令和3年12月定例会一般質問 / 質問内容

1.カーボンゼロの取り組みについて

こんにちは。議長のお許しをいただきましたので、通告に従って一般質問を行います。


一般質問

2015年に合意された「パリ協定」において、気温上昇による発生するリスクを軽減するために「産業革命前からの平均気温上昇の幅を2度未満とし、1.5度に抑えるよう努力する」ことが国際的な目標として共有されました。

このパリ協定を受けてわが国もカーボンゼロの取り組みを推進しているところで、地方自治体においてもその取り組みが求められています。

全国の地方公共団体でも2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロを表明しての取り組みが進められており、和歌山県でも「第5次和歌山県環境基本計画」を策定し、取り組みを進めています。

ここでは温室効果ガスの削減目標を「2050年までに排出量実質ゼロとなることを目指す」と記されており、この環境基本計画期間終了年度である2025年度には2013年度比でマイナス24パーセントを達成することが明示されています。

一方、コロナ禍明けの経済活動再開に向けた取り組みが必要になる時期であり、例えばデジタル化や企業誘致、IR誘致もそうですが、経済活動が活発になれば基本的には温室効果ガスの排出量も増えることになります。

特に社会が目指しているデジタル化の進展によって、環境省の資料では「通信分野では日本においては2030年には現在の総電力の約1.5倍、2050年には現在の約200倍の電力をICT関連機器だけで消費するおそれも指摘されている」と記されています。一体、200倍の電力をどのように生み出すのかと思いますが、デジタル社会は電力多消費社会に向かうことになるのです。

和歌山県としてカーボンゼロに向けた取り組みと共に、デジタル社会への対応を同時に進める必要があります。そのためにデマンドサイドのゼロカーボン化とサプライサイドのゼロカーボン化を目指すことになりますから県の果たす役割は重要です。

ゼロカーボンは困難への挑戦であり、和歌山県が解決の道筋をつけられるような課題ではありませんが、今年3月に「2050年 ゼロカーボンシティの表明」をしたことで、企業や県民の皆さんに環境を意識した行動を強く意識してもらう継続した訴えかけが必要です。

環境への取り組みはどちらかというと結果が見えない努力目標のような感じがしますが、いま具体的な行動をしなければ、近い将来、環境インフレなどによって生活や経済活動が今よりも制約される懸念もあります。

環境への取り組みは実践した結果を感じにくいのですが、今はとにかく意識と小さな行動を積み重ねていく、時にはコスト負担をする以外にありません。


一般質問

令和3年度は「宣言から実現」への年度ですから、その取り組みも意識も行動も、今よりも先に進める必要があります。

環境省では2020年度から2025年度までを「5年の集中期間に政策総動員」してゼロ宣言都市を支援しているのは、カーボンゼロ宣言をした取り組みによる効果は、エネルギー自給率の向上と化石燃料輸入の低減につながり、日本全体にも貢献できるからです。

そして和歌山県にとっても域内経済の循環や、新産業と雇用の創出につながるものだと思います。

和歌山県ではこれまで気候変動対策を推進してきた結果、温室効果ガス排出量は年々減少していることが数字で見えています。特に産業部門と家庭部門の削減が顕著ですが、これは産業用では省エネ機器導入が進み、家庭では電化シフトが進んでいることが要因だと思います。

このことから県はリーダーとして、事業者に省エネルギー対策を訴えること、家庭に対しては身近にできる環境行動を紹介することや継続した意識啓発が必要だと思います。


和歌山県の温室効果ガスのここ最近の実績を見ると確かに低減が図れていますが、省エネ機器の導入が進むなどの意味での低減であれば歓迎ですが、県内企業の生産活動低迷や事業所が減少しているなどの原因であれば素直に成果を喜ぶことは出来ません。

