令和4年6月定例会一般質問 / 質問内容

2.学校法人南陵学園の問題について

一般質問

南陵高校が混乱しています。全国版ニュースでの放送や週刊誌、週刊文春やフライデー、週刊ポストにも掲載されたことから、多数の保護者から問い合わせが続いています。

和歌山南陵高校では教職員への給与未払いなどの理由で令和4年5月11日、教職員がストライキを行っていますし、「就学支援金」を受領していたにもかかわらず、保護者に返還していなかった事実があり、和歌山県から何度も行政指導を受けていますが、事態は改善されていません。保護者や関係者からは依然として不安の声が届いていますし、今では全国から注目される問題にまで発展しています。


そして6月3日、とうとう末松文部科学大臣のコメントを聞くことになりました。「学校法人南陵学園におきましては、法人運営に混乱を生じていることは、もう明らかでございます。大変遺憾なことであります」「文科省としても必要な指導助言を行っていきたい」の発言です。

質問1:末松文部科学大臣の発言について

そこで質問です。学校法人南陵学園で発生している問題に関して、末松文部科学大臣が「大変遺憾なこと」と発言するまで事態が発展したことについて、知事の見解をお答えください。

答弁者:知事

学校法人南陵学園につきましては、議員からお話があったように教職員への給料の未払いや保護者からの預り金の返還遅延など多くの問題が発覚しております。

県といたしましても、法人及び学校への現地調査を行い、学校運営について指導を重ねてきたところでございますけれども、依然として解消されていない問題が沢山あるということでございます。

また、保護者や教職員から再三説明を求められ、更に県からもそう指導しているにもかかわらず、理事者側が説明責任を果たしていないというのは極めて不適切な対応と言わざるを得ません。

こうしたことから、このたびの学校法人南陵学園を巡る問題は、文部科学大臣の御発言のとおり、大変遺憾な事態であると思っております。

先生方や生徒は、毎日真摯な学校生活を送っており、先日もバスケットボール部がインターハイ出場を決めたということをお聞きしたところであります。

和歌山県としましては、学校法人の所轄庁である静岡県と連携し、生徒を守っていくという立場でその学びに支障が生じることがないよう、引き続き指導を重ね、必要な対処を行っていく所存であります。

私立学校法に定められているとおり、本来、学校法人は自主的に運営基盤の強化を図るとともに、その設置する私立学校の教育の質の向上及び運営の透明性の確保を図るよう努めなければなりません。

そういう意味では、学校経営に乗り出すためには、よほどの確固たる財政基盤と、社会的に名声を背負った企業が、立派な理念を持った教育者を用意してやってもらわないと困るなあというふうに思いました。まずは同校の生徒達を守ることが第一でございますけれども、今申し上げましたことも今後の教訓としてまいりたいと考えております。

質問2:学校法人南陵学園に係る問題への対応、及び静岡県に対しての働きかけについて

県が学校法人に支出した就学支援金ですが、令和3年度分の就学支援金の保護者への全額支払いは年度を超えてしまっています。

和歌山県として、今回発覚した学校法人南陵学園のこれらの問題についてどのように取り組んできたのか。また法人所轄である静岡県に対して、どのような働きかけをしてきたのですか。企画部長の答弁をお願いいたします。

答弁者:企画部長

和歌山南陵高等学校への現地調査を毎年実施するとともに、静岡県が実施する学校法人南陵学園の実態調査にも同行し、法人の運営状況の把握に努めてきました。

そのなかで、経営状況や図書室の未設置など改善が必要であると判断される点につきましては、行政指導を行い対応を求めてきたところです。

議員からお話がありました授業料に係る預り金の返還につきましても、再三にわたり早期の返還を求めてきましたが、令和3年度分につきましては、保護者の方々と約束をしていた期日に返還されませんでした。

このような状況等から、私立学校の経営に必要な財産を有することを求めている私立学校法第25条第1項の規定に違反している可能性があると思料されたため、学校法人南陵学園の所轄庁である静岡県に対し、同法第63条に規定する検査等を実施した上で、第60条の規定に基づき、経営改善等に係る措置命令などの対応をとるよう書面で依頼いたしました。

質問3:就学支援金を約束の期日までに返還しなかったことなどについて

今、答弁をいただいた就学支援金の代理受領後に学校法人南陵高校が授業料に係る保護者からの預かり金を支払い約束の期日までに返還しなかったことなどの問題について、どう考えているのですか。企画部長にお尋ねいたします。

答弁者:企画部長

このたびの学校法人南陵学園が保護者からの預り金を約束の期日までに返還しなかった事態は、見過ごすことのできない大きな問題であると考えております。

高等学校等就学支援金の支給に関する法律においては、代理受領した就学支援金を当該預り金返還の原資に充てることを要求しているものではありませんが、一方、就学支援金の代理受領後も保護者からの預り金を保有し続けることは、高等学校等における教育に係る経済的負担軽減を図るという就学支援金制度の主旨に鑑みると極めて不適切であります。

