おはようございます。一般質問の二日目、議長のお許しをいただきましたので通告に従い一般質問を行います。
1.「大阪・関西万博」を契機とした観光振興について
最初は「大阪・関西万博を契機とした観光振興について」です。先日、県内の観光事業者方々と「大阪・関西万博」を契機とした和歌山県観光のあり方について話し合いを行う機会がありました。
「大阪・関西万博が開催されることは歓迎ですが、今の和歌山県の観光行政の取り組みでは、万博に訪れたお客さんが和歌山県まで観光に来てくれるのだろうか。関西のそれぞれの府県は、万博を訪れるお客さんの誘客に向けていち早く取り組みをしています。来場者は、万博を訪れた後はどこに行こうかを既に決めていますから、万博に来たついでに「和歌山県に行こう」と思う人はいません。事前に関西での旅行計画を組み立てているのが普通です。
つまり旅行会社や関西以外の地域の地元旅行関係者に対して「和歌山県観光を今から売り込んでツアーとして企画してもらう」必要があるのです。時期からすると、もう遅いぐらいです。でも今からでも和歌山県観光の強みと良さを伝えるべきです」という意見です。
これまでも県観光部局は、旅行会社やメディ、出版社などを訪問していると思いますが、旅行会社と話しても、企画で「万博と和歌山県を組み合わせた商品」について聞くことはありません。むしろ関西圏以外の人に対して「万博とユニバーサルスタジオを組み合わせた旅行商品」の企画もあるようなので、和歌山県に誘導するには相当の働きかけが必要だと感じています。
和歌山県の強みは「食」「温泉」「世界遺産」「パンダ」などですが、地元で観光に携わっている事業者によると、それ以上に売り込むべきものは「発祥」と「起源」が数多く存在する「聖地」だそうです。
令和7年の万博開催の年に向けて、「発祥」「起源」「聖地」を感じてもらえる企画をして誘客につなげるべき」だとの意見を伺いました。
和歌山県の強みは「発祥」「起源」「聖地」だと聞いていたところに、和歌山県の観光キャンペーンのテーマが「聖地リゾート和歌山」になったことを聞いたので、観光部局の時流の捉え方に敬服しました。
観光部局においてはこの切り口で「大阪・関西万博」と相互誘客を行い全国の旅行事業者が売りやすい商品をつくってもらえるしかけをお願いしたいと思います。
和歌山県には観光誘客の武器となる「発祥の地」や「聖地の宝庫」が数多くありますから、それらを巡ってもらえるような企画を売り出して欲しいと思います。
幸い、和歌山県内の市町村には、新たに作り出さなくても、これまで蓄積してきた時代が求める体験観光がたくさんあります。これは1999年に開催された体験型の博覧会だった「南紀熊野体験博」が起点となり、そのノウハウが蓄積されているからです。
ゼロから「発祥の地巡り」や「体験型観光」を生み出すのではなくて、過去に実施した企画やイベントを再現して、和歌山県の「発祥の地」巡りと「聖地を訪れる」旅を発信すれば良いのです。
早速、岸本知事は城南宮から出立した令和の熊野詣を企画しています。僕も1999年に城南宮から出立した平成の熊野詣に参加して熊野古道を歩いた経験があります。もう20年も前のことですが、頭の中にあるので来県してくれた方を案内したいと思います。
「記紀」に代表されるように、和歌山県は歴史と文化の宝庫です。長い歴史を刻んでいることから、聖地と言える場所が存在しており、和歌山県に来て体験できる食と観光を提供することで、万博に来たお客さんには「関西に来た限りは和歌山県を訪れてみよう」と思ってもらえるよう、今から動くべきです。
そこで質問です。「大阪・関西万博」を和歌山県観光につなげることが必要です。
「聖地リゾート和歌山」と銘打っているわけですから、和歌山県の「発祥」「起源」「聖地」「歴史」を観光につなげる取り組みが有効だと思います。万博開催に合わせた観光施策について、知事の答弁をお願いします。
お答え申し上げます。片桐議員ご指摘のとおり、大阪・関西万博を機に、国内外から関西を訪れた多くの方々を和歌山県に導く仕掛けが必要だと考えております。
今年度より「聖地リゾート和歌山」というキャッチフレーズをつくり、精神性「Spirituality」、持続可能性「Sustainability」、静けさ「Serenity」、この3つの「S」をコンセプトとしたブランディングを進めております。