ややもすればカーボンゼロと経済活動はトレードオフの関係にありますが、出来る限り和歌山県では経済活動と環境保全活動の両立を図りたいと思います。

既に世界的企業では、取引先に対してカーボンゼロのエネルギーで製造した部材を取引条件にしているので、県内企業もいずれはそれに対応する必要があります。

但しカーボンゼロのエネルギーコストは比較的高いので、企業経営的には導入は容易ではないことも明らかです。

和歌山県内の事業者が従来通りの生産を行いながらカーボンゼロを達成するために、和歌山県として負荷変動の少ない再生可能エネルギーの導入や工業団地の「RE100」を推進するなど、取り組むべきことがあると思います。経済活動とカーボンゼロの達成を達成することは難しいテーマですが、積極果敢に取り組んで欲しいと思います。

質問1:「2050年 ゼロカーボンシティの表明」に込めた思いについて

和歌山県では「2050年 ゼロカーボンシティの表明」をしていますが、私の身近なところでは、これまで話題にも議論の対象にもなっていないことから、多くの方はこの「表明」を知らないと思います。環境への取り組みは、新しい技術への転換を意味するものでもあるので、雇用と利益につながり意識も行動も変わると思います。

逆に言うなら世界が環境問題に挑戦することよって技術革新を図ろうとしているので、わが国が環境問題を軽くみて取り組まなければ、或いは様子を見ながら追従すれば良いと考えるようでは、産業界は世界の流れに後れを取ることになります。これは和歌山県も同じことです。

環境問題の意識づけを行い、行動を促すためには、この「宣言」を県民の皆さんや事業者に浸透させることが必要です。そこで質問ですが「ゼロカーボン宣言」に込められた知事の思いについてお聞かせください。

答弁者:知事

近年、気候変動による影響が顕在化しており、世界の趨勢としてカーボンニュートラルを目指す方向にございます。

我が国においても、昨年、「2050年カーボンニュートラル」が宣言され、脱炭素社会実現に向けた動きが、官民を問わず加速しております。

気候変動は、理論上だけの問題ではなくて、最近は、大雨による水害リスクの増大や農作物への被害など、気候変動の影響が身近に感じられるようになってまいりました。

加えて気候変動対策における世界各国の取組姿勢や我が国政府の動向を踏まえると、本県もカーボンニュートラルを目指さざるを得ないと考えました。どうやって実現するかとか、できるとかできないとかという話ではなくて、とにかく目指さざるを得ないということでございます。

そこで本年、御指摘のように、3月、第5次環境基本計画において、2030年度の温室効果ガス排出量の削減目標を設定するとともに、省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの利用促進、森林吸収源対策など、気候変動対策の方針を明示し、「2050年カーボンニュートラル」を目指すことにいたしました。

カーボンニュートラルを達成することは、もちろん容易なことではありませんが、その実現に向け、国内外の動向に対し感度を高め、積極的に情報収集をするとともに、新たな科学技術の導入や生活様式の転換をはじめ、ありとあらゆることを十分検討し、少しでも可能性のあることに挑戦していくように努める所存でございます。

質問2:サプライサイドの取り組みについて

例えばデジタルグリッドのプラットホームを活用した再生エネルギーの導入を県内企業にお薦めしたことがありました。ところがコスト負担が増えるので採用されることはなく、従来通り化石燃料のエネルギーを使用しています。このようにエネルギーコストが高くなるので、なかなか導入してもらうことは難しいと感じています。

さて「第5次和歌山県環境基本計画」を読みましたが、極めて高い意識を持って比較的に具体性のある取り組みを進めていくことが示されています。困難に挑戦しようと高い意識を感じる取り組み事例がたくさんあります。

  1. 家庭や事業所に対しては省エネルギー性能の高い設備の導入促進を図ること。
  2. 電気自動車などの次世代自動車の普及促進を図ること。
  3. 蓄電や水素などの新しい技術も取り入れた自立分散型のエネルギー社会を推進すること。
  4. 電気自動車充電設備ネットワークの強化など都市基盤の低炭素化の促進を図ること。

主な項目を取り上げましたが、まさにデマンドサイドとサプライサイドのゼロカーボン化を目指す極めて大きくて挑戦的な取り組みが示されていて、この取り組の成果がでると和歌山県は日本一の環境都市になれると思います。

