令和5年6月定例会一般質問 / 質問内容

1.四国新幹線・紀淡海峡ルートについて

一般質問

おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、通告に従い一般質問を行います。今朝の新聞にクルーグマン博士のコラムが掲載されていました。三か月に一度程度、不定期に掲載されるものですが、今回はカナダの山林の火災のことが書かれていました。この火災が温暖化によるものなのか、人の不注意によるものなのか、はたまた、陰謀によるものなのかは分かりませんが、この事態がニューヨークにまで影響を及ぼしているにも関わらず、「そのうち何とかなるだろう」など、人は最悪の事態を認めたくないという心理が働いているという指摘です。

このクルーグマン博士の本は30年ぐらい前から読んでいますか、当時、理論上ではあり得るデフレが日本で現実のものになる傾向があることを指摘していたように思います。怪物と言われるデフレが日本で発生した場合の対処の仕方を世界が注目していることの話もあったように思います。 今回、四国新幹線と紀淡ルート、高齢社会における公共交通について質問を行いますが、「そのうちにやる」など、直ちに解決できないからなど言って先送りにしない答弁を期待しています。

また統一地方選挙で県政報告を行いましたが、その時に県政に関心をもったので今日、議場にお越しいただいた皆さんもいます。より県政に関心を持てるような質疑を行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

一般質問

それでは「四国新幹線・紀淡海峡ルートについて」の質問から始めます。

近畿ブロック知事会や記者会見での徳島県知事の四国新幹線「岡山ルート」発言に驚きました。これまで和歌山県と徳島県との間で四国新幹線を含む紀淡海峡ルートを進めるため、国への要望や関係する府県との協議会で話し合いを続けてきたからです。

先の5月24日の「令和6年度 国の施策及び予算に関する和歌山県の重点要望」の説明会では、これまで継続して要望していた「紀淡海峡ルートと四国新幹線」に係る項目が消えていたので企画部に尋ねました。

「令和5年度の重点要望まで、継続して国に要望していた『関空・紀淡・四国高速交通インフラの早期実現』の項目が消えています。今回は部局要望として国にあげる予定になっていますが、重点要望から外れていることで重みがなくなっているように思います。これまで前和歌山県知事と前徳島県知事が熱心に国への要望活動やシンポジウムを行っていたので、今回、外れていることは残念です」。

そのときの企画部の回答は次のようなものでした。

「県の重点施策の要望から外れたとしても従来と変わるものではなく、国の整備新幹線計画に四国新幹線があるので継続して要望していく」との答えでした。

四国新幹線は1973年11月15日に「建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画」に盛り込まれている「基本計画路線」のひとつです。

この計画は「紀淡海峡ルート」と関係しており、和歌山県と徳島県を結ぶ高速道路と共に四国新幹線の開通を目指すものです。

この構想を推進するために、平成25年9月21日、「関空・紀淡・四国高速交通インフラ期成協議会」を結成し、事務局を県企画部地域振興局総合交通政策課に設置し、今日まで活動を続けています。

この協議会の設立目的は「第二国土軸を始めとする高速交通インフラ整備に関係する府県が協力しながら、関西、四国、九州の地域間の交流を積極的に進めることを前提に、関西大環状道路などの早期整備、紀淡海峡ルート、四国新幹線の実現に向けて取り組むことを目指すもので、目指しているものは次のようなものです。

西日本の大動脈の代替機能を有する四国新幹線の実現、関西大環状道路、大阪湾環状道路を結ぶ紀淡海峡ルートの実現などで、協議会の構成府県は、和歌山県、大阪府、兵庫県、奈良県、そして徳島県も入っています。

ところで四国新幹線には二つのルート案があります。この二つのルートとは、一つは「四国新幹線」で淡路島から大鳴門橋を渡り、和歌山市に至る「淡路島ルート」。もう一つの「四国横断新幹線」は、岡山県から瀬戸大橋を渡る「岡山ルート」です。僕も飯泉前徳島知事とは何度かこの件について話をしたことがありますが、熱心に淡路島ルートを推進していました。

5月25日の「近畿ブロック知事会議」で後藤田新知事は、「四国は一致して岡山ルート。徳島が賛同することによって、四国はまとまりますので、ぜひお願いしたいと思います」と発言しています。

これまで香川県、愛媛県、そして高知県が岡山ルートを推進しているのに対して、徳島県は「淡路島ルート」を推進してきましたが、この発言は、前知事が推進していた「淡路島ルート」から「岡山ルート」推進に転換する方針を示したように映ります。

ところで、和歌山港と徳島県の小松島港の間に南海フェリーが航路を持っており、明石海峡大橋の開通以前には、関西から四国にアクセスする主要ルートであり、現在に至るまで、四国と関西国際空港を結ぶルートとして重要視されてきました。徳島県が紀淡海峡ルートを重要視しているのは、陸路でも関西とつながりたいからだと思います。

