になったものです。

この再開発は県内外企業の共同事業であり「当然、考え方も資金力も違うので、最初は大変だった」という状況にも関わらずスタートしました。

しかし行政を含めての会議で、本気で再開発に向かうために意見を戦わせることで、事業者同士が理解できるようになっていきました。そして広島県と福山市が協力する意思を示してくれたことで再開発に向けての構想がまとまっていったのです。

JR福山駅前再開発は「駅前周辺に波及展開するウォーカブルエリアを象徴するプロジェクト」と目標を明確に示し、行政と民間事業者が動いたことで、地元も巻き込んで事業は進展していったのです。

とにかく事業者と地元、行政が連携しないことには再開発は絶対に成功しないことを訴えてくれました。

このような経過を踏みながら駅前再開発事業は進展し、令和6年秋にはJR福山駅前には北棟、中棟、南棟の商業施設がオープンするので、定住者と交流人口が増え、人の流れもできることになります。

一般質問

また今後の計画ですが、JR福山駅の現在の交通結節機能は残しながら人が集えるような広場機能を付加したいと考えているようです。ターミナル駅にとって交通結節機能は重要ですが、それだけでは通過するだけになるので、人の交流も経済効果も生まれません。

交通の利便性を確保すると共に、駅前に広場機能を持たせることによって交流人口を増やし、中心部と周辺部を連動させて経済を動かそうとしています。

続いて、11月27日から29日まで、半島振興地方創生対策特別委員会の視察を行いました。そのうち、金沢市で訪ねた石川県立図書館、通称「百万石ビブリオバウム」のスケールと迫力は圧倒的で、事前の期待を大きく超えるものでした。

視察したのは平日でしたが、多くの石川県民、特に学生が図書館を利用していました。案内してくれた副館長の説明では、平日で約2,500人、土曜日と日曜日は約5,000人の利用者があるようです。

とにかく図書館というよりも、美術館や博物館、学習の場や交流の場などの機能を持っているように感じました。そして図書館の空間は広大で、美しい広場に来ているような安らぎと開放感がありました。

視察してこの図書館の凄さを感じたので、職員さんに石川県知事のスタイルについて尋ねました。

「私が知っている歴代知事は、自分の知事時代だけではなく、次の時代を考えて必要な投資を行うこと。投資したものが県民の財産となり、地元の私達が石川県の伝統と文化を引き継いでいくことを目指してきたように思います」と説明してくれました。

県民が欲している知と情報の要求、文化活動ができる空間など、将来につながるものに対しては、思い切って投資をする姿勢が必要ではないだろうかと感じました。

また同特別委員会の最終の視察でJR福井駅にも立ち寄りましたが、来春に北陸新幹線が開通することもあり、僕の記憶に以前のJR福井駅とは見違えるばかりの駅になっていました。駅の持つ機能と利便性を高めている福井駅の利用者は多く、駅前には新しい店舗の出店計画があることから、開業に向けて準備を整えている活気を感じる光景がありました。

金沢市も福井市も駅前から新しい都市空間が伸びていることから、街に賑わいと活気を感じました。

一般質問

二つの視察を終えてから和歌山市を歩いてみると賑わい感が乏しく、イベントでは人が集まるものの、平日の和歌山城や和歌山城ホールなどなどでイベントがない日は、人の動きが少ないようにも感じられます。

広島県と福山市が民間事業者と一緒になってJR福山駅周辺の再生に取り組んだように、石川県が交流人口を増やすことも視野に入れて県立図書館を建設したように、和歌山市の賑わいを創出するための取り組みは必要だと、さらに強く思うようになりました。

そこで質問です。

質問1:和歌山市の街づくりについて

和歌山市の玄関口であるJR和歌山駅は、建設してから相当の時間が経過していることから、近い将来、建て替えやそれに伴う駅前再開発が必要ではないかと思っています。

県では成長産業の企業誘致を進めていることや、観光ダイヤモンドイヤーに向けての観光の取り組み、「大阪・関西万博」を契機とした県内観光など、和歌山県、和歌山市にとって再開発と将来とも持続できるような賑わい創出の絶好の機会となります。

県として、和歌山市と連携した街づくりについてはどう考えているのでしょうか。県土整備部長の答弁をお願いいたします。

答弁者:県土整備部長

都市の賑わいと活性化のためには、既成市街地などの拠点における再開発を行うなど、コンパクトな都市づくりを進めることが重要であると考えており、県としても、このような取組を積極的に支援してきたところです。

和歌山市では、和歌山駅、和歌山市駅、和歌山城の周辺を結ぶまちなかを中心拠点区域として立地適正化計画に位置づけ、医療・商業・教育文化等の都市機能増進施設の誘導を行うなど、コンパクトな都市づくりを図ってきたところです。

また、和歌山市駅前地区をはじめ、和歌山市内の4地区において市街地再開発事業が行われ、まちなか居住が進むとともに、大学誘致で若者が増えるなど賑わいが戻りつつあり、現在、市街地再開発の新たな取組が進められております。