ただ極めて高い目標を達成するためには、環境問題に取り組んでいる企業が県の環境基本計画に賛同して、県が進めようとする具体的な取り組みに参画してくれる、言い方を変えれば巻き込むことが必要となります。

そこで質問です。再生可能エネルギーの導入促進が掲げられていますが、事業者が行う規模の太陽光発電や風力発電は設置が適切な場所がなくなりつつあります。導入促進のためにはさらに次世代のエネルギーとなる非化石燃料を活用した水素製造と利活用、太陽熱集光発電、洋上風力、海流発電などの導入が必要になると思います。またカーボンリサイクル技術拠点を誘致することも対策として挙げられます。

このようなサプライサイド取り組みについて、商工観光労働部長の答弁をお願いいたします。

答弁者:商工観光労働部長

電力量に占める再生可能エネルギーの割合は、昨年度、全国で約20%であったのに対し、本県は約25%となっており、全国的にみても再生可能エネルギーの導入が進んでいる状況です。

そのような中で、議員がご指摘のとおり、県内における太陽光発電や陸上風力発電については、自然環境や生活環境との調和を図りながら導入を進めることが難しくなってきております。一方で、再生可能エネルギーの中でも、木質バイオマス発電につきましては、令和2年6月に上富田町で、令和3年10月に新宮市で運転を開始し、現在も2か所で建設中であるなど導入が進んでおります。

次世代エネルギーの活用につきましては、カーボンニュートラルを達成するうえで必要不可欠である一方、その商業化には技術面やコスト面で課題があり、現在は国の支援を得ながら技術開発が進められている段階にあると認識しています。

県としましては、県内の再生可能エネルギーのポテンシャルを有効活用するとともに、国の技術開発の動向を踏まえながら、県内での技術実証の可能性を検討するとともに、将来的に次世代エネルギーの導入を目指してまいりたいと考えています。

質問3:デマンドサイドの取り組みについて

令和3年3月末現在で、和歌山県内の戸建ての電化率は48.2パーセントに達しています。 エネルギー機器の転換は導入するための投資が必要なことなので、このことは県民の皆さんが高い環境意識を持っていることを示していると思います。これはエネルギーを「置き換える」取り組みです。その他に「減らす」取り組みである省エネルギー。「創る」取り組みである創エネルギーなどが家庭部門を含めたデマンドサイドの考え方となります。

ただし家庭に経済的な負担をかけて推進する施策だけではなく、さらに環境意識を高めてもらうための施策が必要だと思います。

また電気自動車の普及が進んでいないように思います。その理由の一つとして、急速電気充電設備の設置が遅れていることも考えられます。設置を見合わせる理由はいくつかありますが、まずは県が事業者などの意見をよく聞いて、阻害要因を一緒に解決していこうとする姿勢が必要だと思います。急速充電設備を走行可能な距離に応じて設置することなどによって、消費者の消費行動につなげられるとも思います。

県がすべきデマンドサイドの取り組みについて、環境生活部長の答弁をお願いいたします。

答弁者:環境生活部長

デマンドサイドにおける気候変動対策の取組としては、省エネルギーの推進と化石燃料の使用削減、さらには、議員お話の「創エネルギー」など、消費者自らがサプライサイドの役割を果たすことが重要であり、これらの取組を社会全体に行き渡らせるようにするためには、県民一人一人の実践行動が大変重要になると考えています。

具体的には、省エネルギーの推進では、節電や省エネ型製品への切り替え、断熱性の高い住宅の新築や改築、また、化石燃料の使用削減では、次世代自動車への買い換えなどが挙げられます。さらに、自らがサプライサイドの役割を果たすものとしては、家庭における太陽光パネルや蓄電池の設置などが代表的な取組として考えられます。

県では、このような実践行動の促進を図るため、広報誌やWeb、イベント等による啓発、子供たちへの環境教育などを通じ、広くその意義を伝えているところであり、引き続き、広報や啓発の充実・強化を図りつつ、粘り強く取り組んでまいります。