徳島県内の報道紙によると「徳島県がこのルートに懸ける情熱は長く、熱い。例えば1985年(昭和60)年に開通した徳島県と淡路島を結ぶ大鳴門橋は鉄道スペースが設けられている。1990年代には、和歌山市の友ヶ島を経由して淡路島まで架橋する『紀淡連絡道路』が構想され、実現が間近であるとされた時期もあった」というものです。

徳島県知事の発言の真意は分かりませんが、もし徳島県が「岡山ルート」に向かうとすれば、「関空・紀淡・四国高速交通インフラ期成協議会」の今後の活動が不安視されますし、協議会活動の熱量が低下すると共に、紀淡海峡ルート構想は限りなく「岡山ルート」の次に位置付けられ、実現は困難になると思います。

第二国土軸がわが国や和歌山県にもたらす重要性を考えると、「関空・紀淡・四国高速交通インフラ期成協議会」として対応が必要だと思います。

質問1:「岡山ルート」発言について

先に触れたように「令和6年度 国の施策及び予算に関する和歌山県の重点要望」では「紀淡海峡ルートと四国新幹線の構想」の項目が外れています。

5月24日、企画部に対して、「これまで和歌山県知事と徳島県知事が進めてきた構想が外れていること」について尋ねたところ、「これまでと変わりはない」と答えてくれたのですが、翌25日の「近畿ブロック知事会議」で後藤田徳島県知事は、「四国は一致して岡山ルート」の考え方を示しました。

今回の徳島県知事の「岡山ルート」発言をどう捉えていますか。

知事の答弁をお願いします。

答弁者:知事【総合交通政策課】

ご指摘の後藤田徳島県知事の近畿ブロック知事会議でのご発言につきましては、他府県の知事の発言でございますので、特に私の方からコメントすることはございません。そういう立場ではございません。

なお、徳島県さんは現時点でも関空・紀淡・四国高速交通インフラ期成協議会の構成団体としてなおいらっしゃいます。

質問2:紀淡海峡ルートの意義について

和歌山市から県外に通学している大学生からの意見を紹介しながら質問します。

「2011年の九州新幹線開業時の伝説のコマーシャル、2015年の北陸新幹線、金沢駅開業からの石川県へのイメージ向上といった、地域が「わっ!」と盛り上がる瞬間を目の当たりにする度に、『この盛り上がりを和歌山で体験してみたい』と常に思ってきました。そして、大学で学んでいる中で『和歌山県は他県との周遊がしづらいことが観光する上では不利になっている』と気付きました。つまり、和歌山県から四国に抜ける新幹線があれば、和歌山を含む周遊ルートが出来るので、様々な効果を生むのではないかと考えています。なので是非、和歌山県を通る新幹線を整備すべきだと考えています」という意見です。

紀淡海峡ルートは、高速と四国新幹線をセットとして実現を目指しているものと認識していますが、紀淡海峡ルートの意義について知事にお伺いいたします。

答弁者:知事【総合交通政策課】

紀淡海峡ルートにつきましては、先程来、片桐議員のご指摘のとおりでありまして、第二国土軸として国土の強靱化を図る上で必要不可欠なプロジェクトであると考えております。

また、関西全体にとりましても、紀淡海峡ルートが仮に実現した場合には、関西国際空港と大阪都心が四国新幹線で結ばれます。関西大環状道路や大阪湾環状道路が形成されることになりますので、和歌山はもちろん関西全体の発展に大きく寄与するものではないかと考えております。

質問3:紀淡海峡ルートの今後の取り組みについて

徳島県知事の「やはり『淡路ルート』になると政府も国会議員もほとんど動きがない中で形だけ残っていた」の発言は、「関空・紀淡・四国高速交通インフラ期成協議会」の活動を御存じないのか、否定するものなのか分かりませんが、今後の要望活動に影響を与えるものではないかと心配しています。

今後の取り組みについて、知事の答弁をお願いします。

答弁者:知事【総合交通政策課】

今ご指摘をいただきました、関空・紀淡・四国高速交通インフラ期成協議会でありますけれども、和歌山県が中心となって2013年に設立をいたしました。現在でも毎年、国への要望活動をみんなでやっておりますし、シンポジウムなども開催をし、機運醸成の取組は重ねてきております。

紀淡海峡ルートの実現にはもちろん財源問題など課題は多いわけでありますけれども、引き続き国や関係団体への働きかけなど積極的に進めてまいりたいと考えております。

前徳島県知事は「淡路島ルート」について熱心に語ってくれました。徳島県から和歌山市を通り関西空港に向かう。そこから堺市を経由して新大阪駅に到着するルートを要望していると言って図面も示してくれました。これまでの両県の取り組みと熱意を継続させた活動を期待しています。