そして今、ご指摘をいただいたとおりでありまして、体験型の観光コンテンツという意味で、先週「令和の熊野詣」出立式を京都の城南宮でさせていただきました。その際、紀伊路を8回に分けて歩くという熊野古道リレーウォークと同時開催となりましたので大勢の一般市民の方にもご参加いただきました。
民間事業者の力も活用しつつ、このような体験コンテンツの充実などそれぞれの県内の地域の資源を活用していろんな楽しみ方を提案していけるよう、県全体をあげて取り組んで参りたいと思っています。
これもまた、片桐議員ご指摘のとおりでありまして、和歌山県内には、かつお節や醤油の発祥の地、修験道やアニメの聖地など、様々な起源や聖地がございます。大阪・関西万博における関西パビリオン内の和歌山ゾーンでも「霊性の大地」をテーマに和歌山に根付く精神文化をはじめ、自然、人、産業、食、文化など多様な魅力を「和歌山百景」として発信していく予定でございます。
大阪・関西万博に関連した情報発信にあわせ、是非とも和歌山に足を伸ばしてもらえるよう、観光プロモーションをさらに進めてまいります。
ところで「万博を契機とした観光振興」の話のきっかけになったのは「龍馬が見た夕日」の話からでした。
「和歌山市の加太には、幕末に勝海舟と坂本龍馬が来たことがあるのですよ」の会話から、「加太は夕日が沈む景色では日本一なんです」まで話が及びました。
加太の夕日はほかの夕日がきれいな場所のように海に沈む景色が売り物ではなく、友ヶ島と淡路島から四国などが背後に重なって観ることができることが売り物で、ここでだけ見ることができるビューポイントとなっています。
更にこの地は、海に沈む夕日と共にも物語になるような歴史があることが強みです。
幕末、ロシア船、ディアナ号が紀伊水道から大阪湾に進入しました。この黒船が簡単に大阪湾に進入したことで幕府に衝撃が走り、重要港湾の大阪湾にこんなに簡単に外国船に進入されてしまったことは、わが国にとっての危機である、と認識させるには十分すぎる事件でした。
そこで幕府は、加太から和歌浦にかけての地域に砲台を設置することが必要だと考え、砲台検分のため勝海舟を派遣し、そこに坂本龍馬も遅れて紀州に入りお供をしています。
加太で勝海舟が宿泊していた記録が残されていているようですし、坂本龍馬も勝海舟を追って加太を訪れたと伝えられていますが、残念ながら詳しい足跡は分かっていません。
しかしありがたいことに今も加太では、幕末の英雄が見たのと同じような「龍馬が見た夕日」見ることができます。
歴史を語れる物語は観光資源になりますし、和歌山の自然と料理を合わせて発信すれば、和歌山県への観光誘客へとつながるはずです。
令和7年の「大阪・関西万博」、令和6年は「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録20周年の年であり、また全国、米国などからも関係者と歴史好きな観光客が訪れる「第36回龍馬World in和歌山」と「第31回日米草の根サミット2024和歌山大会」の開催年に当たります。
しかもわが国と英国との間で結ばれていた不平等条約の改正、「日英通商航海条約」から130年の年になりますから、和歌山県が観光の主役になれる絶好の機会となります。
すでに神奈川県立金沢文庫は「不平等条約改正130年」を記念して重要文化財の特別展示を企画しているように、陸奥宗光伯が実現した「不平等条約改正130年」の記念の年に向けて機運醸成を図ろうとしています。
現在、日本経済新聞で連載中の「陥穽(かんせい)」では「津田出が陸奥宗光を訪ねて和歌山藩で進めている藩政改革への参画を求める場面」や「プロシア陸軍を模範とし、新政府に先駆けて徴兵制を採用した津田・陸奥コンビの軍制改革」、そして「明治新政府首脳は和歌山の藩政改革について、新しい人の国造りのモデルとしてその行方に注目した」と描かれているので、全国から和歌山県が注目されています。