まちづくりについては本来、市が主体となって進めるものでありますが、県としても、先進事例の調査を行いながら、その知見を新たなまちづくり支援に活用するなど、賑わいのあるコンパクトな都市づくりの実現に向け、市と連携して取り組んでまいります。

質問2:JR和歌山駅東口の交通結節機能の充実について

JR和歌山駅東口の交通の課題として、大型観光バスが駐停車できる場所が少ないことがあります。和歌山市で大型観光バスが駐車できるのは、和歌山城と和歌山ビッグホエールぐらいに限られています。

そのため観光客の乗り降りと駐車場所で困っている場面を見かけることがありますし、観光事業者に聞くと「JR和歌山駅周辺に大型観光バスの駐車場がないので、できたらスペースが欲しい」という意見を聞いています。

大型観光バス駐車場の問題を改善すれば、もっとインバウンドのお客さんを誘客できると思いますし、観光立県であるならJR和歌山駅周辺に大型観光バスの駐車場の整備が必要だと思います。

この観点でJR和歌山駅東口を見てみると、東口駅前に路線バスの駐車場所がありますが、ここに観光バスを駐車できるようにできないものでしょうか。

JR和歌山駅東口周辺の道路は大型観光バスの乗降場所となっていますが、できれば関西空港や県外から来県される方々の和歌山市の玄関口として、大型観光バスや路線バスの利便性を向上させるべきだと思います。

利用者や観光客の利便性向上を図るため、JR和歌山駅東口で大型観光バスなどの交通結節機能の環境整備を図ることについて、地域振興監の答弁をお願いいたします。

答弁者:地域振興監

JR和歌山駅は、1日に約3万人が利用しており、県外からの来訪者も多く、鉄道やバスなどの交通ネットワークにより県内全域と結ばれ、本県にとって非常に重要な交通結節機能を果たしております。

議員ご指摘のとおり、当駅の東口は、電車と、路線バスや高速バス、タクシー、自家用車との乗り継ぎが頻繁に行われておりますが、大型観光バスの駐停車場所がない状況にあり、その確保は、円滑な乗り継ぎを行う上で大変重要であると認識しております。

現在、県、市町村、交通事業者等で構成する和歌山県地域公共交通活性化協議会により策定中の、地域公共交通政策のマスタープランである「和歌山県地域公共交通計画」においても、駅やバス停の待合環境整備を始めとした交通結節点での機能の充実は、公共交通の利便性向上に必要不可欠なものとしており、今後も市町村や交通事業者など関係者と連携しながら取り組んでまいります。

質問3:和歌山北インターチェンジのフル化について

平成22年、和歌山市北部の交通利便性の向上と、この地域の活性化を目指し、和歌山北インターチェンジは大阪方面の出入口があるハーフインターチェンジとして共用が開始されています。

供用開始後、商業施設が立地したことや利便性が向上していることから、当初の目的は達成されていると思います。

しかし田辺方面に行く場合は和歌山インターチェンジに向かう必要があるため、和歌山市全体の利便性向上や産業振興と観光振興に資すること、および一般道の渋滞緩和の面から、フルインターチェンジ化は地元のみならず、市民の方々、市内事業者の方々からの強い要望があります。

当然、コスモパーク加太に進出しようとする企業もフルインターチェンジ化を期待していると思いますから、是非とも早期に事業化して欲しと思います。

そのため、今年10月19日、和歌山市と和歌山市北インターチェンジの地元連合自治会長、および和歌山商工会議所で構成する「和歌山北インターのフルインター化促進期成同盟会」及び「京奈和・第二阪和連絡道路建設促進期成同盟会」が合同で、国土交通省などに対して「和歌山北インターチェンジのフル化等の国要望」を行うなど、実現に向けて強い気持ちで活動を続けています。

そこで質問です。

和歌山北インターチェンジのフルインターチェンジ化に向けた取り組みついて、県土整備部長の答弁をお願いいたします。

答弁者:県土整備部長

和歌山北インターチェンジにつきましては、地域活性化などを目的として、和歌山市が事業主体となり県市連携のもと、2010年に大阪方面へのハーフインターチェンジで整備されました。

本インターチェンジの整備に伴い、隣接する和歌山市の企業誘致用地において、募集開始から1ヶ月あまりで物流をはじめとする11社の企業が進出を決定するなど、現在に至るまで企業立地が進んでいます。

そうした中、更なる産業振興や物流の効率化などを図る目的で、2022年9月に和歌山市がフルインターチェンジ化にかかる勉強会を立ち上げ、国、県、市、西日本高速道路株式会社など関係機関が連携し、必要性や構造についての検討を実施しております。

県といたしましては、引き続き、和歌山市と連携し、こうした取組を進めてまいります。

【まとめ】

部長の答弁をいただいたので総括しますが、都市機能充実や和歌山北インターチェンジのフル化、観光や万博などの県政の課題は、県と市、市町村が強く連携することが必要だと思います。どちらが主体になるかの問題ではなくて、どちらも気持ちの上では主体となるような気概で、これからの課題に取り組んでくれることをお願いして、一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。