県としましては、授業料に係る保護者からの預り金を徴収しない、また、やむを得ず徴収する場合であっても就学支援金の受領後においては速やかに当該預り金を返還するよう強く求めてまいります。

質問4:令和3年度の学校法人の調査結果について

企画部長から答弁をいただきました。しかし週刊誌に記載されている文部科学省担当者のコメントでは「就学支援金の使途は基本的には授業料のみ。国からお金が振り込まれた時点で、学校は保護者から預かっていた授業料を返す必要がある」と答えています。この国と県との解釈がいつも食い違っているのです。法律では県の言う通りかもしれませんが、この法の精神からすると、やはり就学支援金は振り込まれたなら直ぐに保護者に返還すべき性質のものだと思うのです。県も同じ認識をしていると思いますが、今後の行政指導においては強く求めてくれることを期待しています。

さて、教師の日本私立振興・共済事業団への掛金を給与から天引きしているにも関わらず、掛け金等の滞納月数が累積していたこと、および市町村民税を特別徴収しているにも関わらず、学校法人が天引きされた住民税は令和元年7月から、所得税は令和元年9月から支払われていなかったことが判明していることなどから、県の対応が十分ではなかったのではないかと思えます。

その時点できちんと調査と行政指導をしていれば、ここまで大きな問題に発展することなく事態を収拾できていたのではないかと思うのです。

教師のストライキや生徒が平穏に授業を受けられていたと思いますし、保護者の不安も大きくならなかったと思うのです。

テレビや新聞、週刊誌で報道されたことでようやく動いた感がありますが、問題になっている事実を令和3年上期の時点で把握していたのではないですか。また学校運営を正常化するために、その状況についてどのような調査を行い、学校法人からどんな報告を受けていたのですか。企画部長にお尋ねいたします。

答弁者:企画部長

議員御指摘のとおり令和3年の上期の時点においても日本私立学校振興・共済事業団への掛金及び公租公課の滞納の事実について把握しておりました。

そのため、学校教育への影響を勘案し、学校法人に対し、定期的に納付状況や滞納額等に関する報告を求め、指導を行ってきたところです。

具体的には、令和3年7月に来庁した和歌山南陵高等学校の副校長に対し滞納状態の早期解消を求めました。

また、同年9月に実施した学校への現地調査の結果を踏まえ、10月に理事長の代理で来庁させた副校長に対し直接指導を行うとともに、11月には滞納額の速やかな納付について文書による指導を行いました。

更に、本年1月には法人の理事長に直接来庁を求めた上で、期日を明示した納付に係る誓約書を徴するなどの対応を行いました。

その後も現在に至るまで、面談及び文書等による指導を継続しているところでございます。

質問5:生徒を守っていくための対応について

南陵高校で起きている問題は学校理事側の責めに期するものであり、学校運営、学校経営上の責任について理事者は厳しく責任を追及されるべきものだと考えています。

しかし生徒にとっては自分達の学校であり、県には当たり前に学校生活をおくれる環境、卒業まで生徒を守っていく姿勢が求められます。いわば被害者でもある生徒たちを守っていく観点から、県として今後のように対応していくのか。企画部長からお答えください。

答弁者:企画部長

県としましては、生徒の学びの機会を確保し、健全な学校生活を送ることができる環境を維持していくことが重要であると考えています。

現在の状況からみて、学校法人南陵学園において法人経営に混乱を生じていることは明らかでありますが、そのことによって生徒の学びに支障が生じることがあってはなりません。

また、和歌山南陵高等学校に関する報道等を受けて、生徒や保護者の方々から不安の声が出ていることから、学校法人が保護者等に対し説明会を開催することが必要であると考えております。

生徒を守るため、引き続き、文部科学省や学校法人の所轄庁である静岡県と綿密に情報共有し、当該法人に対し経営状況等の改善を図ることや、保護者等への説明会の早期開催を求めるなど必要な対応を行って参ります。

一般質問

【要望】

答弁にあったように生徒を守ることを最優先して欲しいと思います。しかし強制力を伴わない行政指導だけでは、この問題は解決しないのではないかと思っています。未払いだった4月分と5月分の職員さんの給与は支払われていますが、それは事業承継予定のところからの寄付金によるものだということです。つまり学校経営の観点からは経営が破綻しているということです。県としては例えば役員の解任勧告をすることで、事業継承がうまく行くように支援するとかしない限り、現経営陣の自主的な改善は難しいと思います。

また学校法人の理事長から保護者宛てに出された文書では、明らかに事業承継をすることを保護者に対して伝えています。承継後に新理事長が着任すると書かれていますが、まだそうなっていないように思います。

県に対しては、もはや行政指導だけではなく学校法人の事業承継が進むようにサポートする、仲介するなどの支援をしてくれることを要望して一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。