今年11月、東京工業倶楽部会館、および福沢諭吉の提唱で設立した日本で最初の「社交クラブ」の交詢社の二か所で「陸奥宗光と和歌山県」について講義をしてきました。出席してくれた経済界の方々は和歌山県とその歴史、来年の「龍馬World in和歌山」に関心を示して「和歌山県に行きます」と話してくれました。
参加メンバーは勿論、「陥穽」を読んでいることから和歌山県の歴史や陸奥宗光伯に関心を持っていたことを前提に講義を行ったことは言うまでもありません。
参考までに「第36回龍馬World in和歌山」には、藩士坂本家十代目が和歌山県に来てくれますし、「第31回日米草の根サミット2024和歌山大会」には、ジョン万次郎と彼を救助したホイットフィールド船長、この二人と関係のあったペリー提督の子孫も来県する予定ですから、幕末の偉人の子孫が和歌山県に集まる二度とない機会となります。
またどちらの大会も、式典と共に県内の観光地を巡るエクスカーションを計画しているので、和歌山県の優れた観光資源を売り出す機会にもなります。
ところでジョン万次郎の話を聞いている中で、広く知られていないけれど和歌山県と関係があることを知りました。
ジョン万次郎の長男の中濱東一郎は東京大学医学部を卒業し、衛生医学を究めて防疫対策の第一線で活躍した人物だそうです。森鴎外、北里柴三郎らと並ぶ、日本における近代医療のパイオニアだったそうです。
和歌山県との関係は、エルトゥールル号に関するものです。エルトゥールル号の船員の間でコレラが流行したのですが、この感染治療に尽力した医師が中濱東一郎だったそうです。
エルトゥールル号にジョン万次郎の長男が関係しているとは全く知りませんでした。坂本龍馬と陸奥宗光外務大臣の関係と共に、この歴史も和歌山県と高知県の関係性、国における和歌山県の存在の重要性を感じる話で、和歌山県で二つの大会が開催される意義を感じます。
「大阪・関西万博」の前年に、和歌山県で歴史を重ねている二つの大会が開催されます。全国で36回の歴史がある「龍馬World in和歌山」と、日米で31回の歴史がある「日米草の根サミット2024和歌山大会」ですが、同時期に開催されます。
大会の主役となっている偉人の子孫が来県する世界大会、および全国大会なので、和歌山県を全国に売り出す絶好の機会となります。
和歌山県としてこれらの大会にどう関るのか。これらの大会を和歌山県観光にどうつなげるかについて、知事の答弁をお願いします。
「第36回龍馬World in 和歌山」は、「龍馬と宗光 未来への伝言」と題して、陸奥宗光生誕180周年を記念して和歌山市で開催されると聞いております。今、ご指摘あったとおりであります。
このイベントは、これまで35回にわたり高知県を中心に全国で開催され、毎回全国から多くの龍馬ファンが結集していると聞いております。本県の偉大な先人である陸奥宗光の功績を広く全国に知っていただく、またとない機会と承知しております。この間の関係者の皆様のご尽力に心から感謝を申し上げたいと思います。
また、「日米草の根交流サミット」は、遭難したジョン万次郎を救助し、米国で教育の機会を与えたホイットフィールド船長、彼ら子孫の友情を原点に、参加者が国境・言語・習慣等の違いを超えた友情を育む場として開催されてまいりました。
ペリー来航の62年前に米国商船レイディ・ワシントン号が串本町大島に寄港し水や薪の補給を行うなど、まさに日本で最初の「草の根交流」が行われた和歌山県で本サミットが開催されることは、大変意義深いものと考えております。県としてもしっかりと応援してまいりたいと考えております。
そのため、「日米草の根交流サミット2024和歌山大会」を実りのある大会にするべく、公益財団法人国際草の根交流センター、県内8地域の市町や国際交流団体等にご参加いただき、先月11月21日に実行委員会を立ち上げました。
この大会には、米国から約100名の参加者が来県される予定であります。大会の期間中、参加者の皆様には、開会・閉会式典やレセプションに加えて、県内8地域に分かれ、3泊4日のホームステイをはじめ、地域で開催される「地域分科会」や観光地訪問・各種体験を通じて県民と交流を図っていただき、大いに和歌山県の魅力に触れていただく予定であります。
この大会を通じて和歌山県の歴史・文化の魅力を発信することで、今後の観光誘客につなげてまいる所存でございます。